浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽58〈小説「新・人間革命」〉

 


【常楽58】 法悟空 内田健一郎 画 (5746)

 泉州文化会館の開館記念勤行会は、山本伸一のあいさつとなった。
 そのなかで彼は、「信心の基本とは何か」に言及していった。
 「それは、究極的には“御本尊根本”ということに帰着します。では、“御本尊根本”とは、いかなる生き方をいうのか――。
 人生は、何が起こるかわかりません。順風満帆とはいかず、浮き沈みもある。生きるということは戦いであり、ある意味で苦難の連続であるといえるかもしれない。病や不慮の事故、経済的な問題、人間関係の悩み、あるいは、子どものことで苦しむ場合もある。
 しかし、仏法では、『煩悩即菩提』『生死即涅槃』と教えている。いかなる迷い、苦悩に直面しても、この原理を忘れてはならない。
 日蓮大聖人は、私たちが、煩悩を菩提へ、生死を涅槃へ、四苦八苦に苦しむ身を常楽我浄の生命へと転換し、人生の幸せを満喫して生きていくために御本尊を顕された。
 いわば、迷い、苦悩の生命を転換していくための回転軸こそが御本尊であり、その回転の力となるのが唱題なんです。ところが、窮地に陥ると、“もう駄目だ”と絶望的になったり、信心が揺らいだりしてしまう。それは、縁に紛動され、根本の一念が御本尊から離れてしまっているからなんです。
 生命が御本尊と合致していれば、どんな苦難も、必ず乗り越えていくことができる。信心の極意は、何があっても御本尊に向かい、題目を唱え抜いていくことしかありません。
 苦しい時も、悲しい時も、嬉しい時も、この姿勢を貫き通していくことが、“御本尊根本”の信心であり、それが正信なんです。
 そうすれば、御本尊が助けてくれないわけがない。困難を乗り越える大生命力が、智慧が、湧かないわけがありません。常に、根底の一念を御本尊に定め、その信心を持続することが、現世安穏・後生善処の人生につながっていくことを知っていただきたい。
 また、よく“信心の根を張る”というが、それは、持続の信心ということなんです」

【「聖教新聞」2016年(平成28年)3月10日より転載】


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