浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽(25)/小説「新・人間革命」

 

【常楽25】

 山本伸一は、「母の曲」の二番の冒頭を、最初は「名も無き家を 守りつつ」とし、「家」の字を「しろ」と読むようにした。

 しかし、各家庭が、そのまま「母の城」なのだということを伝えるには、「家」ではなく、「城」と書いた方がよいと思った。

 そして、婦人たちを「小さな太陽」と表現した。太陽は、雨の日も、晴れの日も、嵐の日も、必ず昇る。何があろうが、粘り強く、黙々と、わが仕事、わが使命を果たし抜き、温かな光を皆に降り注いでいく。

 大業を成し遂げるものは、忍耐強い、地道な労作業である。

 作詞は、三番に入った。

 「ああ悲しみも いざ越えて……」

 ここでは、人生は過酷なる宿命との戦いであることを詠った。

 現実は、常に疾風怒濤である。順風満帆の人生などない。外から見ていてはわからなくとも、皆、何かしら深刻な悩みをかかえ、時に呻吟しながら生きているものだ。次から次へと、苦悩の怒濤は押し寄せて来る。

 だからこそ、唱題なのだ!

 だからこそ、折伏なのだ! 

 地涌の菩薩の、仏の大生命を呼び覚まし、強い心で、大きな心で、豊かな心で、悠々といっさいを乗り越え、勝利していくのだ。

 宿命が、悩みがあるからこそ、それを克服することによって、仏法の功力を、その真実を、偉大さを証明することができる。わが宿命は、わが使命となるのだ。ゆえに、信心で打開できない悩みなど、断じてない。

 叩きつける氷雨の激しさに、心が絶望の暗雲に覆われてしまうこともあるかもしれない。しかし、今日も、明日も、太陽は、燦々と輝き、昇っていることを忘れまい。

 大宇宙を貫く妙法に連なり、自らが太陽となるのだ。栄光と勝利の歓喜の輝きを放ち、幸の光彩をもって、一家を、さらに地域を、未来を照らし出していくのだ。

 伸一は、心の思いを、励ましの叫びを、婦人部の歌に込め、歌詞を口述していった。

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)1月30日(土)より転載】


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