浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」雌伏

雌伏 七 法悟空 内田健一郎 画 (6035) 八月二十日の午後、山本伸一は、東京・台東文化会館を訪問したあと、長野県・軽井沢町の長野研修道場へ向かった。 軽井沢は、戸田城聖が逝去前年の一九五七年(昭和三十二年)八月に訪れ、最後の夏を過ごした地で…

枝垂桜/今日の俳句 ≪第2456号≫

≪2017年(平成29年)3月30日(木)≫(旧暦3/3) 高麗の里枝垂桜が紅潮す 細見綾子 桜茶に摘む枝垂花介護士と 品川鈴子 一本の枝垂桜に墓のかず 飯田龍太 大枝垂桜の中の大虚かな 三村純也 枝垂桜地に触るる枝は舞ふごとし 古賀まり子 ※ 枝垂桜・糸桜・紅枝垂。 エ…

小説「新・人間革命」雌伏

雌伏 六 法悟空 内田健一郎 画 (6034) 八月六日から八日まで、法主・日達の通夜、本葬が営まれ、山本伸一をはじめ、学会の首脳、代表も参列した。 この夏、世界四十一カ国三地域のSGIメンバー千三百人が来日していた。伸一は、十三日に神奈川文化会…

山桜/今日の俳句 ≪第2455号≫

≪2017年(平成29年)3月29日(水)≫(旧暦3/2) 山桜輪吊りにまはし売り軍手 加倉井秋を 鳥影の空はつめたし山桜 原田種茅 殺生の世を常として山桜 鈴木太郎 蔵王嶺の町の明るさ花山桜桃 皆川盤水 山桜の家で児を産み銅色 たむらちせい ※ 山桜 関東より西部の山地…

小説「新・人間革命」雌伏

雌伏 五 法悟空 内田健一郎 画 (6033) 山本伸一が法華講総講頭、学会の会長を辞任することで、若手僧らによる学会攻撃はピリオドが打たれることになっていた。 五月一日には、宗務院から「院達」として、次のような事項が徹底されている。 「御講等に於…

櫻/今日の俳句 ≪第2454号≫

≪2017年(平成29年)3月28日(火)≫(旧暦3/1) 教会の屋根一つ越え大桜樹 秋山深雪 指を見ていて桜満開に あざ蓉子 日本人ニャンと言っても桜好き 黒田さつき 満開の桜の森に迷子です 佐伯のぶこ 桜散る男ばかりが凸凹に 坪内稔典 ※ 桜・花・彼岸桜・糸桜・しだれ…

小説「新・人間革命」雌伏

雌伏 四 法悟空 内田健一郎 画 (6032) 山本伸一は、平和友好の対話を積極的に推進していった。 五月二十五日には、ザンビアのM・K・チーフ・マパンザ駐日大使と会談し、二十九日には、中国文芸界の指導者・周揚夫妻と語り合った。六月も、ニュージー…

暖か/今日の俳句 ≪第2453号≫

≪2017年(平成29年)3月27日(月)≫(旧暦2/30) 暖かし豊夫古鍬とぎすます 松本夜詩夫 肩に手をかけて話せば暖かし 大場白水郎 暖かや背の子の言葉聞きながし 中村汀女 一夜寝て暖か佐渡の置畳 石川桂郎 暖かし赤子は泣いて世に生る 保坂リエ ※ 暖か・ぬくし・春…

小説「新・人間革命」雌伏

雌伏 三 法悟空 内田健一郎 画 (6031) 山本伸一は、世界を結び、確かな平和への道を開くために、各国の識者や大使らとも積極的に交流を図っていった。五月十九日には、親善交流のために、中日友好の船「明華」で、交流団の団長として来日した中日友好協…

剪定/今日の俳句 ≪第2452号≫

≪2017年(平成29年)3月26日(日)≫(旧暦2/29) 剪定の桃を夕焼の癒すなり 大野林火 剪定の腰手拭や一日晴 村越化石 街路樹の剪定終る空のあり 鈴木ひろ志 剪定の遠きひとりに靄かかる 木村蕪城 剪定夫村の境に来てゐたり 廣瀬直人 ※ 剪定 林檎・梨・桜桃・枇杷・…

球根植う/今日の俳句 ≪第2451号≫

≪2017年(平成29年)3月25日(土)≫(旧暦2/28) ふかぶかと百合植ゑつまらなくなりぬ 大木あまり みなどこか歪む球根植ゑにけり 片山由美子 手にふれし芽を上むきにダリア植う 西垣 脩 球根植う毛に蔽はれし神父の手 町垣鳴海 芽の先をたしかめて秋の球根植う 乾 …

小説「新・人間革命」雌伏

雌伏 二 法悟空 内田健一郎 画 (6030) 山本伸一は、学会本部に行くことを、なるべく控えるようにしていた。 会長になった十条潔たちに、思う存分、指揮を執ってほしかったし、自分が本部にいることによって、ついつい皆が頼ってしまうようになることを…

木の実植う/今日の俳句 ≪第2450号≫

≪2017年(平成29年)3月24日(金)≫(旧暦2/27) 我山に我れ木の実植う他を知らず 西山泊雲 木の実植う土に埋もれさうに婆 佐野美智 木の実植う紀伊の岬の明るさに 河野青葉 終日植ゑてあまし丶木の実かな 尾崎迷堂 人を恋ふ櫃の実なれば植ゑにけり 橋本鶏二 ※ 木…

小説「新・人間革命」雌伏

雌伏 一 法悟空 内田健一郎 画 (6029) さあ、対話をしよう! 友の眼に秘められた 哀しみ、苦しみを見すえ、 ためらいの言葉に耳をそばだて、 勇気を奮い起こして 励ましの対話を始めよう! 同苦の腕を広げ、 弾む生命で、 希望と正義の哲学を語ろう! …

苗床/今日の俳句 ≪第2449号≫

≪2017年(平成29年)3月23日(木)≫(旧暦2/26) 苗障子煉瓦一個づつで押さふ 加倉井秋を 覗きたく近づいてゆく苗障子 大石悦子 苗障子一枚づつの世界かな 西本一都 あかつきの苗床は侏儒ひそみたる 中田 剛 朝顔の苗床にノア方舟も 島津 亮 ※ 苗床・温床・苗障子…

小説「新・人間革命」

大山 六十八 法悟空 内田健一郎 画 (6028) 漆黒の空が、次第に紫に変わり、うっすらと半島の稜線を浮かび上がらせる。やがて金の光が東の空に走り、海はキラキラと輝き、さわやかな五月の朝が明ける。 五月五日、山本伸一は、神奈川文化会館から、夜明…

花種蒔く/今日の俳句 ≪第2448号≫

≪2017年(平成29年)3月22日(水)≫(旧暦2/25) 花種蒔く土の眠りを覚しつつ 古賀まり子 尼ひとり花種播きし手のひかる 星野麦丘人 青き花の種子さらさらと傷みに播く 文挟夫佐恵 花種を蒔いて忘るる昇給差 白川京子 女房が花種探し蒔きにけり 細谷緋呂美 ※ 春の…

小説「新・人間革命」

大山 六十七 法悟空 内田健一郎 画 (6027) 山本伸一が峯子と共に、車で創価大学を出発したのは午後五時半であった。彼は学会本部へは戻らず、横浜の神奈川文化会館へ向かった。世界につながる横浜の海から、新しい世界広宣流布の戦いを、真の師弟の戦い…

田打/今日の俳句 ≪第2447号≫

≪2017年(平成29年)3月21日(火)≫(旧暦2/24) 生きかはり死にかはりして打つ田かな 村上鬼城 谷底に田打てる見えて一人なり 臼田亜浪 水流れきて流れゆく田打かな 芝不器男 減反は百も承知の春田打つ 大沢南渓 ゆく雲の北は会津や春田打 岡本 眸 ※ 田打 田を耕…

小説「新・人間革命」

大山 六十六 法悟空 内田健一郎 画 (6026) 法主・日達をはじめ、僧たちを送った山本伸一は、別室に入ると、妻の峯子に、和紙と硯、墨、筆を用意してもらった。創価学会の歴史に大きな足跡を刻むであろうこの日の、わが誓いと、弟子たちへの思いを、書…

≪2017年(平成29年)3月20日(月)≫(旧暦2/23)※春分の日・彼岸 春分の田の涯にある雪の寺 皆川盤水 春分の湯にすぐ沈む白タオル 飯田龍太 春分の日の切株が野に光る 安養白翠 春分の日をやはらかくひとりかな 山田みづえ 春分の日なり雨なり草の上 林 翔 ※ 春分…

小説「新・人間革命」

大山 六十五 法悟空 内田健一郎 画 (6025) 山本伸一のあいさつに与えられた時間は、十分にも満たなかった。 これまで本部総会では、伸一から広宣流布の遠大な未来構想や希望の指針が示され、また、社会、世界の直面するテーマに対して解決の方途を示す…

春めく/今日の俳句 ≪第2445号≫

≪2017年(平成29年)3月19日(日)≫(旧暦2/22) 春めくや鸚鵡のこゑとひとのこゑ 細川加賀 春めくや真夜ふりいでし雨ながら 軽部烏頭子 家なかにたつきの気配春めけり 大木千鶴子 春めくやふらんす装の製本屋 鈴木榮子 誓子句集「黄旗」装丁に春めきぬ 四葉允子 ※…

種物/今日の俳句 ≪第2444号≫

≪2017年(平成29年)3月18日(土)≫(旧暦2/21) 奥の間に海が揺れをり種物屋 伊藤白潮 すぐそこに川のせせらぎ種物屋 太田寛郎 種物にはたきを掛けて宿場町 朝妻 力 種物屋御国訛の漢かな 岩崎真理子 座布団に猫の坐れる種物屋 戸栗末廣 ※ 種物・物種・花種・種売…

小説「新・人間革命」

大山 六十四 法悟空 内田健一郎 画 (6024) 山本伸一は、日本の広宣流布の揺るぎない基盤をつくり、各国・地域に仏法の種子を下ろし、幸福の緑野を世界に広げてきた。 学会の組織の布陣も、高等部、中等部、少年・少女部を誕生させ、広範な文化運動を推…

彼岸/今日の俳句 ≪第2443号≫

≪2017年(平成29年)3月17日(金)≫(旧暦2/20) 兄妹の相睦みけり彼岸過 石田波郷 月山の山ひだ深き春彼岸 有馬朗人 遠浅の海おそろしき彼岸かな 岩下四十雀 ぜんまいをねんごろに煮て彼岸入 細見綾子 人界のともしび赤き彼岸かな 相馬遷子 ※ 彼岸 春分と秋分を中…

小説「新・人間革命」

大山 六十三 法悟空 内田健一郎 画 (6023) 山本伸一の落ち着いた力強い声が、場内に響いた。 「私は、十九歳で信仰いたしました。以来、今日まで約三十年間、病弱であった私が入院一つせず、広宣流布のために戦ってくることができました!」 そして、…

畑打/今日の俳句 ≪第2442号≫

≪2017年(平成29年)3月16日(木)≫(旧暦2/19) 畑打に藪のかがやく風日和 日野草城 畑打の鍬のかゞやきばかりかな 皆吉爽雨 それでも腹いつぱいの麦飯が畑うつ 種田山頭火 山畑を打つや大きくうつむきて 阿波野青畝 畑を打つ吉野の谷へ俯向きて 山口誓子 ※ 畑打 …

小説「新・人間革命」

大山 六十二 法悟空 内田健一郎 画 (6022) この日の総会には、いつもの学会の会合に見られる、あの弾けるような生命の躍動も歓喜もなかった。広がる青空とは裏腹に、暗鬱な雲が皆の心を覆っていた。 運営にあたる幹部らは、僧たちを刺激するまいと、腫…

麦踏/今日の俳句 ≪第2441号≫

≪2017年(平成29年)3月15日(水)≫(旧暦2/18) 麦の芽をもう踏みたくてたまらない 櫂未知子 麦ひと日踏みて遠方力満つ 長谷川双魚 麦踏みの影引き来ては先立ちぬ 笠原ひろむ 麦踏に巡礼声をかけてゆく 島田教夫 麦踏の足許に立つ土埃 松崎鉄之介 ※ 麦踏・麦を踏…