浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

霞草/今日の俳句 ≪第2122号≫

≪2016年(平成28年)4月30日(土)(旧暦3/24)≫ 霞草紙人形も二重帯 花谷和子 聞こえる耳の側に連れ立つ霞草 谷原みち子 乳母車通ればそよぐ霞草 石原八束 霞草父親学級椅子浅し 細川加賀 反り合はぬ花のなきかに霞草 佐藤博美 ※ 霞草・群撫子・花糸撫子 コーカ…

力走 三十ニ〈小説「新・人間革命」〉

【力走 三十ニ】 法悟空 内田健一郎 画 (5789) 本部職員の島寺義憲が、高知県長として派遣されたのは、二年前の十二月であった。彼は、東京の日本橋で生まれ育ち、三十五歳にして初めて暮らす異郷の地が高知であった。 県長の任命を受けた時、彼は、な…

勿忘草(わすれなぐさ)/今日の俳句 ≪第2121号≫

≪2016年(平成28年)4月29日(金)≫(旧暦3/23) ※昭和の日国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)の一部改正によって2007年(平成19年)に制定された祝日で、日付は昭和天皇の誕生日である4月29日があてられている。同法ではその趣旨を、…

力走 三十一〈小説「新・人間革命」〉

【力走 三十一】 法悟空 内田 健一郎 画 (5788) 栗山三津子の手術は、大成功に終わった。 そして、年末に退院し、年が明けると、何事もなかったかのように、元気に活動を開始し、これまで以上に、強い確信をもって、多くの同志を励ましていくことにな…

黄金週間/今日の俳句 ≪第2120号≫

≪2016年(平成28年)4月28日(木)≫(旧暦3/22) 黄金週間啼かぬ鴉の枝に来て 鈴木真砂女 羽根ペンをもてあそび黄金週間 鷹羽狩行 髪刈つて病者のゴールデンウイーク過ぐ 大野林火 電池替えて黄金週間の義足 関谷寛一呂 春の連休日影あまねき道修町 佐々左人 ※ 黄…

力走 三十〈小説「新・人間革命」〉

【力走 三十】 法悟空 内田健一郎 画 (5787) 十二月三日、三重研修道場では全国県長会議が行われ、「人材育成の年」となる明年の具体的な活動について協議が行われた。 山本伸一は、関西総合婦人部長になった栗山三津子のことが、気がかりで仕方がなか…

力走 二十九〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十九】 法悟空 内田健一郎 画 (5786) 「幹部」というのは、本来、木の幹であり、中心をなすものである。「幹部」が腐ったり、弱かったりすれば、樹木そのものが危殆に瀕する。ゆえに山本伸一は、学会の幹部の在り方について、あえて詳細に語…

朧月/今日の俳句 ≪第2118号≫

≪2016年(平成28年)4月26日(火)≫(旧暦3/20) 大原や蝶の出て舞う朧月 内藤丈草 浄瑠璃の阿波の鳴門の朧月 富安風生 おぼろ夜や愛憎わかつひとのうへ 山本蓬郎 朧夜の四十というはさびしかり 黒田杏子 朧夜のポストに手首まで入るる 村上喜代子 ※ 朧の語源は《…

力走 二十八〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十八】 法悟空 内田健一郎 画 (5785) いかなる団体、組織も、発展のいかんは、中軸となる幹部によって決まってしまう。 学会は、翌一九七九年(昭和五十四年)に「第七の鐘」が鳴り終わり、二十一世紀への新たな飛翔を開始する、重要な時を迎…

青饅(あおぬた)/今日の俳句 ≪第2117号≫

≪2016年(平成28年)4月25日(月)≫(旧暦3/19) 青饅やいとけなかりし母の酔ひ 山田みづえ 月うるむ青饅これを忘るまじ 石田波郷 青饅や痩身はその母に似て 橋場千舟 青饅や母の思ひ出食ひ違ふ 角田信子 夫の忌や青饅にまず箸をつけ 犬塚芳子 ※ 青饅(あおぬた) …

力走 二十七〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十七】 法悟空 内田健一郎 画 (5784) 十二月二日、山本伸一は三重研修道場で行われた、岐阜、兵庫、福岡の三県合同代表幹部会に出席した。ここには、関西の幹部も参加していた。席上、本部人事委員会で検討、決定した関西婦人部の人事が発表…

連翹/今日の俳句 ≪第2116号≫

≪2016年(平成28年)4月24日(日)≫(旧暦3/18) 連翹の奥や碁を打つ石の音 夏目漱石 れんげうやこゑこそ妙にをとめどち 上田五千石 連翹の雨がみぞれにみぞれが雪に 林原耒井 連翹や真間の里びと垣を結はず 水原秋櫻子 連翹が色めきわたり明日を待つ 細見綾子 ※ …

通草の花/今日の俳句 ≪第2115号≫

≪2016年(平成28年)4月23日(土)≫(旧暦3/17) わびしさの通草はひとり咲いてゐる 臼田亜浪 すぐ開かぬもののしづけさ花通草 加藤知世子 花通草山のこだまはすぐ還る 田淵十風子 古郷は通草ゑむらしきくの花 鈴木道彦 花あけび雄花雌花とこくうすく 山口青邨 ※ …

力走 二十六〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十六】 法悟空 内田健一郎 画 (5783) 集ったメンバーは、頷きながら、真剣な面持ちで山本伸一の話に耳を傾けていた。 さらに言葉をついだ。 「人間というのは、なかなか自分を見つめようとはしないものです。 皆が団結できず、地域の広宣流布…

浅利/今日の俳句 ≪第2114号≫

≪2016年(平成28年)4月22日(金)≫(旧暦3/16) 浅蜊に水いっぱい張って熟睡す 菖蒲あや 金曜日が好きで韮・鯖・浅蜊買ふ 正木ゆう子 母の忌の浅蜊ちひさく鳴きにけり 永島理江子 浅蜊船ゆさりゆさりと戻りけり 野口文吾 今晩の浅蜊の模様さつぱり系 きくちえみ…

力走 二十五〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十五】 法悟空 内田健一郎 画 (5782) 日蓮大聖人は、「忘れても法華経を持つ者をば互に毀るべからざるか、其故は法華経を持つ者は必ず皆仏なり仏を毀りては罪を得るなり」(御書一三八二ページ)と仰せである。 さらに、同志の怨嫉は、破和合…

東菊/今日の俳句 ≪第2113号≫

≪2016年(平成28年)4月21日(木)≫(旧暦3/15) 湯がへりの東菊買ふて行く妓かな 長谷川かな女 東菊関趾に遠き海見えて 大竹孤悠 蜥蜴の子這入りたるまま東菊 松本たかし 山の家に馬小屋ありて東菊 吉野直子 岬行く母やしんがり東菊 梅津昭子 ※ 東菊・ 本州の北…

力走 二十四〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十四】 法悟空 内田健一郎 画 (5781) 山本伸一は、さらに「一生成仏抄」の「仏教を習ふといへども心性を観ぜざれば全く生死を離るる事なきなり、若し心外に道を求めて万行万善を修せんは譬えば貧窮の人日夜に隣の財を計へたれども半銭の得分…

藤/今日の俳句 ≪第2112号≫

≪2016年(平成28年)4月20日(水)≫(旧暦3/14) 藤の昼膝やはらかくひとに逢ふ 桂信子 天心にゆらぎのぼりの藤の花 沢木欣一 白藤や揺りやみしかばうすみどり 芝不器男 藤の房吹かるるほどになりにけり 三橋鷹女 藤房のせつなき丈となりしかな 片山由美子 ※ 藤・…

力走 二十三〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十三】 法悟空 内田健一郎 画 (5780) 山本伸一たちは、高丘の家から、名張の代表らとの協議会の会場となるドライブインへ向かった。このドライブインは、高丘秀一郎の弟の生郎が営む店で、車で五分ほどのところにあった。 協議会には、地元の…

ライラック/今日の俳句 ≪第2111号≫

≪2016年(平成28年)4月19日(火)≫(旧暦3/13) 遠くから あやして リラの乳母車 伊丹三樹彦 旅人のものうき刻のリラの花 草間時彦 ライラックハチ公前で待ち合はす 田中藤穂 リラの花朝も夕べの色に咲く 阿部みどり女 ライラック海より冷えて来りけり 千葉 仁 ※…

力走 二十二〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十二】 法悟空 内田健一郎 画 (5779) 山本伸一を囲んで、高丘宅での語らいは弾んだ。話が「名張」の地名に及ぶと、伸一は言った。 「『名張』というのは、いい名前ではないですか。『名を張る』――堂々と『創価』の名を掲げ、社会にあって、信…

力走 二十一〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十一】 法悟空 内田健一郎 画 (5778) 四月二十二日、山本伸一は、翌日に行われる「三重文化合唱祭」に出席するため、三重研修道場を訪問した。伸一は、研修道場に来ていた高丘秀一郎に声をかけた。 「その後、目の調子は、どうですか」 高丘…

ヒヤシンス/今日の俳句 ≪第2109号≫

≪2016年(平成28年)4月17日(日)≫(旧暦3/11) 敷く雪の中に春置くヒヤシンス 水原秋櫻子 室蘭や雪ふる窓のヒヤシンス 渡辺白泉 遺失物係の窓のヒヤシンス 夏井いつき 水にじむごとく夜が来てヒヤシンス 岡本眸 ヒヤシンスしあわせがどうしても要る 福田若之 ※ …

力走 二十〈小説「新・人間革命」〉

【力走 二十】 法悟空 内田健一郎 画 (5777) 高丘秀一郎は真剣に唱題を続けた。仏壇の前から離れなかった。彼は、もう一度、信心を一からやり直すつもりで、自らの宿命への挑戦を開始していったのである。 一九七八年(昭和五十三年)四月上旬、高丘は…

梨の花/今日の俳句 ≪第2107号≫

≪2016年(平成28年)4月15日(金)≫(旧暦3/9) 待つ宵の夢ともならず梨の花 夏目漱石 梨の花すでに葉勝ちや遠みどり 富安風生 梨咲くと轍(わだち)を重ね砂丘馬車 神尾季羊 能登けふは海の濁りの梨の花 細見綾子 水みえて淋しさもどる梨の花 山本伊左巳 ※ 梨の花…

力走 十九〈小説「新・人間革命」〉

【力走 十九】 法悟空 内田健一郎 画 (5776) 高丘秀一郎の右目が、突然、かすみはじめたのは、前年の一九七七年(昭和五十二年)十月、柿の実が赤く色づいていた日であった。翌日には、ほとんど見えなくなった。 眼科で二週間、治療を受けたが、効果は…

桜草/今日の俳句 ≪第2106号≫

≪2016年(平成28年)4月14日(木)≫(旧暦3/8) 桜草もののはじめの彩として 相田勝子 桜草灯下に置いて夕餉かな 富田木歩 まのあたり天降りし蝶や桜草 芝不器男 花の奥より蕾駈け出づ桜草 加藤楸邨 桜草たのしげに咲き増えにけり 高田風人子 ※ 桜草・プリムラ 北…

力走 十八〈小説「新・人間革命」〉

【力走 十八】 法悟空 内田健一郎 画 (5775) 山本伸一が妻の峯子と共に高丘秀一郎の家を訪ねたのは、午後四時過ぎであった。並木通り沿いにある瓦屋根の真新しい二階屋で、道を隔てて高校のグラウンドが広がっていた。 高丘家には、既に伸一の訪問が伝…

花菜漬/今日の俳句 ≪第2105号≫

≪2016年(平成28年)4月13日(水)≫(旧暦3/7) 花菜漬遠忌(おんき)の箸にあはあはし 大野林火 花菜漬夫(つま)の知らざる石重し 殿村菟絲子 花菜漬夜は生き生きと海女の厨 加藤知世子 人の世をやさしと思ふ花菜漬 後藤比奈夫 ご馳走の舌しめくくる花菜漬 宇都宮章…