浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走/六十一〈小説「新・人間革命」〉

 


力走/六十一  法悟空 内田健一郎 画 (5818)

 山本伸一たちが幡多会館に到着したのは、午後六時過ぎであり、辺りは、すっかり暗くなっていた。出迎えてくれた管理者をねぎらい、伸一の到着を待っていた幡多地域のメンバーと、時間の許す限り懇談した。時を最大に生かしてこそ、命は輝く。
 彼は、四、五十分後には幡多会館を出発し、高知市へ戻るため、中村駅から列車に乗った。帰りの車中でも、途中から乗車してきた学会員の一家と語らいを続けた。高知文化会館に着いたのは、午後十時近かった。
 翌十二月十日、「教学の年」の掉尾を飾る教学部任用試験が、午後一時から全国の会場で一斉に行われた。
 伸一は、午前中、高知文化会館周辺の商店などを訪問して、あいさつをするとともに、居合わせた学会員を激励した。
 午後には、会館で任用試験の受験者を励ましたあと、同じく試験会場になっている学会員が営む保育園を訪れ、ここでも受験者に語りかけた。
 「信心の基本は信行学にあります。教学を研鑽し、こうして試験に取り組んでいること自体が、人間としても、仏法者としても、尊い求道の姿です。また、それは、福運と功徳を積む源泉となっていくことを確信してください。皆さんは、一人も漏れなく信心の勝利者となるよう、お願いします」
 受験会場から廊下に出て運動場を見ると、二百人ほどの人たちが待機していた。受験者の付き添いで来た人たちである。
 “この方々は、受験者の家を訪れ、任用試験に挑戦するように説得し、日々、励ましながら、教学を教えてきたにちがいない。誠実さ、真剣さ、粘り強さが求められる労作業であったであろう。そこにこそ、人材育成の王道があり、歓喜と充実がある。そして、創価広宣流布運動の本流があるのだ!”
 伸一は、感動と感謝の思いを込めて言った。
 「皆さん、本当にありがとう!」
 そして、記念撮影を提案し、三回に分かれてカメラに納まり、出会いをとどめた。


【「聖教新聞」2016年(平成28年)6月4日より転載】


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