浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽54〈小説「新・人間革命」〉

 


【常楽54】 法悟空 内田健一郎 画 (5742)

 堺支部の誕生は、一九五三年(昭和二十八年)十一月である。山本伸一の堺訪問は、支部結成二十五周年にあたっていた。彼は、堺文化会館で、集っていた代表幹部と共に、その佳節を祝う勤行を行った。
 支部結成前年の八月十四日、伸一は、堺への第一歩を印し、座談会に出席している。この日は、彼が戸田城聖と出会ってから、ちょうど五年となる記念の日であり、胸には、師弟共戦の決意が燃え盛っていた。
 さらに、一九五六、七年(同三十一、二年)と、“大阪の戦い”の指揮を執った折にも、何度となく堺に足を運んだ思い出がある。
 堺文化会館で勤行を終えて、彼が席に着くと、堺支部の初代支部長を務めた浅田宏の、メガネをかけた温和な顔があった。
 伸一は、懐かしそうに語りかけた。
 「久しぶりにお会いできて嬉しい。草創期を戦った先輩方が、いつまでも元気で活躍していることが、後輩たちの希望になるんです。
 仏法の真実、創価学会の信仰の正義は、一生を通じて、一個の人間の生き方を通して証明していくべきものなんです。
 七十代、八十代、九十代となっても、青年時代の信念をいささかも曲げずに、喜々として広宣流布に生き抜いている。その姿を見れば、後輩たちは、“この信心は本物なんだ。生涯をかけて悔いない信仰なんだ”と、安心して信心を貫いていくことができる。
 反対に、昔は、華々しく幹部として頑張っていたが、いつの間にか、活動にも参加しなくなってしまったという人もいる。それを見た後輩たちは、どれほど、わびしい思いをするか。先輩の責任は重いんです。
 ゆえに、信心は、生涯、全うしていかなければならない。よろしく頼みます」
 「はい! 頑張ります」
 浅田は、既に七十六歳であったが、その声には、若々しい闘志があふれていた。
 「嬉しいね。まるで青年のようではないですか。幾つになろうが、この心意気が学会精神なんです。“永遠の青春”ですよ」

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)3月5日より転載】


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