浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

源流 十五 法悟空 内田健一郎 画 (5906)

 山本伸一は、メヘロトラ副総長のあいさつを聴きながら思った。
 “現在のインドは、まだ発展途上にあるかもしれない。しかし、人びとの目は輝き、言葉を交わせば笑みの花が咲く――それは、民衆の心の豊かさを示してはいないか。
 今後、インドも急速に工業化、現代化が進むにちがいない。この激流は、発展をもたらす半面、ますます貧富の差を広げ、また、人びとの心の豊かさをも奪い流していくことになりかねない。それをいかに回避するかが、これからの大きなテーマとなろう。そして、そのために必要不可欠なものが、仏法という生命の哲理なのだ”
 ここで副総長は、図書贈呈の意義に触れ、贈書を「価値ある贈り物」と表現し、感謝の思いを語ると、一段と声を強めた。
 「しかし、贈書もさることながら、山本先生が、この大学を訪れてくれたという事実そのものに、感謝を覚えるものであります」
 行動にこそ、人間の真実が表れる。
 直接、現地に足を運び、出会いをつくることから、友情は芽生え、その積み重ねのなかで、強い信義の絆が結ばれていく。
 次いで、伸一のあいさつとなった。
 彼は、デリー大学との教育交流は、日本とインドの平和・文化交流の幕を開くために念願していたことであり、今回の贈書が少しでも皆さんのお役に立ち、両国の相互交流と発展に寄与するものになれば、これほどの喜びはないと述べ、自身の信条を訴えた。
 「教育こそ、二十一世紀の平和社会を建設する源泉であります。ゆえに教育・文化の交流には、政治・経済の次元以上に力を注がねばならない――これが私の信念であります。
 私が創立した創価大学のモットーのなかに、『新しき大文化建設の揺籃たれ』『人類の平和を守るフォートレス(要塞)たれ』とあります。本日を起点として、デリー大学との交流の深化を図り、日印間に崩れざる“文化と平和の懸け橋”を築いていきたいと申し上げ、あいさつといたします」


【「聖教新聞」2016年(平成28年)9月19日より転載】


☆彡------☆★☆★☆*------彡☆o☆:*:.♪☆★☆*------☆彡