浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

〈小説「新・人間革命」〉

 

清新/三十一 法悟空 内田健一郎 画 (5856)

 青森・秋田合同の代表幹部会は、一月十四日の午後一時半から青森文化会館で開催された。参加者は、降りしきる雪のなか、頬を紅潮させ、喜々として集って来た。
 山本伸一は、ここでも自ら司会を務めた。青森県長の加取伸介のあいさつに入る前に、伸一は皆に提案した。
 「岩手県でもそうしましたが、登壇する幹部には、原稿を見ないで話をしてもらいましょう。ただ原稿を読み上げたのでは、政治家のお決まりの答弁みたいで、つまらないでしょ。賛成の人?」
 大拍手が広がった。
 彼は、皆の日ごろの苦労が吹き飛び、体が軽くなるような、楽しく、愉快な、人間味あふれる会合にしたかったのである。
 加取も、秋田県長の千藤泰晴も、自分の言葉で今日を迎えた喜びと郷土建設への決意を語った。その素朴な表現が皆の心を打った。
 次いで、副会長の青田進が、青森県に地域本部制が敷かれ、青森、八戸、弘前の三地域本部でスタートすることを発表し、人事を紹介した。一方、秋田県では、秋田圏に新圏長が誕生したことなどを伝えた。
 代表抱負となった。伸一は、「決まった人だと面白くないから、隣にいる新任の方にお願いしましょう」と言った。大変なのは、指名された人であった。抱負を語るはずが、「大任を拝しまして、どうしたらいいのか本当に迷っております。でも、頑張ります!」と、率直に心境を吐露する幹部もいた。
 大爆笑が起こった。
 形式に則ることは、もちろん必要である。しかし、形式だけに寄りかかってしまうと、型通りにやっていればよいという考えに陥ってしまい、工夫も怠り、マンネリ化が始まる。
 生き生きと広宣流布の運動を進めていくには、日々、絶えざる革新が必要である。
 形式に安住して、ともすれば改善の努力を忘れてしまう惰性化した心を、伸一は打ち破っておきたかったのである。創価とは、間断なき価値創造であるからだ。


【「聖教新聞」2016年(平成28年)7月21日より転載】


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