浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽(27)/小説「新・人間革命」

 

【常楽27】

 山本伸一は、本部幹部会で語った。
 「この『母の曲』は、作曲も頼んであります。今日中には、出来上がると思います。楽しみにしていてください」
 発表された「母の曲」の歌詞を聴いた婦人たちの反響は大きかった。ある年配の婦人は、頰を紅潮させながら感想を語った。
 「一番の『幼子抱きて……』は、昔を回想しながら懐かしく聴きました。そして、四番まで進み、『老いゆく歳も 忘れ去り』にいたった時、“ああ、これは、今の私のための歌なんだ。これからも頑張ろう! 見事な人生の総仕上げをしよう”と心に誓いました」
 また、「聖教新聞」に掲載された歌詞を見た、富山県のヤング・ミセスのメンバーは、峯子に、こう思いを伝えてきた。
 「自分では、創価学会の婦人部として、一生懸命にやってきたつもりでした。でも、一番から四番までの歌詞を拝見し、“これだけの苦労をして、これだけの決意で、広宣流布のために生き抜いてこそ、本物の婦人部なのだ”ということが、よくわかりました。
 “まだまだ私など、創価学会の婦人部とはいえない”と痛感しました。本当の婦人部員として胸を張れるように頑張っていきます」
 作曲を依頼された音楽関係者は、この日、板橋文化会館に駆けつけて、打ち合わせを行い、曲づくりに取り組んでいた。
 伸一は、本部幹部会終了後も、代表と懇談会などをもちながら板橋文化会館に残り、曲の完成を待った。夜、曲と歌が入った録音テープが届けられた。皆でテープを聴いた。
 「いい曲だ。明日は、滋賀研修道場で琵琶湖フェスティバルが行われるんだね。そこでも歌のテープを流して聴いてもらおうよ」
 伸一は、当初、この催しに出席する予定であった。しかし、東京・信濃町で社会部大会や県長会が行われるため、代理として妻の峯子と長男の正弘を向かわせることにした。さらに、どうすれば、参加者が満足し、喜んでくれるのか、考え抜いていたのだ。
 最善を尽くし抜いてこそ、心は結ばれる。

【「聖教新聞」2016年(平成28年)2月2日(火)より転載】


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