浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

鳰/今日の俳句 ≪第2336号≫

≪2016年(平成28年)11月30日(水)≫(旧暦11/2) 鳰くぐり水輪を一つ残しけり 吉永すみれ またたけば数の増えをり鳰 五十嵐勉 メビウスの輪を抜けそこらじゆうに鳰 松永典子 まつ晝間の酒や鳰は潜るのみ 中原道夫 鳰の浮ききし方の暮れてをり 舘岡沙緻 ※ 鳰(かい…

千鳥/今日の俳句 ≪第2335号≫

≪2016年(平成28年)11月29日(火)≫(旧暦11/1) 雨の夜の千鳥茶山に鳴きにけり 石原舟月 薄星の光り出でたる千鳥かな 日野草城 追ふよりも追はるる一途磯千鳥 関口比良男 光年を少年走り千鳥鳴く 中林明美 行けば千鳥の群の先立てり 西村節子 ※ 千鳥→磯千鳥・鵆(…

鴨/今日の俳句 ≪第2334号≫

≪2016年(平成28年)11月28日(月)≫(旧暦10/29) 寄り寄りに水輪つくりて月の鴨 臼田亜浪 鴨鍋や水を距てて鴨昏るる 桂信子 柿落葉家鴨よごれて眠りたる 三好達治 みづうみに辺境ありて鴨の陣 上田五千石 この暮れは鴨を数へて寒からず 藤田あけ烏 ※ 鴨→真鴨・子…

木菟(みみづく)/今日の俳句 ≪第2333号≫

≪2016年(平成28年)11月27日(日)≫(旧暦10/28) 山の童の木菟捕へたる鬨あげぬ 飯田蛇笏 木菟飼はれ眠れるさまのつづくなり 大野林火 木菟鳴くや力尽して粥食へば 目迫秩父 木菟の夜を沖かけてくる波がしら 斎藤梅子 出羽三山闇に溶けゆく木菟鳴いて 秋山花笠 ※…

梟/今日の俳句 ≪第2332号≫

≪2016年(平成28年)11月26日(土)≫(旧暦10/27) 梟が来ては古戸に目をつける 広江八重桜 梟をみにゆき一人帰り来ず 宇多喜代子 梟に夢をあづけし旅寝かな 摂津よしこ 百夜来し梟に遣るものの無し 大石悦子 身を起こすとき梟の声もあり 木村蕪城 ※ 梟・ふくろ フ…

笹鳴/今日の俳句 ≪第2331号≫

≪2016年(平成28年)11月25日(金)≫(旧暦10/26) 笹鳴の小さな尻尾見てしまふ 柳生千枝子 笹鳴きと見れば笛吹く子の通る 折原あきの 笹鳴くや学校坂のよだれ石 白鳥武子 笹鳴に廃寺の蔀開けにけり 辻のぶ子 笹鳴きや五重塔を巡りては 宮澤さくら ※ 笹鳴・笹子鳴…

鷹/今日の俳句 ≪第2330号≫

≪2016年(平成28年)11月24日(木)≫(旧暦10/25) 椅子に居て若き日の鷹他界せり 金子兜太 鷹ゆけり風があふれて野積み藁 成田千空 太陽に呑まれし鷹となりにけり 安倍いさむ 鷹渡るいつまで海のあなたかな 大橋淳一 鷹とめて月光の巌ほそりけり 白澤良子 ※ 鷹→大…

狸/今日の俳句 ≪第2329号≫

≪2016年(平成28年)11月23日(水)≫(旧暦10/24)※勤労感謝の日 血けぶらふ狢の贄の月に幾つ 栗生純夫 外套の綻びて世に狸れゆくか 伊丹三樹彦 晩成を待つ顔をして狸かな 有馬朗人 檻の狸とまんじゆう頒つ老いたれば 清水径子 狸罠見について行く頬かむり 中村春…

小説「新・人間革命」

源流 六十九 法悟空 内田健一郎 画 (5960) インド創価学会が念願のメンバー一万人に達し、盤石な広布の礎を築き上げたのは、二十一世紀の新しい行進を開始した二〇〇二年(平成十四年)八月のことであった。以来、破竹の勢いで広宣流布は進み始めた。…

狐/今日の俳句 ≪第2328号≫

≪2016年(平成28年)11月22日(火)≫(旧暦10/23) 冴ゆる夜の今の飛脚は狐かな 原本神桜 二三日狐も寄らず暮るる秋 会津八一 かしこくも粥杖うちぬ狐つき 松瀬青々 かき抱く子狐も石つゆけしや 鳥居美智子 やよい朔日きつねきている姉の仲よし 阿部完市 ※ 狐・き…

小説「新・人間革命」

源流 六十八 法悟空 内田健一郎 画 (5959) インドを出発する十六日、山本伸一はカルカッタから日本へ電報を打った。離島の沖縄県・久米島や長崎県・五島列島、愛媛県・中島、広島県・厳島をはじめ、各地で苦闘し、広布の道を切り開いてきた同志に対し…

冬の雲/今日の俳句 ≪第2327号≫

≪2016年(平成28年)11月21日(月)≫(旧暦10/22) 指笛で呼ぶ帆船は冬の雲 津田このみ 冬の雲グラデーションに流れけり 久森知子 冬の雲うすうすと晴のち曇り 稲畑汀子 搗きたての冬雲の上ふるさとへ 正木ゆう子 冬雲の隣雲なすはただならね 太田鴻村 ※ 冬の雲→冬…

小説「新・人間革命」

源流 六十七 法悟空 内田健一郎 画 (5958) 十五日の午後三時半、訪印団一行は、カルカッタにあるインド博物館を訪問した。 館内では、紀元前三世紀、マウリヤ朝のアショーカ王によって建立された石柱頭である四頭獅子像が目を引いた。 獅子像の台座の…

鮫/今日の俳句 ≪第2326号≫

≪2016年(平成28年)11月20日(日)≫(旧暦10/21) 日輪のかゞよふ潮の鮫をあぐ 水原秋櫻子 明日を恃み鮫獲り船の出でゆかず 村上しゅら かつぎ来る大鮫の歯の恐ろしき 皆川盤水 ふなびとら鮫など雪に雪にかき下ろす 加藤楸邨 この湾に人喰ひ鮫の棲むと言ふ 滝沢伊…

鱈/今日の俳句 ≪第2325号≫

≪2016年(平成28年)11月19日(土)≫(旧暦10/20) 鱈食へば下北半島吹雪くかな 草間時彦 塩鱈を真水にもどす月あかり 保坂敏子 子持鱈口閉ぢ雄鱈口開く 右城暮石 はらら子のこぼるるもあり鱈を揚ぐ 岩崎照子 船去って鱈場の雨の粗く降る 寺山修司 ※ 鱈・雪魚(たら…

小説「新・人間革命」

源流 六十六 法悟空 内田健一郎 画 (5957) ラマクリシュナ・ミッション学園を視察した山本伸一たちは、視覚に障がいがある人を支援する付属の学校も訪問した。自身も目が不自由な校長が、柔和な笑みを浮かべ、伸一と握手を交わし、実技訓練所へ案内し…

鰤/今日の俳句 ≪第2324号≫

≪2016年(平成28年)11月18日(金)≫(旧暦10/19) 本物は世に出たがらず寒の鰤 加藤郁乎 寒鰤は虹一筋を身にかざる 山口青邨 鰤の尾がはみ出す自転車の荷台 栗山みどり 鰤の臓(わた)抜きゐて托鉢に眼もくれず 北野民夫 塩打ちし寒鰤の肌くもりけり 草間時彦 ※ 鰤…

小説「新・人間革命」

源流 六十五 法悟空 内田健一郎 画 (5956) 「さあ、今日も道を開こう! 友好の橋を架けよう!」 二月十五日、こう言って山本伸一は、宿舎のホテルからカルカッタ郊外のナレンドラプールにある全寮制の学園ラマクリシュナ・ミッションへ向かった。小学…

鮪/今日の俳句 ≪第2323号≫

≪2016年(平成28年)11月17日(木)≫(旧暦10/18) 此の岸の淋しさ鮪ぶち切らる 加倉井秋を 手鉤かけ投げ出す鮪丸太めく 柴田白葉女 たれかれの話となりし葱鮪かな 斎藤優二郎 葱鮪鍋下町に闇にはかなり 伊藤完吾 鮪またぎ老いのがにまた競りおとす 橋本多佳子 ※ …

小説「新・人間革命」

源流 六十四 法悟空 内田健一郎 画 (5955) グプタ副総長のあいさつを受けて、山本伸一は、今回のささやかな図書贈呈を起点に、滔々たる大河のごとき教育・学術交流の流れを開いていきたいとの決意を述べた。そして、寄贈図書の一部と百冊の贈書目録、…

冬の雨/今日の俳句 ≪第2322号≫

≪2016年(平成28年)11月16日(水)≫(旧暦10/17) 冬の雨花屋の全身呼吸かな 津田このみ 冬の雨崎のかたちの中に降る 篠原梵 欅高し根笹をぬらす冬の雨 渡辺水巴 三越で番傘買ひぬ冬の雨 大場白水郎 聳え立つ燈台冬の雨寄せず 金子麒麟草 ※ 冬の雨・寒の雨 冬に降…

小説「新・人間革命」

源流 六十三 法悟空 内田健一郎 画 (5954) ガンジーを「マハトマ」(偉大なる魂)と呼んだのはタゴールである。そして、ガンジーはタゴールを「グルデブ」(神聖な師匠)と呼んだ。二人は、意見が異なることもあったが、平和、非暴力、真理の探究とい…

時雨/今日の俳句 ≪第2321号≫

≪2016年(平成28年)11月15日(火)≫(旧暦10/16) いくたびも秋篠寺の春時雨 星野立子 鶏頭のくろずみて立つしぐれかな 桂信子 時雨馳せうこんの花のさかりなる 大野林火 鍋物に火のまはり来し時雨かな 鈴木真砂女 赤多き加賀友禅にしぐれ来る 細見綾子 ※ 時雨・…

小説「新・人間革命」

源流 六十二 法悟空 内田健一郎 画 (5953) 山本伸一が今回のインド訪問で会談したインドの指導者は、マハトマ・ガンジーの思想、精神を継承し、大インドを担っていた。 ガンジーは凶弾に倒れたが、その同志であり、また弟子である彼らは、等しく心にガ…

冬暖か/今日の俳句 ≪第2320号≫

≪2016年(平成28年)11月14日(月)≫(旧暦10/15)※新聞休刊日 暖冬の歩歩青春は道へ伸ぶ 清水清山 冬ぬくし天平仏に母の笑み 平野無石 母鹿は何時も母の瞳冬ぬくし 豊田ふじを そつとして置いてもらへば冬ぬくし 岩上とし子 寺の名で寺が探せぬ冬ぬくし 能村研三 …

落花生/今日の俳句 ≪第2319号≫

≪2016年(平成28年)11月13日(日)≫(旧暦10/14) 放蕩の夜のむなしさよ落花生 小寺正三 雁鳴くや落花生掘る山の畑 桜木俊晃 落花生弾あるときは地をくゝり 栗生純夫 落花生干す山はなの休み窯 築田圭子 南京豆むきて貧しき詩に憑かれ 福田蓼汀 ※ 落花生・南京豆…

小春/今日の俳句 ≪第2318号≫

≪2016年(平成28年)11月12日(土)≫(旧暦10/13) 小春日や湖より青き蟹の甲 水原秋櫻子 先生と話して居れば小春かな 寺田寅彦 小春日や石を噛みゐる赤蜻蛉 村上鬼城 めがね拭くことを幾度も小春かな 細見綾子 小春日や杖一本の旅ごころ 村越化石 ※ 小春・小六月…

小説「新・人間革命」

源流 六十一 法悟空 内田健一郎 画 (5952) シン知事は、残念そうに語っていった。 「本来、一つであるべき人類が、国家や民族、身分など、さまざまな壁によって分断されています。本当に崩れない平和を築いていくのなら、人間が創ってしまった人と人と…

十一月/今日の俳句 ≪第2317号≫

≪2016年(平成28年)11月11日(金)≫(旧暦10/12) あたゝかき十一月もすみにけり 中村草田男 みづかきの濡らす十一月の石 甲州千草 十一月はるなの土に父母迎ふ 林田加杜子 十一月石の上に貝砕きある 山尾玉藻 髪切つて十一月をよく遊ぶ 谷さやん ※ 十一月・神の…

小説「新・人間革命」

源流 六十 法悟空 内田健一郎 画 (5951) 山本伸一は、さらに話を続けた。 「私たちが展開している平和運動は、人間の心のなかに“平和の砦”を築くことを基調としており、その歩みはカタツムリのような速度かもしれない。しかし、粘り強く行動し続けてき…