浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走 一/小説「新・人間革命」〉

 


【力走 一】 法悟空 内田健一郎 画 (5758)

 爽快な秋晴れであった。
 暗雲を払い、威風も堂々と進む創価の同志の心意気を表すかのように青空が広がった。
 一九七八年(昭和五十三年)十一月十八日午後、創価学会創立四十八周年を記念する本部幹部会が、本部総会の意義をとどめて、東京・荒川文化会館で盛大に開催された。学会が定めた明七九年(同五十四年)「人材育成の年」への助走が、力強く開始されたのだ。
 席上、会長・山本伸一は、学会が七年ごとに前進の節を刻んできた「七つの鐘」が、明年には鳴り終わることを述べ、その翌年の八〇年(同五十五年)から二〇〇〇年まで、五年単位に、二十一世紀への新たな前進の節を刻んでいくことを発表した。
 また、「11・18」を記念して、今や人類的課題となった環境問題を中心に、「地方の時代」などについての提言を行うことを語った。
 そして、翌十九日付の「聖教新聞」に、四・五面見開きで、記念提言が掲載されたのだ。
 提言では、まず、「地方の時代」が叫ばれ始めた背景について論じていった。
 ――日本の近代産業は、中央集権的な政治体制と密接に結びついて、効率の良さを追求し、多大な富をもたらしてきた。しかし、その半面、消費文明化、都市偏重をもたらし、過密・過疎や環境破壊が進むとともに、地方の伝統文化は表面的、画一的な中央文化に従属させられてきた。つまり、各地の個性的な生活様式や、地域に根ざした文化の多様性が切り崩されていったのだ。
 そのなかで、伝統に根ざし、伝統を触発しつつ、みずみずしい生活感覚を発揮していける場を取り戻そうとの、人びとの願いが背景となって、「地方の時代」を志向する流れが生まれたと分析。さらに、庶民の日常生活に即して進められる私どもの運動は、そうした願いを、共に呼吸するなかで進められていかなければならないと訴えたのである。
 仏法即世間であり、学会即社会である。人びとの希求、渇望に応えてこそ、時代の創造という宗教の使命を果たすことができる。

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)3月24日(木)より転載】


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