浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

〈小説「新・人間革命」〉

 


清新/三十五 法悟空 内田健一郎 画 (5860)


 金木夫妻は、自分たちのことよりも、常に同志のことを第一に考える人であった。諸会合の会場として自宅を提供するため、皆が集まりやすいようにと、わざわざ駅の近くに家を構えた。
 青森市内で活動し、夜、列車で帰っていく学会員を見ると、「外は寒いから、列車が来るまで、うちに寄って待っていなさい」と声をかけた。そして温かい味噌汁を振る舞い、おにぎりを持たせることもあった。
 困っている人がいると聞けば、すぐに飛んでいって励ました。支部長の金木正は、よくこう語っていたという。
 「会員の皆さんは、全員が尊い使命をもった仏の使いであり、大事な宝の人たちだ。一人も漏れなく幸せになってもらわなければ、申し訳ない」
 青森の山村では、家庭訪問に行けば、次に訪ねる会員宅まで、一キロ以上も離れていることが珍しくない。夫妻は、積雪さえも払い飛ばす烈風のなかを勇んで歩いた。青森の気質である、“じょっぱり”といわれる強情さをいかんなく発揮し、風雪に、いやまして闘魂を燃え上がらせた。
 “歩いた分だけ、広宣流布の道が広がる。人を励ました数だけ、人材の花が咲く。動いた分だけ、福運となる”と自分に言い聞かせながら、青森の大地に、広布開拓のクワを振るい続けてきたのである。
 山本伸一は、深い感慨を込めて語った。
 「青森支部の誕生から、既に満二十年が過ぎた。その間の青森広布の伸展は目覚ましいものがある。それは、金木夫妻のように、ただただ広宣流布のために、一切をなげうつ思いで、懸命に走り抜いてきた方々がいるからだ。その決意と実践がなければ、広宣流布の前進はない。
 いよいよ学会は、これから広宣流布の総仕上げの時代に入っていく。それは、東北の時代が到来したということだ。地道に、何があっても信念を曲げない、青森の“じょっぱり魂”が光り輝く時代だよ」


【「聖教新聞」2016年(平成28年)7月26日より転載】


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