浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

臭木の花/今日の俳句 ≪第2275号≫

≪2016年(平成28年)9月30日(金)≫(旧暦8/30) 花臭木こだまは山の中に栖み 窪田玲女 川舟へ臭木花咲く坂よけれ 波多野爽波 臭木咲く禅堂低き垣構へ 原田しずえ 臭木咲き藩主墓前の一区画 山本紅園 熊野道臭木もひそと花掲ぐ 田中君代 ※ 臭木の花・常山木の花 …

小説「新・人間革命」

源流 二十五 法悟空 内田健一郎 画 (5916) 山本伸一は懇談会で、一人ひとりに激励の言葉をかけていった。 メンバーのなかに、全インドの責任者である地区部長を務める女性がいた。前日、伸一が図書贈呈したデリー大学で、経済学の講師として教壇に立つ…

木槿/今日の俳句 ≪第2274号≫

≪2016年(平成28年)9月29日(木)≫(旧暦8/29) 川音や木槿咲く戸はまだ起きず 立花北枝 北国の日の衰へし花木槿 青柳志解樹 墓地越しに街裏見ゆる花木槿 富田木歩 山水を引きて住みなす白木槿 二階堂支草 寺庭に蕎麦を売る店鼻木槿 田宮涼枝 ※ 木槿・もくげ・槿…

小説「新・人間革命」

源流 二十四 法悟空 内田健一郎 画 (5915) ICCRの歓迎レセプションが終わると、山本伸一は、急いでニューデリーにあるホテルへ向かった。インドのメンバーをはじめ、日本から来た「インド文化研究会」一行らとの会食懇談が予定されていたのである…

錦木/今日の俳句 ≪第2273号≫

≪2016年(平成28年)9月28日(水)≫(旧暦8/28) われ稀に来て錦木を立去らず 後藤夜半 錦木のほむら磐梯虹消ゆる 角川源義 錦木の影畳に迫り句座開く 小寺正三 錦木や波郷忌までの一ヶ月 福永耕二 錦木や金剛界を包む雨 河合加代子 ※ 錦木・山錦木 マユミ・マサ…

小説「新・人間革命」

源流 二十三 法悟空 内田健一郎 画 (5914) 山本伸一たち訪印団一行は、午後六時半から、ICCR(インド文化関係評議会)が主催する歓迎レセプションに出席した。 星空のもと、ICCR本部の前庭で開かれた歓迎レセプションには、クンドゥー外務担当…

蔓梅擬(つるうめもどき)/今日の俳句 ≪第2272号≫

≪2016年(平成28年)9月27日(火)≫(旧暦8/27) うめもどき蔓うめもどき姉ふたり 小林篤子 蔓として生れたるつるうめもどき 後藤夜半 蔓うめもどき雪と交はる山中に 村越化石 枯尾根の模糊たるはつるうめもどき 福永耕二 実を割りて蔓梅擬華やぎぬ 日隈翠香 ※ 蔓…

小説「新・人間革命」

源流 二十二 法悟空 内田健一郎 画 (5913) 山本伸一はデサイ首相に、「ぜひ、日本にお迎えしたい」と語った。もし、訪日が実現すれば四度目の訪問となる。 「日本に行きたいとは思っていますが、具体的な計画はありません。私はむしろ、日本の首相にイ…

梅擬(うめもどき)/今日の俳句 ≪第2271号≫

≪2016年(平成28年)9月26日(月)≫(旧暦8/26) 句仲間にナースも誘ひ梅もどき 村越化石 禅林の碧落にほふ梅もどき 阿部ひろし 誰がための折鶴千羽うめもどき 斉藤田鶴子 合戦の血を浴びたるや梅擬 品川鈴子 梅もどき鳥語にしばし耳預け 長谷川史郊 ※ 梅擬(うめ…

小説「新・人間革命」

源流 二十一 法悟空 内田健一郎 画 (5912) 山本伸一が、「長い人生で最も嬉しかったこと、そして最も悲しかったことはなんでしょうか」と尋ねた時、デサイ首相の楽観主義という生き方は、さらに鮮明になった。 「私は、今までに悲しいと思ったことはあ…

みせばや/今日の俳句 ≪第2270号≫

≪2016年(平成28年)9月25日(日)≫(旧暦8/25) みせばやに凝る千万の霧雫 富安風生 みせばやの花のをさな与謝郡 鈴木太郎 老母のたまのをの花さかりなる 西尾一 みせばやが花をつければ若狭かな 岡井省二 みせばやの珠なす花を机上にす 和地清 ※ みせばや・たま…

弁慶草/今日の俳句 ≪第2269号≫

≪2016年(平成28年)9月24日(土)≫(旧暦8/24) 辺戸(へと)岬狼煙の跡の弁慶草 山田春生 首塚の影のうごかぬ血止草 渡辺昭 雨つよし弁慶草も土に伏し 杉田久女 妻子とほし弁慶草に夕せまり 鳥居雨路子 明方の滝のよき音血止草 飯田龍太 ※ 弁慶草・血止草・いき草…

小説「新・人間革命」

源流 二十 法悟空 内田健一郎 画 (5911) 訪印二日目の二月七日――。 午前十時半、山本伸一たちは、モラルジ・デサイ首相の官邸を訪ねた。ニューデリーのサフダルジャン通りにある、緑に囲まれた白い建物であった。 首相は、間もなく八十三歳になるとい…

秋薊(あきあざみ)/今日の俳句 ≪第2268号≫

≪2016年(平成28年)9月23日(金)≫(旧暦8/23) 穴掘りてコレラ焼くとや秋薊 村上鬼城 没日照る山のどこかに秋薊 原コウ子 吐く息のふつとかたまる秋薊 小林鱒一 秋あざみ振りむけば海きらきらす 野澤節子 富士薊湖古るめきし舟配し 佐藤十雲 ※ 秋薊(あきあざみ)…

小説「新・人間革命」

源流 十九 法悟空 内田健一郎 画 (5910) 山本伸一が「インド文化研究会」のメンバーと共にローディー庭園を散策していると、少年たち数人が来て、少し離れたところから珍しそうに一行を見ていた。 伸一は、手招きし、「みんなで写真を撮ろう」と声をか…

菊/今日の俳句 ≪第2267号≫

≪2016年(平成28年)9月22日(木)≫(旧暦8/22)※秋分の日 どの部屋もみな菊活けて海が見え 吉屋信子 身に合ふは縞よ紬よ菊の頃 鈴木真砂女 したたかに水打って菊据えられる 津根元潮 母のこゑして菊を炊くうすけむり 桂信子 弾みつ丶紺の夜空を菊車 村沢夏風 ※ …

小説「新・人間革命」

源流 十八 法悟空 内田健一郎 画 (5909) 大槻明晴は、山本伸一と関西の各大学会の代表との懇談が行われた一カ月後の一九七二年(昭和四十七年)七月、インドへ渡り、ベナレス(後のバラナシ)のサンプールナアナンド・サンスクリット大学に入学した。 …

コスモス/今日の俳句 ≪第2266号≫

≪2016年(平成28年)9月21日(水)≫(旧暦8/21) コスモスの吹き靡く方に月あり 林原耒井 のぼり窯焚けば風生む秋桜 神原栄二 コスモスなどやさしく咲けど死ねないよ 鈴木しづ子 コスモスにのりいれ吾子の乳母車 加藤三七子 コスモスの根方は父を遠くせり 宇多喜…

小説「新・人間革命」

源流 十七 法悟空 内田健一郎 画 (5908) 山本伸一たち一行は、デリー大学への図書贈呈式に続いて、大学関係者と教育問題などについて意見交換し、再会を約し合ってキャンパスをあとにした。 時刻は午後四時を回っていた。一行は、デリー大学にほど近い…

紫苑/今日の俳句 ≪第2265号≫

≪2016年(平成28年)9月20日(火)≫(旧暦8/20) また遅れて 紫苑の高さの 日傘の妻 伊丹三樹彦 喜大き入日紫苑とすすき抱き枯るる 松村蒼石 山晴れが紫苑きるにもひゞくほど 細見綾子 紫苑咲き杉を挽く香の町の口 中村汀女 雨もよひ風をさそひて紫苑立つ 高屋窓…

小説「新・人間革命」

源流 十六 法悟空 内田健一郎 画 (5907) デリー大学での図書贈呈式では、山本伸一からメヘロトラ副総長に、寄贈する自然・社会科学、文学、芸術など一千冊の書の一部と図書目録が手渡された。 最後にA・P・スリバスタバ図書館長が立ち、贈書への深い…

欝金/今日の俳句 ≪第2264号≫

≪2016年(平成28年)9月19日(月)≫(旧暦8/19)※敬老の日 薬園の欝金の花の夜も匂ふ 寺田木公 野の道は曲りつ欝金の花ざかり 中田ゆき 時雨馳せうこんの花のさかりなる 大野林火 葉隠れに欝金の花の覗きけり 橋本幸子 欝金黄葉田の一枚を埋めつくす 後藤久美子 ※…

小説「新・人間革命」

源流 十五 法悟空 内田健一郎 画 (5906) 山本伸一は、メヘロトラ副総長のあいさつを聴きながら思った。 “現在のインドは、まだ発展途上にあるかもしれない。しかし、人びとの目は輝き、言葉を交わせば笑みの花が咲く――それは、民衆の心の豊かさを示し…

野菊/今日の俳句 ≪第2263号≫

≪2016年(平成28年)9月18日(日)≫(旧暦8/18) 野菊咲き今年も締むる紅き帯 桂信子 いのちいま荒野野菊と花あそび 花谷和子 野菊には小さき鈴をつけてやる 夏井いつき ふるさとに時間を止めている野菊 津沢マサ子 倒れ咲く野菊跨ぐと決め跨ぐ 池田澄子 ※ 野菊・…

撫子/今日の俳句 ≪第2262号≫

≪2016年(平成28年)9月17日(土)≫(旧暦8/17) サロマ湖の撫子の咲き乱れたる 高野素十 姫なでしこの紅一点の露まみれ 柴田白葉女 なでしこが走るよ蹴るよ熱帯夜 千出百里 なでしこの揃ひに父母もゐたまひき 小池文子 風揺れの撫子も寄る誓子句碑 岡田満喜子 ※ …

小説「新・人間革命」

源流 十四 法悟空 内田健一郎 画 (5905) 二月六日の午後三時、山本伸一たち訪印団一行はデリー大学を訪問した。図書一千冊を寄贈する贈呈式に出席するためである。 同大学は、一九二二年(大正十一年)に創立されたインド最高峰の総合大学の一つで、中…

白粉花/今日の俳句 ≪第2261号≫

≪2016年(平成28年)9月16日(金)≫(旧暦8/16) おしろいの花の紅白はねちがひ 富安風生 たそがれの白粉花の紅こぼす 百々加寿代 白粉の黄に赤に日のまだ高き 堀田春子 本郷に残る下宿屋白粉花 瀧春一 おしろいは父帰る刻(とき)咲き揃う 菅野春虹 ※ 白粉花・おし…

小説「新・人間革命」

源流 十三 法悟空 内田健一郎 画 (5904) 大河内敬一が渡印したころ、インドは、干ばつによる食料不足や物価高騰、失業、汚職などから反政府運動が高まり、政情不安の渦中にあった。 物情騒然とし、多くの外国企業が、インドから引き揚げていった。その…

鳳仙花/今日の俳句 ≪第2260号≫

≪2016年(平成28年)9月15日(木)≫(旧暦8/15) 紙漉きの恋に咲きけり鳳仙花 河東碧梧桐 人形を造る町筋に鳳仙花 石原八束 山の峰かへりまつかな鳳仙花 和知喜八 ふるさとの民話悲しや鳳仙花 谷津桜冬 つまべにがどこにも咲いて村まづし 佐藤酔石子 ※ 鳳仙花・つ…

小説「新・人間革命」

源流 十二 法悟空 内田健一郎 画 (5903) 大河内敬一は、大学進学にあたって、インドで職業に就くには建築技術を身につけることが必要だと考え、工業大学の建築学科へ進んだ。また、インドの公用語となっている英語の習得に力を注いだ。さらに、同じ公…