浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走 十六〈小説「新・人間革命」〉

 


【力走 十六】 法悟空 内田健一郎 画 (5773)

 十和田光一は、山本伸一の真心と気迫に圧倒されながら、話を聞いていた。
 「病に打ち勝つ根本は、大生命力を涌現させていくことです。その力は、他者を守るために生き抜こうとする時に、最も強く発揮されるんです。
 戦時下に生きた人びとの記録や、引き揚げ者の証言等を見ても、子どもを守ろうと必死であった母たちは、誰よりも強く、たくましく生き抜いています。
 私たちは、広宣流布という万人の幸福と世界の平和の実現をめざしている。その使命を果たしゆくために、自身の病を克服しようと祈るならば、地涌の菩薩の生命が、仏の大生命が涌現し、あふれてきます。それによって病に打ち勝つことができるんです。
 また、信心をしていても、若くして病で亡くなることもあります。それぞれのもっている罪業というものは、私たち凡夫には計りがたい。しかし、広宣流布に生き抜いた人には、鮮やかな生の燃焼があり、歓喜がある。その生き方、行動は、人間として尊き輝きを放ち、多くの同志に共感をもたらします。
 病床にあって見舞いに訪れる同志を、懸命に励まし続けた人もいます。薄れゆく意識のなかで、息を引き取る間際まで、題目を唱え続けた人もいます。
 それは、地涌の菩薩として人生を完結した姿です。今世において、ことごとく罪障消滅したことは間違いありません。さらに、生命は三世永遠であるがゆえに、来世もまた、地涌の使命に燃えて、地涌の仏子の陣列に生まれてくるんです。
 広宣流布の大河と共に生きるならば、病も死も、なんの不安も心配もいりません。私たちには、三世にわたる金色燦然たる壮大な幸の大海が、腕を広げて待っているんです」
 伸一は、不二の関西の同志には、何ものも恐れぬ勇猛精進の人に育ってほしかった。
 文豪トルストイは訴えている。
 「平安にして強き人でありたいと思ったら、自己の胸に信仰を確立するがよい」(注)

 小説『新・人間革命』の引用文献
 注 トルストイ著『一日一章人生読本4~6月』原久一郎訳、社会思想社


【「聖教新聞」2016年(平成28年)4月12日より転載】


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