浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

〈小説「新・人間革命」〉 常楽 三十 2016年2月5日

 

【常楽30】

 十月二十一日の本部幹部会で、婦人部歌「母の曲」とともに発表された茨城県歌「凱歌の人生」の歌詞には、山本伸一の“すべてに勝利の茨城であれ!”との、強い、強い、期待が込められていた。
 彼は、茨城県多様性に富み、未来創造の新モデルとなる県であると感じていた。
 多くの県が、県庁所在地などへの一極集中化が見られるなかで、茨城県は多極化し、人口も分散しているという特徴がある。
 県央の水戸市に県庁が置かれ、県北の日立市をはじめ太平洋沿岸では工業化が進み、南東部では鹿島港を中心に臨海工業地帯が広がっている。南部には筑波研究学園都市がつくられ、科学研究の最先端を担い、土浦など、一帯は首都圏の拡大にともない、東京のベッドタウンとなっている。
 その一方で、県西部をはじめ、県のほとんどが関東平野に位置し、農業も盛んである。霞ケ浦など湖沼も多い。また、袋田の滝や水郷など観光資源にも恵まれている。
 多様性に富んだ茨城は、日本一国の縮図でもある。その茨城の各地域で、広宣流布の勝利像、モデル像がつくられていくならば、それはそのまま、二十一世紀の勝利への道しるべを打ち立てることになる。そして、そこに、茨城の担うべき大使命があると、伸一は考えていたのだ。
 その新しき前進のためには、各人が自身の殻を破り、境涯革命していくことが肝要である。心を大きく開き、柔軟に人びとを包み込むとともに、何があっても負けない粘り強さ、忍耐力を培うことである。
 自分の「我」に固執すればするほど、人との溝が深まり、世界は狭くなっていく。地域の繁栄も、広宣流布の伸展も、皆が進取の意気に燃え、広い心で、団結していくなかにこそある。
 広い心もまた、忍耐に裏打ちされている。忍耐は、すべての勝利の道につながる。
 伸一は、茨城の大飛躍のために、「耐え勝つ」ことを命に刻んでほしかった。

【「聖教新聞」2016年(平成28年)2月5日(金)より転載】


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