浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽六十七/小説「新・人間革命」〉

 


【常楽六十七】法悟空 内田健一郎 画 (5755)

 山本伸一は、泉州の女子部総会に続いて行われた、各部合同勤行会にも出席した。この参加者は、泉州文化会館を菊の花で荘厳するために、丹精込めて菊を育てた各大ブロックの有志たちであった。
 二日前、咲き薫る菊の花を見た伸一は、関西の幹部に、「この花を育ててくれた方たちは、勤行会には集って来られますか」と尋ねた。メンバーが、参加対象にはなっていないことを聞くと、こう提案した。
 「勤行会の開催回数を増やして、菊を育ててくださった方々をお招きできませんか。私は、何回でも出席させていただきます。陰で苦労し、真心を尽くしてくださった人を、最も大事にするのが学会です。私は、直接お会いして、心から御礼申し上げたいんです」
 そして、十二日午後の各部合同勤行会が決まったのである。人びとを思う、一つ一つの配慮のなかにこそ、人間主義の輝きがある。
 勤行会で伸一は、「よ(善)からんは不思議わる(悪)からんは一定とをもへ」(御書一一九〇ページ)の御聖訓を拝して、広布の道は苦闘の連続であると覚悟し、諸難を乗り越え、人生の勝利と幸福を築いてほしいと訴えた。
 また、菊作りの労作業に感謝し、賞賛と励ましの句を、次々と贈ったのである。
 「天に月 地に菊薫る 広布かな」
 「菊作り 喜ぶ人みて 陰で泣く」
 「目もさめる 此の世の絵巻か 菊の庭」
 「菊見つつ 信のこころが 見ゆるかな」
 「霊山も かくの如きか 菊の波」
 勤行会での指導を終えた彼は、会場の片隅にいた数人の老婦人のもとへ歩みを運んだ。苦労して広宣流布の道を切り開いてこられた草創の功労者であろう。広布の幾山河を歩み抜いてきた苦闘と栄光が偲ばれた。仏を仰ぐ思いで、老婦人の肩に手をかけて言った。
 「よくいらっしゃいましたね。偉大なるお母さん方にお会いできて嬉しい。お疲れ様です。皆さんを見ていると、私のおふくろのように思えるんです。うんと長生きしてください。それが私の願いです」

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)3月21日(月)より転載】


☆彡------☆★☆★☆*------彡☆o☆:*:.♪☆★☆*------☆彡