浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽(24)/小説「新・人間革命」

 

【常楽24】

 創価婦人会館での懇談で、婦人部の幹部は山本伸一に、「可能ならば先生に作詞をしていただければ……」と、要請を伝えた。

 伸一は、この意向に添いたかった。

 彼は、この日、午後十時半に帰宅してから、作詞に取りかかったのである。

 「さあ、婦人部の歌を作るよ。言うから書きとめてくれないか」

 妻の峯子が、メモ帳を手にして飛んできた。

 「幼子抱きて 汗流し……」

 すぐに口述が始まり、次々と言葉が紡ぎ出されていった。既に彼の頭の中で、歌のイメージは出来上がっていた。

 一人の婦人の、尊き人生の広布旅をたどるような構成にしたかった。

 峯子は、一番の歌詞を書きとどめながら、草創期に小さな子どもらを背負い、抱きかかえ、手を引きながら、弘教に、同志の激励にと、家々を回る婦人の姿が心に蘇ってきた。

 皆、生活は苦しかった。病の子をもつ人もいた。家族の不和に悩む人もいた。ご主人を亡くした人もいた。そのなかで婦人たちは、広宣流布という久遠の使命に目覚め、必死になって、唱題に、折伏に励んだ。周囲からは嘲笑されもした。水を撒かれ、塩を撒かれもした。罵詈雑言も浴びせられた。

 しかし、創価の母は、負けなかった。

 時に涙を拭いながらも、微笑みを返して皆を大きく包みこみ、さっそうと広布の道を突き進んでいった。胸には、歓喜の太陽が誇らかに燃え、生命は躍動し、希望の大空が果てしなく広がっていた。

 御聖訓には、「法華経の師子王を持つ女人は一切の地獄・餓鬼・畜生等の百獣に恐るる事なし」(御書一三一六ページ)と仰せである。

 そして、その母たちによって育てられた娘たちが、後継のバトンを受け継いで、若き婦人部員となり、同じ使命の大道を、幸の調べを奏でながら、朗らかに前進しているのだ。

 伸一は、苦闘を重ねてきた偉大なる創価の母たちに、最大の敬意と賞讃を込めて、歌詞を作っていった。

【「聖教新聞」2016年(平成28年)1月29日(金)より転載】


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