浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走/六十四〈小説「新・人間革命」〉

 


力走/六十四  法悟空 内田健一郎 画 (5821)

 高知の男子部に、山本伸一は訴えた。
 「私たちは、青年部の時代、兄弟以上に同志の結合を固めながら、ありとあらゆる闘争をしてきました。皆、権力もない。財力もない。ただ学会精神一つで、今日の世界的な平和と文化の大推進団体を創り上げてきました。
 今度は諸君が、それをすべて受け継ぎ、さらに発展させていく番です。自分の世代の広宣流布は、自分たちが開き築いていくんです。
 長い広布旅の人生には、一家の問題、職場の問題、自身の性格の問題等、多くの悩みと直面するでしょう。私たちもそうでした。
 しかし、肝に銘じてもらいたいことは、ともかく御本尊から離れないこと、創価学会の組織から離れないことです。
 しがみつくようにしてついてくる。どんなに苦しくても、いやであってもついてくる――その人が最後の勝利者になります。
 また、一人ひとりが、なんらかのかたちで社会に貢献してほしい。何かでトップになっていただきたい。それが、未来の広宣流布を決する力となっていきます。
 ともあれ、諸君は、既に創価学会という世界で青春を生きてきた。自分の信念、信条として、その人生を選んだのだから、“誰がなんと言おうと、この仏法を一生涯貫き通して死んでいく。もしも、皆が倒れても、その屍を乗り越えて、広布の峰を登攀してみせる”という、決意で進んでいただきたい」
 黒潮躍る高知の男子部に、伸一は、広布の精神のバトンを託したのである。
 翌十一日は、高知の滞在最終日である。
 この日、午前十一時半から、高知文化会館開館一周年記念の近隣勤行会が行われた。近隣としてはいたが、「来られる方は、皆、来てください」と全県に連絡が流れていたので、会館の大広間は参加者でいっぱいになり、ほかの部屋も次々と人であふれた。
 勤行会で伸一は、「『教学を深め、法を弘める』すなわち“深学弘法”を私どもの精神として、晴れやかに信心強盛な日々を送っていただきたい」と念願し、あいさつとした。

【「聖教新聞」2016年(平成28年)6月8日より転載】


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