田螺(たにし)/今日の俳句 ≪第2470号≫
≪2017年(平成29年)4月13日(木)≫(旧暦3/17)
ゆく春の田螺ほろりと沈みけり
小島 健
民宿の椀の重さよ田螺汁
小路紫狹
蓋とぢし田螺の暗さはかられず
加藤かけい
白凰の塔の真下の田螺かな
宮岡計次
人の裏見ゆる田螺を煮て居れば
長谷川秋子
※ 田螺・田螺鳴く・田螺取
タニシ科の淡水産巻貝の総称。殻は卵形で蝸牛を少し大きくしたような形をしている。空は黒色。冬の間は池や田の泥中に生息しているが春になると、いわゆる田螺の道を作りながら水田などの泥の表面を這う姿が見かけられる。
【「(合本)俳句歳時記・第3巻/角川書店」より転載】
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※☆*わが友に贈る*☆※
季節の変わり目。
祈りを根本に
賢明に体調を整えよう!
周囲の健康を守る
気配りと声掛けも!
2017年4月13日
※☆*寸 鉄*☆※
世界の友が団結する学会こそ戦争と対極―博士。共感の連帯拡大へ勇躍!
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徳島女性の日。私たちの手で新時代の夜明けを。婦女一体で賑やかに行進
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異体同心とは互いの信心の励まし合い―戸田先生リーダーから触発の波を
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心のゆるみが人間の敵―劇作家。無事故へ油断排せ。歩きスマホ等に注意
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日本の人口、36年後は1億以下と。減少時代こそ一人を大切に。皆が人材
※☆*名字の言*※
海あり山あり。広大な福島県は気候の変化に富み、桜の季節が長い。「宝の山」と歌われる磐梯山の麓に立つ福島研修道場には、池田先生が自ら植樹した三代桜がある。この桜は毎年、5月3日前後に爛漫の雄姿を見せる
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開花が早い遅いと気をもむのは人間の都合。環境の違いで、それぞれの木に咲くべき「時」がある。これは人の生き方も同じで、“開花の春”は一様ではない
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先日、総本部で行われた「うつくしまフェニックスグループ」(原発事故の影響で福島県内外に避難した友)の首都圏大会で、母子がリレー体験を発表した。大震災から3年目。小学校3年の次女が体調を崩し、学校に行けなくなった。母に心配を掛けまいと、小さな胸にしまい込んできた不安と恐怖の感情が噴き出したのだ。食欲がなく、座ることもできない娘を母が背負う。体重20キロにも満たない軽さに涙が止まらない
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母は「必ず健康にしてみせる!」と信心で再起を誓う。家族の愛情に包まれた娘は一進一退しながらも心身が安定し、今春、母子は笑顔で中学校の入学式に臨んだ
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語り終えた親子に拍手がしばらく鳴りやまなかった。同志も、この日が来ることを信じ、祈り続けてきたのだ。待ち望む時間が長いほど、功徳満開の春の喜びは大きい。(城)
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小説「新・人間革命」雌伏
雌伏 十七 法悟空 内田健一郎 画 (6045)
蔵林龍臣は七十一歳であり、五人の子どもたちも、広宣流布の庭で活躍していた。この日も、アメリカに永住している四男以外は元気に集い、孫も含め、賑やかに山本伸一と峯子を迎えてくれた。
蔵林は、伸一を床の間の前に案内した。
「こちらにどうぞ!」
「それはいけません。人生の大先輩である蔵林さんが、お座りになってください」
一瞬、蔵林は、メガネの奥の目に困惑の色を浮かべた。しかし、伸一の強い勧めに、床の間を背にして座った。
部屋にある衝立の書も見事であった。黒光りした柱や意匠を凝らした欄間が、風格を感じさせた。
伸一が、家の歴史について尋ねると、「実は、わが家にはこんな言い伝えがありまして」と言いながら、伝承を語り始めた。
――昔、ある冬の夜のことである。庄屋の彦左衛門が、ため池に落ちて凍えるキツネを助け上げ、体を湯で拭いて乾かし、山へ帰した。キツネは、嬉しそうに「コン、コン」と鳴きながら消えていった。翌朝、家に二羽のキジが置いてあった。雪の上には、点々とキツネの足跡が続いていた。
「恩返しにやってきたというわけです」
伸一が、「人間も見習わなければいけませんね」と応えると、側にいた人たちは、真剣な顔で頷いた。忘恩の徒が暗躍し、学会員をいじめ、苦しめている時だけに、皆、恩に報いることの大切さを、強く感じていたのであろう。
戸田城聖の事業が破綻した時にも、それまで、さんざん戸田の世話になり、大恩を受けながら、手のひらを返すように、悪口し、恨み、憎んで、去っていった者もいた。
「忘恩は明瞭この上もない不正」(注=2面)とは、哲人ソクラテスの箴言である。
日蓮大聖人は、老狐や白亀が恩に報いた故事をあげ、「畜生すらかくのごとしいわうや人倫をや」(御書二九三ページ)と、人として報恩の誠に生きることの大切さを強調されている。報恩は人間の生き方の基である。
小説『新・人間革命』の引用文献
注 クセノフォーン著『ソークラテースの思い出』佐々木理訳、岩波書店
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蜷(にな)/今日の俳句 ≪第2469号≫
≪2017年(平成29年)4月12日(水)≫(旧暦3/16)
オカリナや幾度も蜷の潜り出て
中山純子
蜷の道逍遥稔典姓氏論
三神あすか
乱数表たどれば蜷の軌道かな
宮嵜 亀
田の神をお連れ申して蜷田螺
ふけとしこ
蜷の道晩年が来る日暮来る
安達実生子
※ 蜷(にな)
正しい名はカワニナ。最も普通に淡水産巻貝の一種。長さ三センチ(約1寸)位で、形は細長く、殻皮は黄褐色または赤褐色をおび、全国いたるところの川・溝・池沼・水田等に棲んでいる。春になると、底の泥土に筋をつけながら這っているのが見られる。これを蜷の道という。食用にもなるが、肺臓ジストマの中間宿主として知られているので危険。カワニナの約二倍の大きさのタケノコカワニナは、多少塩分のある河口近くに棲息し、筍状で滑らかなのが特色。蜷層は九階を数える。カワニナは種類も多く、また海にすむウミニナには、川蜷に似た性質も形も同じようなものがある。南九州ではこの海蜷を《みな》と呼ぶ。すべての貝を《みな》と呼ぶところもある。
【新訂「現代俳句歳時記/石田波郷・志摩芳次郎編」主婦と生活社より抜粋】
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※☆*わが友に贈る*☆※
会館・個人会場の周辺は
駐輪・駐車や立ち話など
近隣に細心の配慮を。
良識豊かな行動で
地域に信頼を広げよう!
2017年4月12日
※☆*寸 鉄*☆※
春爛漫の座談会。清々しい決意あり、体験談あり。誉れの「5・3」へ躍進!
◇
「修行の肝心は不軽品」御書。ただ友の為に。仏法の魂は我らが正しく継承
◇
現状に甘んじず行動に移そう―博士。挑戦と成長を続ける人が次代の主役
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食品ロスの削減へ各地で啓発行事。「もったいない」の心で。各家庭から
◇
ネット上での偽情報拡散防止へ対策相次ぐ。ウソを見抜く鋭き眼を各人が
※☆*名字の言*※
記録文学や歴史小説などの分野で多くの作品を残した吉村昭氏。氏の生まれ故郷、東京・荒川区にオープンした「吉村昭記念文学館」に足を運んだ
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館内の一角には、書斎が再現されている。部屋の三方を天井まで伸びた本棚が囲み、歴史書、郷土史などに加え、自作のスクラップブックも並ぶ。その量に圧倒された。窓際には幅2メートル60センチもある特注品の机。執筆時に多くの資料を載せるため、この長さが必要だったという
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氏の信念は「史実そのものにドラマがある」。戦史小説では関係者の証言を重視し、一つの作品のために192人を取材したこともあった。「証言者と会い、その眼の光、言葉のひびきを見聞きした」(『私の引出し』文春文庫)。それぞれの証言の“体温”にまで迫ったからこそ、事実や数字の羅列ではなく、血の通った人間ドラマを描けたのであろう
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学会の庭では、赤裸々な信仰体験が生き生きと語られる。その一つ一つが、自他共の幸福をつくってきた学会史の一ページであり、仏法哲理の正しさを裏付ける証言である。御書に「道理証文よりも現証にはすぎず」(1468ページ)と
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正確さや裏付けに、体験の持つ“熱”が加わることで、言葉に生命が宿る。無名の庶民の体験にこそ、語り継ぐべきドラマがある。(値)
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小説「新・人間革命」雌伏
雌伏 十六 法悟空 内田健一郎 画 (6044)
山本伸一は、石塚勝夫に言った。
「お父さん、お母さんを、生涯、大切にするんですよ。父母の恩に報いることから、人間の道は始まります。報恩の心を忘れない人が、真の仏法者なんです」
さらに、個人会館を提供してくれていることへの感謝を伝えながら、日ごろ、心すべき点についても語っていった。
「ともかく近隣に迷惑をかけないよう、会合の中心者ともよく連携し、駐車、駐輪、話し声など、細かく気を配っていくことが大事です。大変でしょうが、周囲のお宅には足しげくあいさつに伺い、『何かあったら、すぐにおっしゃってください』と、意思の疎通を図っていくことが大切です。
近隣の方々が、快く協力し、応援してくださるようになれば、それ自体が広宣流布の姿なんです。個人会場は、広布の民衆城です。そこに、堅固な信頼の石垣を築くことが、学会を盤石にしていくことにつながります」
伸一は、それから、自宅の隣にある個人会館を訪問した。一階は、石塚の営む建築電気工事会社の事務所になっており、二階が三十畳ほどの会場であった。
そこには、佐久本部の支部幹部ら地元の代表が集っていた。伸一は、一緒に勤行し、ここでも懇談のひとときをもった。
彼は、佐久の同志に、句を詠んで贈った。
「忘れまじ 佐久の幸ある 瞳かな」
「佐久の友 今日はいかにと 祈る日日」
石塚宅から伸一が向かったのは、蔵林龍臣の家であった。蔵林家は江戸初期から庄屋を務めた旧家であり、母屋は築三百五十年で、地元では「鶯館」と呼ばれているという。
主の龍臣は、家の前で和傘を差して立ち、伸一と峯子を迎えた。
「約束を果たしに来ましたよ」
伸一は、こう言って笑顔を向けた。
蔵林は、六年前に東京で行われた本部幹部会の折、自宅が江戸時代からの旧家であることを伝え、訪問を要請したのである。
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鰈(かれい)/今日の俳句 ≪第2468号≫
≪2017年(平成29年)4月11日(火)≫(旧暦3/15)
若狭には仏多くて蒸鰈 森 澄雄
深川や茜さしたる蒸鰈 小川千賀
ならべ干す鰈の上に置き手紙 吉屋信子
ありなしの目で雲呼べる干鰈 丸山昭子
身を透ける風が吹くなり干鰈 布川武男
※ 鰈・蒸鰈・干鰈
北海道や北陸沿岸で多くとれるヒラメ科の魚で、マガレイ・アブラガレイ・ムシガレイ・マツカワ・ホシガレイ・スナガレイ・ヤナギムシガレイその他がある。これらはすべてヒラメ類で動物名にヒラメというのはない。味の優れたものと劣ったものとがあり、上等品は刺身にして賞味するが、下等品は蒲鉾や竹輪の材料となる。
→蒸鰈(生活)
【新訂「現代俳句歳時記/石田波郷・志摩芳次郎編」主婦と生活社より抜粋】
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※☆*わが友に贈る*☆※
「御みやづかい(士官)を
法華経とをぼしめせ」
職場は人間練磨の道場。
眼前の課題に挑み抜け!
誠実な振る舞いで勝て!
2017年4月11日
※☆*寸 鉄*☆※
火の国・熊本で「男子部幹部会」。不屈の心で友情を拡大。君こそ社会の光
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本当の決意込めた題目をあげよ―戸田先生。祈りから出発。これ必勝の要
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ヤング・ミセスの日。活動・家事・育児に全力。創価の未来開く奮闘に幸薫れ
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優れたリーダーの会話術―第1は「聞き上手」と。安心と納得広げる名将に
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ストーカーの摘発が過去最多。暗い夜道は避けよ。女性の「10帰運動」励行を
※☆*名字の言*※
「初ざくら折しもけふはよき日なり」(松尾芭蕉)。熊本地震から1年を前に、熊本平和会館で行われた新時代全国男子部幹部会。会場周辺では遅咲きの桜が春の訪れを告げ、参加者が顔をほころばせていた
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熊本地方気象台は1日、桜の開花を発表。平年より9日、昨年より10日遅れた。1962年4月2日に次いで観測史上2番目に遅く、先月末からの冷え込みで開花時期が延びたという。“試練の冬”に耐えてきた被災地の友にとって、春到来の喜びはひとしおだったに違いない
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熊本男子部はこの一年、被災地の清掃ボランティアなど復興に全力で携わる一方で、仏法対話に果敢に挑戦。“日本一”の弘教拡大で幹部会当日を迎えた。熊本に生まれ育ち、県男子部長を務めた壮年リーダーがしみじみと語っていた。「桜が幹部会の開催日を待ち、男子部の勝利をたたえてくれているようでした」
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池田先生は「桜は、厳しい冬を耐えて、耐えて、耐え抜いて、遂に迎えた春を、歓喜の勝鬨のごとく咲き誇る。勝利と祝賀を、賑やかに繰り広げゆく姿といってよい」とつづっている
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幹部会では、厳冬を越えて咲く春花のように、“人材の花”がらんまんと咲き薫っていた。次代を担い立つ彼らの姿こそ、希望の未来そのものだった。(剣)
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小説「新・人間革命」雌伏
雌伏 十五 法悟空 内田健一郎 画 (6043)
昼前から降りだした雨は、次第に雨脚が強くなっていた。
山本伸一は、佐久市の功労者宅を訪問するため、長野研修道場を出発した。
雨のなか、翌日の記念撮影のために、青年たちが県道沿いの空き地で草刈りをしていた。
伸一は、同行していた幹部に言った。
「皆が風邪をひかないように、作業が終わったら、研修道場の風呂を使えるようにしてください。泥も汗も流して温まってもらおう」
大事な“創価の宝”の青年たちである。泥まみれになって作業をしてもらっているだけでも申し訳ないのに、そのうえ風邪などひかせては絶対にならないとの強い思いがあった。
研修道場を発って五十分ほどで、佐久市の石塚勝夫の家に着いた。石塚は四十過ぎの壮年で、佐久本部の本部長をしていた。
彼は、感無量の面持ちで、「先生! わが家においでくださり、ありがとうございます」と言って、伸一の手を握り締めた。
石塚の父親は背広を着て、母親は着物に羽織姿で、丁重に一行を迎えた。
伸一は、研修道場に役員として来ていた石塚と語り合う機会があった。その時、彼が個人会館を提供してくれていると聞き、御礼に伺おうと思ったのである。
広宣流布を進めるうえで、個人会場が担う役割は大きい。各地域に大きな会館が造られても、支部や地区の日常活動の拠点や座談会場等となるのは、個人会場をはじめ、会員の皆さんのお宅である。そこは、現代における荘厳なる仏法の会座となる。
伸一たちは、石塚の自宅の居間に通された。懇談が始まった。彼の父親は、ちょうど、今日が八十歳の誕生日であるという。
伸一は、「お祝いに一句、お贈りしましょう」と言うと、壁に掛けてあった日めくりカレンダーに視線を注いだ。
「そこに、お書きしてよろしいでしょうか」
カレンダーを外してもらい、老夫妻の健康と長寿を祈りつつ、日付の横にこう認めた。
「あな嬉し 八十翁の 金の顔」
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魚島/今日の俳句 ≪第2467号≫
≪2017年(平成29年)4月10日(月)≫(旧暦3/14)
※新聞休刊日
魚島や雨ふりさうな葉のゆらぎ 対中いずみ
魚島をとほくに母の母らしく 大石雄鬼
鞆ノ津の魚島時の吹流し 和田照海
魚島や素足向け合ふ舟の上 堀 葦男
魚島の舟待つ犬は尾を立てて 辻田克巳
※ 魚島
四ー五月になると鯛や鰆(さわら)などが瀬戸内海に入り込み、海面にあたかも島のようになってひしめきあう。この時期を「魚島時」といい「魚島」はそれを略した形で、豊漁をさすこともある。瀬戸内海地方の方言。燧灘(ひうちなだ)に浮かぶ魚島は鯛漁で有名で、ここの漁が語源ともいわれる。
→桜鯛
【「(合本)俳句歳時記・第3巻/角川書店」より転載】
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