浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走 二十六〈小説「新・人間革命」〉

 


【力走 二十六】 法悟空 内田健一郎 画 (5783)

 集ったメンバーは、頷きながら、真剣な面持ちで山本伸一の話に耳を傾けていた。
 さらに言葉をついだ。
 「人間というのは、なかなか自分を見つめようとはしないものです。
 皆が団結できず、地域の広宣流布が遅々として進まない組織がある。何人かの幹部に“どこに原因があるのか”を聞いてみると、たいてい『あの人が悪い』『この人が悪い』等々、たくさん理由をあげる。確かに、そう指摘される人には問題があるかもしれませんが、そこには、自分はどうなのだという視座が欠落している。他の人が悪いからといって、自分が正しいとは限りません。
 ところが、“自分に責任があるのだ。私が悪い”とは考えない。つまり、『己心の外』にばかり目がいってしまい、大聖人の御聖訓も、学会の指導も、他人を測り、批判するための尺度になってしまっているんです。
 本来、仏法の教えというものは、自分の生き方の尺度とすべきものです。ここを間違えると、信心の道を大きく踏み外してしまうことになります。だから、皆さんには、幸せになるために、自分自身に生き抜き、本当の信心を貫いてほしいんです。
 仏法者というのは『自己挑戦』の人、『自己対決』の人です。我即宇宙ですから、自身を征する人は一切に勝つことができます。
 ともかく、題目を唱えていけば、自分が変わります。自分が変われば、環境も変わる。したがって、いかに多忙であっても、勤行・唱題という根本の実践は、決しておろそかにしてはならない。その根本がいい加減になれば、すべてが空転してしまい、価値を創造していくことはできないからです。
 どうか、一日一日、一瞬一瞬を大切にし、わが生命を輝かせながら、大勝利の所願満足の人生を生き抜いてください」
 伸一は、情熱を込めて語り抜いた。
 指導には、一つ一つの事柄を徹して掘り下げ、皆が心から納得するまで、噛み砕いて話していく粘り強さ、誠実さが必要である。

【「聖教新聞」2016年(平成28年)4月23日より転載】


☆彡------☆★☆★☆*------彡☆o☆:*:.♪☆★☆*------☆彡