浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走/五十一〈小説「新・人間革命」〉

 

力走 五十一/法悟空 内田健一郎 画 (5808)

 

 天宮四郎・繁美は、夫妻で地域広布の草創の歴史を拓き、さらに、広布第二章の今も、支
部長・婦人部長として、地域のため、社会のために力走を続けていたのである。
 天宮は、よく皆に、こう訴えてきた。
 「心のなかに迷いがあったら、本気で信心に取り組むことはできんし、力を出すこともで
きん。日蓮大聖人も、『一人の心なれども二つの心あれば其の心たが(違)いて成ずる事な
し』(御書一四六三ページ)と言われちょう。
 要は、腹を決めることよ。潔い信心に立ってこそ、自分の最大の力が出るし、大きな功徳
を受けることもできる」
 彼は、常に“潔い信心”を心に誓い、全力で活動に励んできたのである。
 山本伸一は、研修道場で天宮に言った。
 「あなたのように、必死になって戦い抜いてきた方が、今日の広宣流布の流れを開いてき
たんです。『いごっそう、万歳!』です。
 私がお願いしたいのは、さらに大きな心で皆を包み込んでいただきたいということです。
一徹な人は、ともすれば、人の意見を聞かず、自分の考えを人に押しつける傾向があるとい
われています。しかし、広宣流布は、団結の力によってなされる。皆が心を合わせ、伸び伸
びと前進していくには、リーダーの包容力、寛容さが必要なんです。
 また、あなたの強盛な信心を、お子さんたちにも伝えていってください。二十一世紀が、
広宣流布の本当の勝負になります」
 天宮は決意を確認するように深く頷いた。
 伸一は、天宮を顕彰していくため、この広場の名称を、彼の名を冠したものにしてはどう
かと、方面や県の幹部らに提案した。
 社会では、顕彰されるのは権力者や著名人がほとんどである。しかし、伸一は、黙々と人
びとの幸福のために奮闘してきた、無名の民衆リーダーたちの名を、樹木や庭などの名称に
冠することによって、末永く顕彰するように努めていた。そこにこそ、万人の平等を説く仏
法の眼があり、民衆を王とする、真の民主があるからだ。

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)5月24日より転載】

 

 

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