浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽43〈小説「新・人間革命」〉

 


【常楽43】

 十一月七日午後一時前、総本山の大講堂で、学会創立四十八周年を記念する代表幹部会が行われた。
 男子部長の開会の言葉に続いて、理事長の十条潔、そして、副会長の関久男が、宗門と学会の間に生じた諸問題への今後の対応について語った。その際、関は、やむなく、「不用意にご謹刻申し上げた御本尊については」との表現を用いた。この件は、仏法の本義のうえでも、また経過からも、何も問題のないことであったが、僧俗和合を願って学会は、宗門の要求に応じたのである。
 次いで、山本伸一があいさつに立った。
 彼は、これまで、学会の宗門への対応に、さまざまな点で行き過ぎがあり、宗内を騒がせ、その収拾にあたって、不本意ながら十分に手を尽くせなかったとして、法華講総講頭の立場から謝意を表した。
 伸一の脳裏には、御講で、葬儀の席で、宗門僧に悪口雑言を浴びせられ、冷酷な仕打ちを受け、悔し涙をこらえてきた、同志の顔が、次々と浮かんだ――彼は、自分が耐え忍ぶことで、最愛の同志を守れるならば、これでよいと思った。ともかく、卑劣な僧の攻撃に、ピリオドを打ちたかった。
 彼は、参加者に呼びかけた。
 「広宣流布は、万年への遠征であります。これからが、二十一世紀へ向けての本舞台と展望いたします。どうか同志の皆さんは、美しき信心と信心のスクラムを組んで、広々とした大海のような境涯で進んでいっていただきたいのであります。
 そして、現実に人生の四苦に悩める人を、常楽我浄の幸福の道へと転換するために、今日も、明日も、粘り強く、民衆のなかに入り、人間のために、社会のために、そして、広くは世界のために、一閻浮提の正法の光を、燦然と輝かせていく新たなる前進を開始しようではありませんか!」
 伸一は、大切な同志が、希望に燃えて、堂々と胸を張り、はつらつと広宣流布の歩みを開始してほしかったのである。


【「聖教新聞」2016年(平成28年)2月20日(土)より転載】


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