2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧
≪2015年(平成27年)12月31日(木)≫師走(旧暦11/21) 百方の焼けて年逝く小名木川 石田波郷 年去りし風茫々とともにあり 松沢昭 行く年や忘るることも生きること 高橋瑛子 ゆく年を橋すたすたと渡りけり 鈴木真砂女 行く年やわれにもひとり女弟子 富田木歩 ※ 数…
≪2015年(平成27年)12月30日(水)≫師走(旧暦11/20) 除夜いまだ「静かなるドン」読みすすむ 佐藤鬼房 焚火ひとつセエヌの岸の除夜暗し 小池文子 わが撞きてわが音として除夜の鐘 加倉井秋を つくつく鐘をつくつく除夜の鐘 鈴木榮子 年の夜やもの枯れやまぬ風の…
≪2015年(平成27年)12月29日(火)≫師走(旧暦11/19) 大年やおのづからなる梁響 芝不器男 大年の嵯峨清涼寺闇に入る 廣瀬直人 大晦日シャンパンの栓弾け跳ぶ 尾上有紀子 父祖の地に闇のしづまる大晦日 飯田蛇笏 滞在のホテルに馴れて大晦日 今井千鶴子 ※ 大晦日…
≪2015年(平成27年)12月28日(月)≫師走(旧暦11/18) 門弟の名札そろふや鏡餅 中村吉右衛門 火種なき父の闇夜の鏡餅 大井雅人 鏡餅にレモンを据ゑて中年なり 沢木欣一 鏡餅の内なる声を聴かむとす 山田みづえ 瞑(めつむ)らねばみえぬもの在り鏡餅 河原枇杷男 ※ …
≪2015年(平成27年)12月27日(日)≫師走(旧暦11/17) 蓬莱や海老かさ高に歯朶隠れ 河東碧梧桐 蓬莱も歳を跨ぎしばかりにて 毛呂刀太郎 米ばかり盛りてましろの蓬莱や 永井雨丁 吉兆の箸蓬莱の竹とせむ 角川照子 学僧のふるさと遠し絵蓬莱 大島民郎 ※ 蓬莱・掛蓬…
≪2015年(平成27年)12月26日(土)≫師走(旧暦11/16) 雪の夜のヘアピン海の匂ひもつ 寺田京子 屋根の雪ずり落つや雪の上に白し 原田種茅 しんしんと雪降る木曽に安らげり 中村苑子 雪に降り積もられている下の雪よ 折笠美秋 さむいさむいと夜が好き雪が好き 池田…
≪2015年(平成27年)12月25日(金)≫師走(旧暦11/15)(クリスマス) 冬の夜の那須野は雲にまみれけり 渡辺水巴 美しき寒夜の影を別ちけり 西東三鬼 寒夜読む母が折りたる頁を過ぎ 橋本美代子 冬の夜の更けたればくる父の声 井上信子 しんしんと鎖骨の奥まで冬の夜 …
≪2015年(平成27年)12月24日(木)≫師走(旧暦11/14) 縄とびの寒暮いたみし馬車通る 佐藤鬼房 尺寸の立つ子をつつむ冬の暮 秋元不死男 大仏の胸のうしろに湧く寒暮 福田甲子雄 黒き帆のまぢかに帰る冬の暮 山口誓子 冬の暮遠き白さの鶏生きて 宮津昭彦 ※ 冬の暮 …
≪2015年(平成27年)12月23日(水)≫師走(旧暦11/13)(天皇誕生日) くれなゐの実のことごとく師走かな 飯田龍太 病む師走何の曲にかなぐさむ 石田波郷 人の背に師走の家鴨首のべぬ 原コウ子 仕事場に泊り込みたる師走かな 森川暁水 地下道の騙し絵顧みぬ師走 品川…
≪2015年(平成27年)12月22日(火)≫師走(旧暦11/12) 四まいの障子いっぱい冬至の日 長谷川素逝 沈む日の冬至といへど目を射るも 宮津昭彦 陽に背中押されて冬至なりにけり 星野早苗 妣の世は冬至唐茄子いまレタス 林 翔 小走りに妻の出て行く冬至かな 日野草城 …
≪2015年(平成27年)12月21日(月)≫師走(旧暦11/11) どこからか日のさす閨(ねや)や嫁が君 村上鬼城 ぬばたまの寝屋(ねま)かいまみぬ嫁が君 芝不器男 空部屋の蚕室を駆ける嫁が君 瀧澤伊代次 新たなる趣味を齧りて嫁が君 石倉千賀子 美しき名を貰うてゐても嫁が…
≪2015年(平成27年)12月20日(日)≫師走(旧暦11/10 ユーカリの白い花見る年忘れ 瀧井孝作 この町に料亭ひとつ年忘れ 上崎暮潮 年忘三輪山ぬうつと闇に在り 河原枇杷男 歌舞伎座の絨氈踏みつ年忘 渡辺水巴 膝抱きて荒野に似たる年忘れ 山田みづえ ※ 年忘れ 年の…
≪2015年(平成27年)12月19日(土)≫師走(旧暦11/9) 年用意靄あたゝかき日なりけり 久保田万太郎 山影の水仙を剪る年用意 城戸雅子 病僧やかさりこそりと年用意 川端茅舎 眞直に晩年が来て年用意 三浦澄江 水汲んで燈台官舎年用意 平野文子 ※ 年用意 新年を迎え…
≪2015年(平成27年)12月18日(金)≫師走(旧暦11/8) 懐にボーナスありて談笑す 日野草城 ボーナスを一呑みにした娘の晴れ着 森 愛子 おろかにも賞与の袋すかし見る 平野文子 賞与月疲れざる顔夕映えよ 香西照雄 ボーナスは赤字の埋めとのたまへり 後藤紅郎 ※ ボ…
≪2015年(平成27年)12月17日(木)≫師走(旧暦11/7) 枯菊を焚く淡(うす)き火のうごきけり 日野草城 起しやれば匂ふもあはれすがれ菊 松本つや女 枯菊に虻の来る日のまだつづく 丸山白羊 荒地野菊日あたりながら枯れにけり 舘岡沙緻 日輪のがらんどうなり菊枯るる…
≪2015年(平成27年)12月16日(水)≫師走(旧暦11/6) 大事件結審して御用納めけり 佐藤酔石子 煙吐く御用納の煙出し 山口青邨 御用仕舞芝生の日ざし澄みにけり 富田野守 野点めく仕事納めの日雇いら 北野石竜子 掛けかへし暦めでたし用納 佐藤眉峰 ※ 御用納・仕事…
≪2015年(平成27年)12月15日(火)≫師走(旧暦11/5) 掛取りや京は女のおそろしき 巌谷小波 書出しやこまこまと書き並べたり 村上鬼城 掛乞に出かける髪を結ひにけり 曽我部ゆかり 掛取のわが顔暮れて橋を過ぐ 沢田しげ子 掛取に手がまた殖えてゐたりけり 黒崎か…
≪2015年(平成27年)12月14日(月)≫師走(旧暦11/4) 師へ父へ歳暮まいらす山の薯 松本たかし 歳暮鮭とけばこぼるゝ結び文 阿部慧月 寺へせいぼ米二升ほど添へにけり 若林一童 お歳暮や少しばかりの田地持 村上鬼城 山の背に雲みな白し年の果 原 裕 ※ 歳暮・歳晩…
≪2015年(平成27年)12月13日(日)≫師走(旧暦11/3) 冬休み並木きらきらと空に倦む 西垣脩 晴れてきて釘打ちに出る冬休み 飴山実 雪降ってゐる赤門や冬休 深見けん二 湯の町の小学校や冬休 高田風人子 冬休みとなりしマントの緋裏かな 久米三汀 ※ 冬休み 冬休み…
≪2015年(平成27年)12月12日(土)≫師走(旧暦11/2) 餅搗(つ)きし家ありすでに音ひそめ 山口誓子 霧に咲く阿蘇谷に餅つきあふ灯 加藤知世子 餅米洗ふ竹山そよぎをりにけり 田中午次郎 餅搗を囃す琉球童唄 泉とし なかぞらに星のあつまる餅筵 木村虹雨 ※ 餅搗・餅…
≪2015年(平成27年)12月11日(金)≫師走(旧暦11/1) ぼろ市の夕日の中の弱法師 石原舟月 ぼろ市のがらんと何を叩き売る 松澤昭 一灯の中に擴げてぼろの市 飯田素蘭 ぼろ市の雪のいま降りはじめけり 牧瀬蝉の助 ぼろ市へ農夫の妻が紅さして 伊井松乃 ※ ぼろ市 十…
≪2015年(平成27年)12月10日(木)≫師走(旧暦10/29) 輪飾のすいとさみしき買ひにけり 皆吉爽雨 うちそとに兄妹のこゑ煤払 原コウ子 釣鐘の中掻きまはす煤払 高野素十 四方の景見えて天守の煤払ひ 岡部六弥太 煤籠り昼餉の時のすぎにけり 山口波津女 ※ 煤払・煤…
≪2015年(平成27年)12月9日(水)≫師走(旧暦10/28) 輪飾のすいとさみしき買ひにけり 皆吉爽雨 海老赤し海の藻草を敷きて売る 原コウ子 飾売る車かこみて艀妻 高野素十 飾売まづ暮れなづむ大欅 皆川盤水 叡山の尖れる空や飾売 鷲谷七菜子 ※ 飾売 社寺の境内や、…
≪2015年(平成27年)12月8日(火)≫師走(旧暦10/27) のぼせたる女の顔や年の市 日野草城 約束の半襟えらぶ年の市 上村占魚 夜空より大きな灰や年の市 桂 信子 ぬかるみに踏まれし歯朶や年の市 渡辺水巴 灰かぐら立てて果てけり年の市 小島千架子 ※ 年の市 新年用…
≪2015年(平成27年)12月7日(月)≫師走(旧暦10/26) 朴落葉光琳笹を打ちにけり 川端茅舎 鉄錆の重なるごとく朴落葉 沢木欣一 生命ある如くに舞ひて朴落葉 三笠宮ゆかり いちまいの朴の落葉のありしあと 長谷川素逝 朴落葉大きを拾ひ晩年へ 鍵和田秞子 ※☆*今週の…
≪2015年(平成27年)12月6日(日)≫師走(旧暦10/25) 家々につながる路や柿落葉 百々可須代 柿落葉掃いて年忘の塔婆立つ 池田片銕 柿落葉家鴨よごれて眠りたる 三好達治 揚げられし小舟の底へ柿落葉 加藤憲曠 柿落葉柿の根元に掃き寄せぬ 田中英子 ※☆*わが友に贈…
≪2015年(平成27年)12月5日(土)≫師走(旧暦10/24) 蹴散らしてまばゆき銀杏落葉かな 鈴木花蓑 湖底まで続く落葉の徑のあり 斉藤梅子 落葉掻くは亡き母の後ろ姿かな 大須賀乙字 森どこも落葉が土になる匂ひ 川本臥風 かがみ磨ぎ寺町のぞくおちばかな 建部巣兆 ※ …
≪2015年(平成27年)12月4日(金)≫師走(旧暦10/23) 老木のふっと木の葉を離しけり 大串章 木の葉降り止まず透明人間にも 望月昶孝 猿の来て屋根かきちらす木葉かな 菅沼曲翠 木の葉降る寂光音の塚なりけり 山口草堂 日きよらまたゝきに似て木の葉降る 相原田鶴 …
≪2015年(平成27年)12月3日(木)≫師走(旧暦10/22) 廃れ唄雁木の下を流れをり 文挟夫佐恵 雁木行く我が町の人皆親し 黒沼草生 来る人に灯影ふとある雁木かな 高野素十 玩具売る雁木古びて人の匂ひ 加藤知世子 雁木外れ浜焼の魚尾をつらね 石田章子 ※ 雪の多い地…
≪2015年(平成27年)12月2日(水)≫師走(旧暦10/21) くれなゐの実のことごとく師走かな 飯田龍太 人の背に師走の家鴨首のべぬ 原コウ子 うすうすと紺のぼりたる師走空 飯田龍太 日暮里へ師走のみちのつゞきけり 久保田万太郎 メモ書きを忘れて走る師走かな 鏡山…