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浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

源流 四十二 法悟空 内田健一郎 画 (5933)

 ナラヤナン副総長は、一九二〇年(大正九年)に、インド南部のケララ州に七人きょうだいの四人目として生まれた。家は貧しかったが、勉強が大好きな少年であった。兄や姉は自分たちが小学校に通うことを断念し、彼を小学校に行かせた。
 彼は長い道のりを歩いて通学した。目に触れる本や新聞は片っ端から読み、メモした。授業料が払えず、教室に入れぬこともあった。
 苦労に苦労を重ね、トラバンコール大学(後のケララ大学)に進み、首席で卒業した。大学のある町は、かつてガンジーが差別撤廃のために戦った人権闘争の舞台であった。
 彼は、大学講師やジャーナリストとして活躍し、奨学金を得て、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学する。ここでも最優秀の成績を収めた。帰国に際して、政治学者である同校のハロルド・ラスキ教授が、ネルー首相に紹介状を書いてくれた。
 ネルーとの出会いが、彼の人生を変える。外務省入りを勧められ、外交官として新しい一歩を踏み出すことになる。
 ビルマ(後のミャンマー)、日本、イギリス等で勤務したあと、タイ、トルコ、中国大使を歴任。この一九七九年(昭和五十四年)、ネルー大学の副総長に就任したのだ。
 彼の存在が、カーストによって差別する偏見を打ち破る先駆の力となった。
 人間の生き方が、社会の変革を促す。
 ネルー大学に到着した山本伸一たちは、副総長室に案内された。そこには、白髪にメガネをかけた、ナラヤナン副総長の穏やかな笑顔が待っていた。
 「ようこそ、わがネルー大学へ!」
 「お忙しいところ、時間をとっていただき、ありがとうございました。民衆の大学者であるナラヤナン副総長とお会いできることを、楽しみにしておりました」
 「私もです。今日は、山本先生を、わが大学の“一日教授”としてお迎えします」
 「とんでもない。“一日学生”です」
 このやりとりに爆笑の渦が広がった。

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)10月21日より転載】


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