浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

大山 六 法悟空 内田健一郎 画 (5966)


 文化祭の出演者のなかには、中国人をはじめ、イギリス人も、日本人もいた。フィナーレでは、すべての出演者が、いや、ヘルメットを被った大道具の担当者など、裏方のメンバーも舞台に上がり、共に肩を組み、声を張り上げ、「香港広布の歌」を熱唱。歓喜の大合唱がこだました。山本伸一は、ここにこそ、人間共和の姿があると感じた。
 香港に地区が結成され、わずか十八年にして、これほど盛大な文化祭が開催できるまでになったのである。
 伸一は、さらに、世界のために力を注ぎたかった。しかし、あまりにも多忙であり、激務のなか、時間をこじ開け、海外を訪問できる機会は限られている。“でも、今、各国に全力を注いでいけば、広宣流布即世界平和の飛躍的前進が可能となる。時を逸してはならない!”と強く思った。
 観客席にいた伸一が、あいさつに立った。
 「すべての人は、皆、平等であり、人類という家族であります。それが、私どもの仏法の教えであり、その象徴が、本日のこの舞台であると確信しております。
 私たちは、幸せのために信心をしている。永遠の生きがいのために信心をしている。さらに、社会にあって友情の絆を結び、平和の連帯を広げていくための信心であります。
 本日の、皆さんの歓喜と躍動にみなぎる表情は、まさに幸せと生きがいにあふれた生命の発露であり、また、皆さんの固いスクラムこそ、友情に結ばれた平和の縮図であると、私は声を大にして訴えたいのであります。
 世界の平和を築くことは、私たち仏法者の使命です。しかし、平和といっても彼方にあるのではなく、近隣、わが地域に、信頼と友情の輪を広げていくなかにこそある。そこに、人間共和のモデルを創り上げていくことにある。どうか、この香港の地から、平和の世紀の旭日を昇らせていただきたいと念願するものであります」
 伸一は“香港に、二十一世紀を照らし出す平和の灯台が築かれた”と実感した。

 

【「聖教新聞」2017年(平成29年)1月6日より転載】


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