浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽(21)/小説「新・人間革命」

 

【常楽21】

 山本伸一は、〝学会の発展も、戦後の広宣流布の大伸展も、軍部政府の弾圧と戦って獄死した初代会長・牧口先生の死身弘法の精神を、戸田先生が、そして、同志が受け継いできたからにほかならない〟と深く思った。

 彼は、「源に水あれば流かはかず」(御書九〇〇㌻)の御文をかみ締めるのであった。

   

 十月十一日夜、伸一は、大阪・豊中市の関西戸田記念講堂で行われた、熱原法難七百年を記念する大阪・城東区の総会に出席した。

 席上、彼は熱原法難に触れながら、現代における殉教の精神に言及していった。

 「広布の前進も大河の時代に入った今日においては、一人の犠牲者もなく、一人も残らず、福運と長寿の人生を勝ち取っていくことが大切です。そして、それが、私の心からの祈りであり、願いであります。

 信心への大確信をもって、何があっても強盛に唱題し抜く。皆に仏法を教え、励まし、広宣流布のために、生きて生きて生き抜いて、幸せの実証を示しきっていく――それが、殉教の精神に通じることを知っていただきたいのであります」

 殉教とは、本来、死を礼讃するヒロイズムなどではない。〝広布こそ、わが人生!〟と定め、日々、現実社会で格闘しながら、忍耐強く信心に励み、幸福の王者となりゆくなかに、現代における仏法者の大道があるのだ。

 伸一は、大阪、京都と指導旅を続け、静岡へ行き、熱原法難七百年記念の法要に臨んだ。

 十四日夜、塔之原グラウンドで開かれた〝熱原法難記念の夕べ〟では、創作舞踊「熱原三烈士」が披露された。

 三烈士が示した不屈の信仰姿勢を継承しようとする、創価の同志の心意気がほとばしる迫真の舞台であった。皆、仕事に励み、広宣流布の活動に邁進するなかで、懸命に練習を重ね、この日を迎えたのであろう。

 伸一は、こう心で叫び、喝采していた。

 〝三烈士の大精神は、わが学会にある。学会ある限り、正法正義は滅びはしない!〟
【「聖教新聞」2016年(平成28年)1月26日(火)より転載】


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