浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽42〈小説「新・人間革命」〉

 


【常楽42】

 学会は、日達法主の了承のもと、御本尊の謹刻を進めた。しかし、宗内で謹刻を誹謗する声が起こったのだ。山本伸一は、宗門の意向を尊重しようと、直接、日達法主に、謹刻した板御本尊は、どうすることがいちばんよいのかを尋ねた。一九七八年(昭和五十三年)九月二日のことだ。
 すべて学会本部に宝物としてお納めくだされば結構です、とのことであった。それは「聖教新聞」にも報道された。
 ところが、その後、宗内の話として、学会に連絡が入った。
 ――若手の僧たちが騒いでいる。板御本尊は本山に納めてほしい。そうしてくれれば問題はすべて収まる、というのである。
 学会は、これを聞き入れ、創価学会常住の御本尊を除く、七体の板御本尊を総本山に納めた。直後の十月三日、宗務院は院達を出し、板御本尊が総本山に奉納されたことを伝えるとともに、こう徹底した。
 「今後は創価学会の板御本尊のことに関しては、一切論議を禁止する旨、御法主上人猊下より御命令がありましたので、充分御了知下さるよう願います。 
 我が宗は、日蓮大聖人の正義を広宣流布するものであることは、既に御承知の通りでありますので、これの妨げとなるような僧侶間の摩擦を排し、僧俗一致して御奉公の誠を尽されるようお願い致します」
 にもかかわらず、僧たちは、十一月七日に行われる創立記念の代表幹部会の原稿に、御本尊謹刻についての謝罪を入れよと言いだしたのだ。
 学会の首脳たちは、院達が出ているのに、とんでもないことだと思った。しかし、学会員を守るための総本山での代表幹部会である。そうすることで宗内が正常化し、宗門僧の非道な攻撃が終わり、皆が安心して信心に励めるものならと、学会側は最大限の譲歩をしたのである。
 広宣流布の航路は、荒れ狂う激浪のなか、忍耐強く、新大陸をめざす戦いといえよう。

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)2月20日(土)より転載】


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