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浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

大山 二十三 法悟空 内田健一郎 画 (5983)


 四月九日は、創価大学の第九回入学式であった。快晴の空のもと、正午から始まった式典に出席した創立者・山本伸一は、人生における学問の意味に触れ、“謙虚な学問探究の姿勢を貫いて、悔いなき四年間を”とスピーチし、若き知性の前途を祝福した。
 そのなかで彼は、ドイツの哲学者ジンメルの言葉を紹介した。
 「誇り高い者は自分の価値の絶対的な高さだけを気にかけ、虚栄心の強い者は自分の価値の相対的な高さだけを気にかける」(注)
 人間は、一人ひとりが尊厳無比なる固有の絶対的価値をもった存在であり、皆に固有の使命がある。その誇りをもち、自己の使命に生き抜くなかに、人生の本当の幸せも醍醐味もある。ゆえに、人生の真実の勝利は、社会の相対的な地位や立場などが決するものではないことを、伸一は訴えたのである。
 「諸君の一生の価値は、誰が決めるのでもない。ほかならぬ諸君自身が決めるのであります。他人と自分を比べて、相対次元で一喜一憂してみたり、世間の評価や流行現象のみを追ってみたりしても、詮ずるところは、それらは、いつかは、うたかたのように消え去ってしまうものであります」
 そして、他に依存した生き方ではなく、自ら決めた信念の道を貫いてほしいと念願したのである。
 入学式終了後、伸一は、来賓との懇談会に臨み、午後七時、大学の正面玄関ロビーに向かった。別科(日本語研修課程)に入学する中国からの四人の留学生が到着したのだ。
 「わが創価大学へようこそ! 創立者として、心から歓迎いたします。また、私の創った大学で学んでくださることに、深く感謝申し上げます」
 創価大学が、中国から第一期となる留学生六人を迎えたのは、一九七五年(昭和五十年)四月のことである。日中国交正常化後、初めての日本への国費留学生であった。
 以来、第三期となる。既に一期生たちは、両国友好の檜舞台に立って活躍していた。


 小説『新・人間革命』の引用文献
 注 「断想」(『ジンメル著作集11』所収)土肥美夫訳、白水社

 


【「聖教新聞」2017年(平成29年)1月28日より転載】


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