浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

蜩/今日の俳句 ≪第2245号≫

≪2016年(平成28年)8月31日(水)≫(旧暦7/29) 呼吸とはこんなに蜩を吸うことです 金子兜太 丘は蜩青田に沈む多古の町 瀧 春一 別れとはひぐらしの音に似たるかな 山口いさを 蜩といふ名の裏山をいつも持つ 安東次男 蜩やともしび早き峠茶屋 岩井半四郎 ※ 蜩・…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/六十六 法悟空 内田健一郎 画 (5891) 「インド独立の父」「マハトマ」(偉大な魂)と仰がれ、慕われたガンジーは、インド国歌が制定される二年前の一九四八年(昭和二十三年)一月三十日に暗殺され、世を去っている。しかし、大国の横暴と圧政に…

新涼/今日の俳句 ≪第2244号≫

≪2016年(平成28年)8月30日(火)≫(旧暦7/28) 新涼や白きてのひらあしのうら 川端茅舎 秋涼し橋おのおのに湯宿持ち 河野南畦 新涼の母国に時計合わせけり 有馬朗人 新涼に少しゆがんだ青い月 わたなべじゅんこ 新涼のボーイソプラノ運ぶ風 森景ともね ※ 新涼・…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/六十五 法悟空 内田健一郎 画 (5890) 「東洋広布の歌」に続いて、インド訪問団の壮途を祝して、インド国歌「ジャナ・ガナ・マナ」(インドの朝)が合唱団によって披露された。 この歌は、詩聖タゴールが作詞・作曲し、イギリスによる植民地支配…

法師蝉/今日の俳句 ≪第2243号≫

≪2016年(平成28年)8月29日(月)≫(旧暦7/27) うちまもる母のまろ寝や法師蝉 芝不器男 いっせいに風に立つ葉や法師蝉 桂 信子 もてあますいとまはありてほふしぜみ 油布五線 隣る木の声をうけつぎ法師蝉 木内彰志 芳一の空耳に似てつくつくし 清水基吉 ※ 法師…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/六十四 法悟空 内田健一郎 画 (5889) 山本伸一は、集った九州の同志に、広宣流布に生き抜いていくためにも健康と長寿の人生であってほしいと念願し、それ自体が仏法の真実を証明することにもなると力説した。 さらに、リーダーは、「皆が使命の…

秋の蝉/今日の俳句 ≪第2242号≫

≪2016年(平成28年)8月28日(日)≫(旧暦7/26) 秋の蝉まつはる夕日解きがたし 飯田龍太 秋蝉の声引く遠き雲の照り 山口草堂 秋蝉ふえしづかなる貧来つゝあり 石田勝彦 秋蝉や島に古りたる神楽面 荒川優子 秋蝉の声の図太さ鞍馬かな 長倉閑山 ※ 秋の蝉・残る蝉・…

秋の蚊/今日の俳句 ≪第2241号≫

≪2016年(平成28年)8月27日(土)≫(旧暦7/25) 一夜二夜秋の蚊居らずなりにけり 正岡子規 やせずねに秋の蚊をうつ響あり 坂本四方太 畳より秋の蚊たちし豪雨かな 山口いさを 残る蚊をかぞへる壁や雨のしみ 永井荷風 あぶれ蚊や去り難くゐて翁塚 見市六冬 ※ 秋の…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/六十三 法悟空 内田健一郎 画 (5888) 九州記念幹部会で山本伸一は、成増敬子の抱負を聞きながら思った。 “熊本も、また大分も、宗門の問題では本当に苦しめられている地域だ。しかし、それをはね返し、ますます広布の炎を燃え上がらせている。す…

秋の蝿/今日の俳句 ≪第2240号≫

≪2016年(平成28年)8月26日(金)≫(旧暦7/24) 上嵯峨や魚屋ありて秋の蝿 松根東洋城 秋の蝿売られし牛につきゆけり 野本マサ子 この頃のへりしと思ふ蝿を打つ 三橋加珠代 焼跡の検証すまず秋の蝿 藤田子角 神馬灰色秋蝿に眼をしばたたき 長谷川朝風 ※ 秋の蝿・…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/六十二 法悟空 内田健一郎 画 (5887) 山本伸一に励まされた蒲田支部の同志は、一騎当千の闘士となって二月闘争に走った。 皆が、途方に暮れるしかないほど深刻な悩みをかかえていた。しかし、そのなかで“私は信心で勝つ! 負けるものか!”と、広…

秋の蝶/今日の俳句 ≪第2239号≫

≪2016年(平成28年)8月25日(木)≫(旧暦7/23) 秋蝶の驚きやすきつばさかな 原石鼎 秋蝶の黄を強くせり土俗舞 細見綾子 秋の蝶山上にしてひくく舞う 中島水明子 ありありと檜山をくだる秋の蝶 滝春一 秋の蝶ひとりの旅を常として 関根黄鶴亭 ※ 秋の蝶・秋蝶 秋…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/六十一 法悟空 内田健一郎 画 (5886) 九州記念幹部会は、会場後方から山本伸一が見守るなか、本部長の代表抱負へと移った。皆、この「伝統の二月」を大勝利で飾ろうと、意気軒昂に決意を披瀝していった。 婦人部代表の熊本県・熊本南本部の成増…

鰍(かじか) /今日の俳句 ≪第2238号≫

≪2016年(平成28年)8月24日(水)≫(旧暦7/22) こまごまと串にし鰍焼けるかな 野村喜舟 磨崖仏河鹿鳴きつゝ暮れたまふ 水原秋桜子 山高く鰍突く魚扠かざしけり 吉田冬葉 吊橋の人に見られて鰍突く 奥田可児 鰍焼く驟雨に赤き火を守りつ 多田てりな ※ 鰍(かじか)…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/六十 法悟空 内田健一郎 画 (5885) 山本伸一が藤根ユキを励ましてから、三年余がたっていた。伸一は今、ふくよかで明るい表情の彼女を見て言った。 「藤根さん。元気になってよかったね」 「はい! 実は、昨年、指導部になり、今は本部の指導長…

落鮎/今日の俳句 ≪第2237号≫

≪2016年(平成28年)8月23日(火)≫(旧暦7/21) 鮎落ちて水もめぐらぬ巌かな 芝不器男 浅間鳴りしきのふや鮎の落ちつくす 吉田冬葉 秋鮎をつらぬく串を炉火の上に 石原舟月 落鮎の串抜きてなほ火の匂ひ 黒田杏子 さび鮎のめつむるごとく焼かれけり 藤木倶子 ※ 落…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/五十九 法悟空 内田健一郎 画 (5884) 九州記念幹部会は、午後一時過ぎに始まった。会場の大広間には、「先生、インドの旅お元気で行ってらっしゃい」と書かれた横幕が掲げられていた。集った同志は、山本伸一が意義あるインド訪問へ、九州の地か…

鱸(すずき)/今日の俳句 ≪第2236号≫

≪2016年(平成28年)8月22日(月)≫(旧暦7/20) 遡る百里の江なる鱸かな 松根東洋城 二尺余の鱸釣り上ぐ川おぼろ 河島瑞子 張翰の恋ひし鱸に舌鼓 西本春水 打ち揃ひ雨月の鱸膾かな 谷村幸子 生き生きと鱸鰭ふる糶の市 宇根綾子 ※ 鱸・すずき網・すずき釣・せいご…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/五十八 法悟空 内田健一郎 画 (5883) 山本伸一は、自身の人生の最大テーマは、「世界広布の基盤完成」にあると心に決めていた。世界は、あまりにも広く大きい。早くその事業に専念しなければ、世界広宣流布の時を逸してしまいかねないとの強い思…

秋鯖/今日の俳句≪第2235号≫

≪2016年(平成28年)8月21日(日)≫(旧暦7/19) ふるさとの秋鯖語る女将かな 吉田汀史 朝市の秋鯖ぴんと襟ただす 辻村拓夫 秋鯖の匂ひ湯舟に持ち込みぬ 志方章子 丸太ン棒の如き秋鯖捌きけり 阪口美枝子 秋鯖のいろを信じて買ひにけり 柴田志津子 ※ 秋鯖・秋の鯖…

鯊(はぜ)/今日の俳句 ≪第2234号≫

≪2016年(平成28年)8月20日(土)≫(旧暦7/18) 水中に石段ひたり鯊の潮 桂信子 曇りしがそのまま日暮鯊の潟 橋本風車 にんまりとも一度覗く子鯊日和 和田森早苗 朝の汐蟹釣りの餌の鯊を釣る 瀧春一 橋に身を折るや反らすや鯊の秋 南うみを 【季語・解説】 ※ 鯊…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/五十七 法悟空 内田健一郎 画 (5882) 山本伸一の三度目となる今回のインド訪問は、「七つの鐘」の掉尾を飾るとともに、二十一世紀への新しい旅立ちとなる、ひときわ深い意義をもつ世界旅であった。 彼は、その記念すべき訪問の出発地を、どこに…

秋刀魚/今日の俳句 ≪第2233号≫

≪2016年(平成28年)8月19日(金)≫(旧暦7/17) 独身の秋刀魚焼きし火すぐおとろふ 榎本冬一郎 遠方の雲に暑を置き青さんま 飯田龍太 魚にもしょう油顔有り秋刀魚焼く 川副民子 食卓の秋刀魚むしょうに懐かしき 山口いさを 掃かれあり秋刀魚が落ちてゐたような …

〈小説「新・人間革命」〉

清新/五十六 法悟空 内田健一郎 画 (5881) 霧島連山は冬の雲に覆われ、薄日が差したかと思うと、雪がちらつくといった、安定しない天気であった。 一九七九年(昭和五十四年)二月一日、山本伸一は鹿児島県の九州研修道場にいた。三日には鹿児島を発…

秋袷/今日の俳句 ≪第2232号≫

≪2016年(平成28年)8月18日(木)≫(旧暦7/16) 秋袷着て端然と痩せゐたり 日下部宵三 ちかぢかと富士の暮れゆく秋袷 綾部仁喜 秋袷ひとの命に間に合はず 長谷川櫂 人は憂ひを包むやうにも秋袷 細見綾子 秋袷激しき性は死ぬ日まで 稲垣きくの ※ 秋袷・秋の袷 秋…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/五十五 法悟空 内田健一郎 画 (5880) 時代が変動していくなかで、宗教には、人びとの精神に、平和と幸福を創造する智慧の光を送り続ける使命と責任がある。 そのために宗教者には、共に最高の真理を探究し続け、教えを自ら比較、検証し、切磋琢…

夜学/今日の俳句 ≪第2231号≫

≪2016年(平成28年)8月17日(水)≫(旧暦7/15) 悲しさはいつも酒気ある夜学の師 高浜虚子 翅青き虫きてまとふ夜学かな 木下夕爾 たはしにて夜学教師の指洗ふ 沢木欣一 教師出て夜学の門を開きけり 中瀬喜陽 夜学果て口紅颯とひきにけり 岩永佐保 ※ 夜学・夜学校…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/五十四 法悟空 内田健一郎 画 (5879) 人類は、往々にして紛糾する事態の解決策を武力に求めてきた。それが最も手っ取り早く有効な方法と考えられてきたからだ。しかし、武力の行使は、事態をますます泥沼化させ、怨念と憎悪を募らせたにすぎず、…

秋の田/今日の俳句 ≪第2230号≫

≪2016年(平成28年)8月16日(火)≫(旧暦7/14) 秋の田の稔り豊かに北陸路 林田加杜子 秋の田を懐に抱き千曲川 荻原麗子 秋の田に夕日留まりゐたりけり 高田令子 秋の田や雪崩るる先の潮の色 松本俊介 秋の田の四方を囲む万国旗 秋田典子 ※ 秋の田・ 稲田・早稲…

〈小説「新・人間革命」〉

清新/五十三 法悟空 内田健一郎 画 (5878) 人間は――誰もが等しく、尊厳なる、かけがえのない存在である。誰もが等しく、幸福になる権利がある。誰もが等しく、平和に暮らす権利がある。本来、いかなる者も、人の幸福と平和を奪うことなどできない。 …