浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

源流 五 法悟空 内田健一郎 画 (5896)


 香港会館前の公園で林一家を励ました山本伸一は、午後六時半から行われた、香港の各部代表者会議に出席した。会場は、十八年前、伸一が東洋広布の第一歩を印した時に宿舎とした、尖沙咀にあるホテルであり、食事を共にしながらの集いとなった。
 あの一九六一年(昭和三十六年)の一月二十八日夜、伸一は、香港島ケネディ・ロードにあるビルの一室で行われた座談会に出席した。集ったのは、わずか十数人のメンバーであり、信心を始めて間もない人が、ほとんどであった。そして、この席で香港地区が結成されたのである。
 以来、香港は、着実に広宣流布の歩みを重ね、組織は五本部にまで拡大していた。
 伸一は、各部代表者会議の参加者の中に、十八年前の座談会に参加していた、懐かしい何人かの顔を見つけた。
 「草創の皆さんが、お元気なので嬉しい」
 一人の婦人が笑顔で答えた。
 「十八年といっても、あっという間でした。あの日の座談会が、まるで昨日のようです」
 「そう実感できるのは毎日が充実し、歓喜にあふれているからです。広布に生きるとは、充実と歓喜の人生絵巻を描くことなんです。
 草創の歴史を築いてこられた方々が、福運に満ち満ちた姿で、元気に活躍されていること自体が、皆の希望であり、香港創価学会の勝利の姿です」
 それから、彼は力を込めて語っていった。
 「香港は、東洋広布の先駆けであり、未来を照らす灯台です。その香港の広宣流布をますます加速させていくための決め手は何か。
 それは『信義』です。人間として、一人ひとりが、どこまでも『信義』を貫き、信頼を勝ち得ていく。その信頼の拡大が即広布の拡大であることを知ってください。
 仏法というのは、私たち自身の内にあり、私たちの振る舞いによって顕されていくものなんです。すべては人間にかかっています。
 どうか、悠然たる大河の流れにも似た大きな境涯で、人びとを包んでいってください」

 

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【「聖教新聞」2016年(平成28年)9月6日より転載】


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