浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

源流 十七 法悟空 内田健一郎 画 (5908)


 山本伸一たち一行は、デリー大学への図書贈呈式に続いて、大学関係者と教育問題などについて意見交換し、再会を約し合ってキャンパスをあとにした。
 時刻は午後四時を回っていた。一行は、デリー大学にほど近い、ニューデリーの中心部にあるローディー庭園へ向かった。
 ここは、十五世紀から十六世紀にかけて栄えたローディー朝の皇帝廟が残され、市民の憩いの場となっている公園である。
 この公園で伸一は、「インド文化研究会」のメンバーと会うことになっていたのだ。
 ――一九七二年(昭和四十七年)六月、大阪を訪れていた伸一は、関西の各大学会の代表三十人ほどと懇談会をもった。その折、メンバーの一人がインドへ留学することを報告した。語らいは弾み、伸一の提案で、それぞれがインドについて学び、七年後に皆でインドへ行こうということになった。そのグループが「インド文化研究会」である。
 インドに留学する報告をしたのは、大槻明晴という外国語大学でインド・パキスタン語学科に学んだ青年であった。
 彼は、世界の広宣流布に思いを馳せながら、教学を研鑽していくなかで思った。
 “私たちは、羅什三蔵の訳した法華経に基づいて、仏法を研鑽している。しかし、インドのサンスクリット語から漢語に訳されるなかで、かなり中国的な解釈がなされてはいないだろうか。世界広布を考えるうえでは、サンスクリット語にさかのぼって解釈していくことも必要なのではないか。また、そうすることによって、羅什三蔵の訳のすばらしさも再確認できるのではないか……”
 そして大槻は、インドへの留学を決意したのである。
 伸一は、世界広布に向かい、真剣に考え、行動しようとする彼の心意気が嬉しかった。
 理想や夢を語ることは誰にでもできる。大切なことは、それを実現するために、“今、何をするか”“日々、いかなる努力を重ねるか”である。使命感、責任感は行動に表れる。

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)9月21日より転載】


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