浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽53〈小説「新・人間革命」〉

 


【常楽53】法悟空 内田健一郎 画 (5741)

 山本伸一は、さらに訴えていった。
 「信心の世界にあっては、一つ一つの課題に対して、常に真剣に取り組んでいかなくてはならない。
 学会活動は、現代における最高の仏道修行です。仏道修行というのは、己との対決であり、自分の限界を打ち破って、心を強く、大きくし、境涯を開いていくためのものです。
 したがって、人の目を意識し、格好だけ取り繕っても、根底にいい加減さがあれば、人間革命はできません。しかし、真剣であり、一途な人、誠実な人は、必ず、大きく成長していきます。
 信心が惰性化していくと、この根底の真剣さが萎えてしまい、一生懸命やっているように見せかけて終わってしまう。そうなれば、どんな幹部であろうと、信心の歓喜はなくなり、人を触発することもできません。
 二十二年前の、あの“大阪の戦い”で大勝利を収めることができたのは、皆が真剣であったからです。だから歓喜があり、功徳があり、確信が湧き、感動のなかに凱歌を響かせることができた。
 新しい『常勝関西』の建設のために、中心となる幹部の皆さん方は、このことを忘れないでいただきたい」
 こう語る彼の口調には、関西の大飛躍を願う、強い思いがあふれていた。
   
 翌十日、山本伸一は、二年十カ月ぶりに、大阪市の南に隣接する堺市の、堺文化会館(後の堺平和会館)を訪問した。
 草創期、大阪支部に続いて関西に誕生したのが堺支部であった。当初、規模の小さな支部であったが、その奮闘が、大阪支部に奮起を促し、関西の牽引力となっていった。
 また堺は、古くから対明・対南蛮貿易などで栄え、豪商による自治都市がつくられた。町人文化も盛んで、自主と進取の精神が脈打つ地域であった。その誇り高い気風を受け継ぐ堺から、関西に広布の新風を起こしたいと、伸一は考えていたのだ。

【「聖教新聞」2016年(平成28年)3月4日より転載】


☆彡------☆★☆★☆*------彡☆o☆:*:.♪☆★☆*------☆彡