浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

源流 十三 法悟空 内田健一郎 画 (5904)

 大河内敬一が渡印したころ、インドは、干ばつによる食料不足や物価高騰、失業、汚職などから反政府運動が高まり、政情不安の渦中にあった。
 物情騒然とし、多くの外国企業が、インドから引き揚げていった。そのなかで、彼の留学生活は始まったのである。
 当然のことながら、英語で授業を受け、英語で試験に臨む。努力はしてきたが、語学の壁は高く厚かった。十一月の試験では、成績は、ほとんどの教科が最下位であった。
 “これを乗り越えなければ、インドで使命を果たすことはできない。負けてたまるか!”
 大学の寮で、深夜まで猛勉強に励んだ。そして、最優秀の成績で修士課程を修了し、さらに、国立ジャワハルラル・ネルー大学の博士課程に進むことができたのである。
 彼は、山本伸一の「未来に羽ばたく使命を自覚するとき、才能の芽は、急速に伸びることができる」との指導を嚙み締めた。
  
 伸一は、ニューデリーのホテルにあって、人間的にも大きく成長した大河内を見て、たくましさを感じた。手塩にかけた創価の若師子が、いよいよインドの大地を疾駆し始めたことが嬉しくて仕方なかった。
 高等部を、また、鳳雛会を、さらに未来部各部を、未来会等をつくり、広宣流布の人材の大河を開いてきたことが、いかに大きな意味をもつか――それは後世の歴史が証明するにちがいないと、伸一は強く確信していた。
 人は皆、各人各様の個性があり、才能をもっている。誰もが人材である。しかし、その個性、能力も開発されることがなければ、埋もれたままで終わってしまう。
 一人ひとりが自分の力を、いかんなく発揮していくには、さまざまな教育の場が必要である。その教育の根幹をなすものは、使命の自覚を促すための、魂の触発である。
 伸一は、インド広布に生きるという大河内に、記念の句を詠み、贈った。
 「永遠に 君の名薫れ 霊鷲山

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)9月16日より転載】


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