浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

源流 十六 法悟空 内田健一郎 画 (5907)

 デリー大学での図書贈呈式では、山本伸一からメヘロトラ副総長に、寄贈する自然・社会科学、文学、芸術など一千冊の書の一部と図書目録が手渡された。
 最後にA・P・スリバスタバ図書館長が立ち、贈書への深い感謝を述べ、「これは今後の相互理解への根本的な力になるでしょう」と、喜びを満面にたたえて語った。
 さらに、書物についてインドに伝わる、こんなエピソードを紹介した。
 ――昔、中国から一人の高僧がナーランダーの仏教大学に留学する。学問を修め、帰国にあたって本を持って帰ることにした。大学はこの高僧に十人の従者をつけた。途中、舟で川を渡るが、本が重すぎたために、舟が沈みそうになる。高僧は、「本を捨てて荷を軽くしよう」と言う。すると、インド人の従者は「私は泳いで渡ろう」と川に飛び込む。これに五人までも従者が続き、本を無事に中国へ届けることができたという話である。
 そこには、書物に大きな価値を置く、インドの人びとの精神が表されていた。
 書物は、知識の宝庫であり、知恵を育む光である。
 館長は、話を転じて、「創価学会」の「創価」とは、価値を創造するとの意味であることを知り、感銘を覚えたと語った。なぜなら、公害の解決、幸福の確立、人間の敵対心を除くことなど、人類の課題は、すべて今日の大学に課せられたテーマであり、そのためには、価値の創造が不可欠であると考えているからだという。
 また、仏陀は既に遠い昔に、これらの問題解決の方途を示しており、その教えのなかに新たな価値創造の泉があると訴えた。
 さらに、創価学会が、この仏教に基づいて活動を展開していることを賞讃し、今後の日印の文化・学術交流に期待を寄せた。
 伸一は、インドの知性の、創価学会への大きな期待を感じ、「日は東より出づ日本の仏法の月氏へかへるべき瑞相なり」(御書五八九ページ)との御聖訓を嚙み締めていた。


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【「聖教新聞」2016年(平成28年)9月20日より転載】


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