常楽38〈小説「新・人間革命」〉
【常楽38】
山本伸一が作詞した栃木の歌「誓いの友」の作曲も終わり、歌が栃木県の幹部に伝えられたのは、県の日記念総会の前日、十一月二日の夜のことであった。
翌三日、合唱団のメンバーは、総会の会場である足利市民体育館へ向かうバスの中でも、喜びに目を潤ませながら、練習に励んだ。合唱団の名は「戸田合唱団」である。戸田城聖の戦後初の地方指導に思いを馳せ、この年の三月、伸一が命名したのである。
記念総会が始まり、歌が披露された。
一、ああ高原の 郷土に
立ちて誓わん わが友と
三世の道は ここにあり
栃木の凱歌に 幸の河
二、あの日誓いし 荘厳の
語りし歴史 つづらんと
ああ幾山河 凜々しくも
栃木の勝利に 涙あり
三、栃木の友は 恐れなし
広布の歩調は 朗らかに
いざいざ進まん 慈悲の剣
栃木の旗に 集い寄れ
君との誓い 忘れまじ
栃木の同志は、「誓いの友」という曲名、そして、何度も出てくる「誓」という言葉の意味を嚙み締めていた。
歌詞に「君との誓い 忘れまじ」とあるように、伸一にとっては、今回、県の歌を贈ったこと自体、皆との共戦の誓いを、断固、果たさんとする決意の証明であった。
また、栃木の同志は、それぞれが立ててきた、伸一との挑戦の誓いを思い起こし、胸に闘魂を燃え上がらせるのであった。
われらの誓いとは、広宣流布実現への、地涌の菩薩の誓願である。「在在諸仏土 常与師俱生」(法華経三一七ページ)とあるように、広布に生きる創価の師弟の誓いである。
小説『新・人間革命』語句の解説
◎在在諸仏土/ 常与師俱生/法華経化城喩品第七の文で「在在の諸仏の土に 常に師と俱に生ず」と読む。いたるところの仏の国土に、師と弟子が常に共に生まれ、仏法を行じるとの意。仏法の師弟の絆が、三世にわたることを示している。
【「聖教新聞」2016年(平成28年)2月16日(月)より転載】
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