浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走/四十七〈小説「新・人間革命」〉

 

 力走 四十七 /法悟空 内田健一郎 画 (5804)

 山本伸一は、夕刻には高知研修道場周辺の視察に出かけ、足摺海洋館を訪問した。
 一九七〇年(昭和四十五年)に、日本で初めて海中公園(後の海域公園)に指定されたこの辺りは、海の透明度も高く、波や風に浸食されてきた砂岩や泥岩は、ユニークな形に姿を変え、地質の博物館ともいわれていた。
 足摺海洋館には、大きな水槽が設置され、土佐の海や黒潮のなかで生きる魚類などの生態を、観察することができた。
 研修道場に戻ると、ほどなく第二回の勤行会が始まろうとしていた。
 伸一は、四国長の久米川誠太郎に尋ねた。
 「今日一日で、何人ぐらいの同志にお会いすることになるかね」
 「だいたい二千人だと思います」
 「そうか。私の気持ちとしては、高知の全同志とお会いしたいんだ。来られる方は、一人でも多く参加できるように工夫してほしい。私と会員の皆さんの間には、壁なんかないんだ。また、絶対に、そんなものをつくってはいけないよ。権威、権力になってしまったら、既に日蓮大聖人の仏法ではないもの」
 伸一は、この勤行会でも、あいさつだけでなく、万歳三唱を提案したり、自らピアノを弾いたりするなどして、参加者の激励に心を砕き、力を注いだ。
 翌八日も、午後一時過ぎから勤行会が開かれた。これには、地元の高知県だけでなく、愛媛県からも南予の代表が参加した。
 ここでは、高知が指針の一つとしている、「水の信心」について言及していった。
 「水の流れるように信心を実践していくには、十年、二十年、三十年と、長期の視点に立ち、粘り強く精進を重ねていくことです。そして、生活を確立し、家庭を盤石にして、足もとを固めることが大事なんです。
 さらに、学会の組織、同志から離れないことです。また、信心の基本となる教学を、しっかり身につけていくんです。たとえば、御書全編を拝読する気概で、真剣に教学に取り組んでください」


【「聖教新聞」2016年(平成28年)5月19日より転載】


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