浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

宿居虫/今日の俳句 ≪第2092号≫

≪2016年(平成28年)3月31日(木)≫(旧暦2/23) やどかりの沈没の波起りけり 阿波野青畝 やどかりの又顔出して歩きけり 阿部みどり女 いづれさびし風船売と寄居虫売 山尾玉藻 やどかりや身をのり出せば娑婆の風 成瀬櫻桃子 やどかりに家路のなくて暮れにけり 篠…

力走 七〈小説「新・人間革命」〉

【力走 七 】 法悟空 内田健一郎 画 (5764) 山本伸一は、群馬の歌「広布の鐘」の歌詞を届けてもらう時、伝言を添えた。 「作曲も、私の方で依頼しておきます。曲ができたら、すぐに伝えます」 群馬のメンバーは、一日千秋の思いで、曲の完成を待った。…

栄螺/今日の俳句 ≪第2091号≫

≪2016年(平成28年)3月30日(水)≫(旧暦2/22) しんかんと栄螺の籠の十ばかり 飯田龍太 おばちやんと呼びとめられて買ふ栄螺 富沢敏子 生栄螺しこしこ噛んで夜の怒涛 鈴木真砂女 海女の投げくれし栄螺を土産とす 加藤三七子 どこ置いても栄螺の殻は安定す 加倉…

力走 六 〈小説「新・人間革命」〉

【力走 六 】 法悟空 内田健一郎 画 (5763) 山本伸一は記念提言で、「恵まれない、最も光の当たらない人びとのなかに、率先して入り、対話していく」ことこそ、一個の人間を大切にする具体的実践であり、それが「即『地方の時代』の先駆け」となると訴…

桃の花/今日の俳句 ≪第2090号≫

≪2016年(平成28年)3月29日(火)≫(旧暦2/21) ふだん着てふだんの心桃の花 細見綾子 野に出れば人みなやさし桃の花 高野素十 遊びゐるうちに日が暮れ桃の花 長谷川櫂 舟へ運ぶ真水さざめく緋桃の季 熊谷愛子 わらわらと影踏む童子桃岬 中村苑子 ※ 桃の花・白桃…

力走 五 〈小説「新・人間革命」〉

【力走 五 】法悟空 内田健一郎 画 (5762) 記念提言の最後に、山本伸一は、十四世紀から十六世紀にヨーロッパで起こったルネサンス運動について論じた。 ――ルネサンスは、一切に君臨していた絶対神を個人の内面へおろした、画期的な時代の流れであった…

囀り/今日の俳句 ≪第2089号≫

≪2016年(平成28年)3月28日(月)≫(旧暦2/20) 囀やあはれなるほど喉ふくれ 原石鼎 囀りや宿雪の上を水流れ 石原八束 囀りやピアノの上の薄埃 島村元 囀りのカールマルクス通りかな 福田雅子 囀りの舟屋に空きのありにけり 金久美智子 ※ 囀り・囀・鳥囀る。 鳴…

力走 四〈小説「新・人間革命」〉

【力走 四】法悟空 内田健一郎 画 (5761) 記念提言は、核心に入っていった。 山本伸一は、今や世界は一体化しており、なかでも自然・環境破壊は、一国や一地域を越えて、全地球に壊滅的な影響をもたらすと警告を発した。そして、各国の英知を結集して…

鳥雲に入る/今日の俳句 ≪第2088号≫

≪2016年(平成28年)3月27日(日)≫(旧暦2/19) 鳥雲に鏡に微熱ある如し 河原枇杷男 鳥雲に止まる円周上の電車 斎藤夏風 鳥雲にもの思ふとき目をつむり 片山由美子 鳥雲に忘れしことの限りなく 甲田鐘一路 鳥雲に娘はトルストイなど読めり 山口青邨 ※ 鳥雲に入る…

〈聖教歌壇・俳壇〉 2016年3月23日

〈聖教歌壇〉 ◆秋葉四郎選 子は明日二十歳とぞなるランドセル忘れて登校せしあの娘よ(山口県)田中道子 【評】一読何とも楽しい。ランドセルを忘れるくらい学校が好きだったのだろう。大器を思わせるエピソード。「二十歳」はめでたい。 放課後の見守りつづ…

鳥帰る/今日の俳句 ≪第2087号≫

≪2016年(平成28年)3月26日(土)≫(旧暦2/18) 白鳥帰る一つ一つの生命にて 加藤瑠璃子 鳥帰るいづこの窓も真顔見え 今井聖 鳥帰る近江に白き皿重ね 柿本多映 鳥帰る此処は丹波の分水嶺 水谷ひさ江 橋の上を人は往き来や鳥帰る 島谷征良 ※ 鳥帰る・小鳥帰る・鳥…

力走 三〈小説「新・人間革命」〉

【力走 三】法悟空 内田健一郎 画 (5760) 山本伸一は記念提言で、「エゴイズムの正当化」によって科学技術の発達がもたらされたが、そうした人間中心主義は、公害の蔓延等の事実が示すように、既に破綻をきたしていると述べた。そして、東洋の発想であ…

烏貝/今日の俳句 ≪第2086号≫

≪2016年(平成28年)3月25日(金)≫(旧暦2/17) 烏貝日の没る方を巷としぬ 加倉井秋を 烏貝唐崎の夜雨に眠りけり 水茎春雨 烏貝三つ四つのせて舟戻る 野村泊月 烏貝は獲れ砂まみれ春しぐれ 中村汀女 くはへゐる藁一とすぢや烏貝 黒米松青子 ※ 烏貝 わが国で獲れ…

力走 二〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二】 法悟空 内田健一郎 画 (5759) 山本伸一は、記念提言で、「地方の時代と創価学会の役割」にも言及していった。 そして、社会に生きる限り、「私ども一人ひとりも、地域に深く信頼の根を下ろし、人びとの心のひだの奥にまで分け入り、苦楽を…

【感動実話】ホームレスの男性が猫を救ってあげた結果が衝撃的…

https://youtu.be/DWz-nI5EtSA

蜆(しじみ)/今日の俳句 ≪第2085号≫

≪2016年(平成28年)3月24日(木)≫(旧暦2/16) からからと鍋に蜆をうつしけり 松根東洋城 ほんの少し家賃下りぬ蜆汁 渡辺水巴 蜆汁昼寝覚雲の落し穴に落ちて しおやきみこ 蜆汁一膳飯屋にみすゞの詩 木田千女 砂抜きの出刃差し入れて蜆桶 成田智世子 ※ 蜆貝・真…

力走 一/小説「新・人間革命」〉

【力走 一】 法悟空 内田健一郎 画 (5758) 爽快な秋晴れであった。 暗雲を払い、威風も堂々と進む創価の同志の心意気を表すかのように青空が広がった。 一九七八年(昭和五十三年)十一月十八日午後、創価学会創立四十八周年を記念する本部幹部会が、…

牡丹の芽/今日の俳句 ≪第2084号≫

≪2016年(平成28年)3月23日(水)≫(旧暦2/15) ビニールの姐様かむり牡丹の芽 阿波野青畝 吹き落ちて松風さはる牡丹の芽 日野草城 牡丹の大いなる芽のつめたかり 林 徹 待つといふことのゆたかさ牡丹の芽 斉藤道子 神苑に小さき炎の牡丹の芽 池田すみ子 ※ 牡丹…

常楽六十九/小説「新・人間革命」〉

【常楽六十九】 法悟空 内田健一郎 画 (5757) 加古川文化会館の勤行会で、山本伸一は、「なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし」(御書一一九二ページ)との御文を拝して指導。生活、仕事、商売等、人生のすべては、信心によって勝利していけ…

田螺/今日の俳句 ≪第2083号≫

≪2016年(平成28年)3月22日(火)≫(旧暦2/14) 田螺鳴く二条御門の裏手かな 河東碧梧桐 月の出のおそきをなげく田螺かな 久保田万太郎 大田螺種田山頭火と似たり 大串章 晩年や田螺つぶやき蜷呆け 百合山羽公 白鳳の塔の真下の田螺かな 富岡計次 ※ 田螺・田螺鳴…

常楽六十八/小説「新・人間革命」〉

【常楽六十八】法悟空 内田健一郎 画 (5756) 山本伸一は、泉州文化会館での各部合同勤行会を終え、南大阪文化会館(後の羽曳野文化会館)へと向かった。スケジュールにはなかったが、大ブロック長会があると聞き、急遽、激励に訪れたのである。 一瞬た…

木蘭(もくれん)/今日の俳句 ≪第2082号≫

≪2016年(平成28年)3月21日(月)≫(旧暦2/13)※ 振替休日 高々と雨意の木蓮崩れけり 日野草城 白木蓮に雲厚き風つのるなり 長田喜代子 木蓮に日強くて風定まらず 飯田蛇笏 木蓮のつぼみのひかり立ちそろふ 長谷川素逝 木蓮に大風のやまぬ日なりけり 木下夕爾 ※ …

常楽六十七/小説「新・人間革命」〉

【常楽六十七】法悟空 内田健一郎 画 (5755) 山本伸一は、泉州の女子部総会に続いて行われた、各部合同勤行会にも出席した。この参加者は、泉州文化会館を菊の花で荘厳するために、丹精込めて菊を育てた各大ブロックの有志たちであった。 二日前、咲き…

桜/今日の俳句 ≪第2081号≫

≪2016年(平成28年)3月20日(日)≫(旧暦2/12)※ 春分の日 春分の日(しゅんぶんのひ)は、日本の国民の祝日の一つであり、春分日(天文観測により春分が起こるとされる日)が選定される。通例、3月20日から3月21日ごろのいずれか1日。しばしば、「昼と夜の長さ…

桜蘂降る(さくらしべふる)/今日の俳句 ≪第2080号≫

≪2016年(平成28年)3月19日(土)≫(旧暦2/11) おかもちに桜しべ降り出前行く 飯島清子 桜蘂ふるふる夜の微笑かな わたなべじゅんこ 垣に干すリュックに旅の桜蘂 皆川盤水 たちまちに車内に桜餅匂ふ 大島英昭 桜蘂降るあきらめないは彼のこと 近藤千雅 ※ 桜蘂降…

常楽六十六/小説「新・人間革命」〉

【常楽六十六】 法悟空 内田健一郎 画 (5754) 森川一正は、「泉州の歌」の歌詞を、朗々と読み上げていった。 一、桜と朝日の泉州は 満つる功徳に笑顔あり あの人この人元初より 不離の同志か兄弟か 二、ああ平和なりこの大地 幾百万の雄叫びは 歓喜の…

枝垂桜/今日の俳句 ≪第2079号≫

≪2016年(平成28年)3月18日(金)≫(旧暦2/10) まさをなる空よりしだれざくらかな 富安風生 高麗の里枝垂桜が紅潮す 細見綾子 瞑想のはじまり枝垂桜かな 山田暢子 桜茶に摘む枝垂花介護士と 品川鈴子 糸桜言の葉つむぐやうに揺れ 金藤優子 ※ 枝垂桜・糸桜・紅枝…

常楽六十五/小説「新・人間革命」〉

【常楽六十五】法悟空 内田健一郎 画 (5753) 十一月十二日の午前中、山本伸一は岸和田市の泉州会館を視察した。一九六四年(昭和三十九年)秋に設けられた、二階建ての小さな会館である。泉佐野市に泉州文化会館が完成するまでは、ここが泉州方面の活…

彼岸桜/今日の俳句 ≪第2078号≫

≪2016年(平成28年)3月17日(木)≫(旧暦2/9) ふつふつと彼岸櫻の莟哉 正岡子規 老人ホーム彼岸桜の優しさよ 小澤菜美 彼岸桜は仏のぬくみ嵯峨御流 丸山佳子 一本の彼岸桜が散歩の榮 松崎鉄之介 咲きそめし彼岸桜のとどまらず 稲畑汀子 ※ 彼岸桜・小彼岸・江戸…

常楽六十四/小説「新・人間革命」〉

【常楽六十四】法悟空 内田健一郎 画 (5752) 山本伸一は、勤行会であいさつを終えると、メーン会場に入れず、別室でスピーカーから流れる音声を聴いていた人のもとへと急いだ。そして励ましの言葉をかけたあと、ピアノに向かった。 「私は、ピアノは上…