浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走 七〈小説「新・人間革命」〉

 


【力走 七 】 法悟空 内田健一郎 画 (5764)

 山本伸一は、群馬の歌「広布の鐘」の歌詞を届けてもらう時、伝言を添えた。
 「作曲も、私の方で依頼しておきます。曲ができたら、すぐに伝えます」
 群馬のメンバーは、一日千秋の思いで、曲の完成を待った。
 十一月二十一日夜、群馬センターでは、県幹部らが集い、十二月度の活動をめぐって協議会が行われていた。
 そこに電話が入った。伸一に同行していた幹部からであった。
 「群馬の歌の曲ができました。これからテープで流しますので聴いてください」
 電話に出た県の幹部が答えた。
 「しばらくお待ちください。それを録音させていただきます」
 受話器から歌声と調べが響いた。希望あふれる、力強い歌となっていた。
  
 一、我等を守り 見つめたる
   赤城の風は 妙法と
   群馬の天地に 幸薫れ
   さあ肩くみて 友よ起て
  
 二、あふるる文化の 上毛に
   今再びの 広宣の
   この世の夢か 楽土をば
   さあ築きゆけ 鐘鳴らせ
  
 三、ロマンの歴史 満々と
   群馬の足跡 朗らかに
   仰げば天に 虹光り
   ああ我等の誓い 忘れまじ
   利根と榛名に 忘れまじ
  
 それは、二十一世紀への新しき前進を開始する群馬の、旅立ちの曲であった。
 皆の脳裏に、山紫水明の美しき郷土の天地が次々と浮かんだ。その地で戦う自分たちを、じっと見つめる、伸一の心を感じた。
 電話から聞こえてくる歌と曲に耳を傾ける県幹部の目は、涙に潤んでいた。

 

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)3月31日より転載】


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