浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-01-01から1年間の記事一覧

去年今年/今日の俳句 ≪第2367号≫

≪2016年(平成28年)12月31日(土)≫(旧暦12/3) 地の底の燃ゆるを思へ去年今年 桂信子 妹得しは私小説めく去年今年 伊丹三樹彦 暗きより火種をはこぶ去年今年 柿本多映 猫抱けば水の音して去年今年 坪内稔典 考えると女で大人去年今年 池田澄子 ※ 去年今年 一夜…

年の内/今日の俳句 ≪第2366号≫

≪2016年(平成28年)12月30日(金)≫(旧暦12/2) 竹薮のなかの起伏も年の内 飯島晴子 母子にて出る事多し年の内 岩木躑躅 訪ひそびれしてゐしことも年の内 田崎文三 年の内金送らんと思ひゐつ 滝沢伊代次 父と子の艀を磨く年の内 川中千寿子 ※ 年の内・年内 余す…

行年/今日の俳句 ≪第2365号≫

≪2016年(平成28年)12月29日(木)≫(旧暦12/1) ゆく年を橋すたすたと渡りけり 鈴木真砂女 ゆく年や山にこもりて山の酒 三好達治 行く年やテロと自爆と自衛隊 鎌倉喜久恵 年逝かす稿債ひとつひとつ返し 鈴木榮子 葉牡丹の紫の渦年はゆく 大橋敦子 ※ 行年・数へ日…

除夜/今日の俳句 ≪第2364号≫

≪2016年(平成28年)12月28日(水)≫(旧暦11/30) 除夜の鐘テレビの輪を惜しみ解く 清水清山 わが撞きてわが音として除夜の鐘 加倉井秋を 年の夜やもの枯れやまぬ風の音 渡辺水巴 太綱の闇に入りたる除夜詣 桂信子 枕頭に除夜の金庫を置きて眠る 伊丹三樹彦 ※ 除…

大晦日/今日の俳句 ≪第2363号≫

≪2016年(平成28年)12月27日(火)≫(旧暦11/29) 大年やおのづからなる梁響 芝不器男 大年の嵯峨清涼寺闇に入る 廣瀬直人 大晦日シャンパンの栓弾け跳ぶ 尾上有紀子 父祖の地に闇のしづまる大晦日 飯田蛇笏 滞在のホテルに馴れて大晦日 今井千鶴子 ※ 大晦日・大…

師走/今日の俳句 ≪第2362号≫

≪2016年(平成28年)12月26日(月)≫(旧暦11/28) くれなゐの実のことごとく師走かな 飯田龍太 人の背に師走の家鴨首のべぬ 原コウ子 世紀末師走吟行御堂筋 高木伸宜 スーパーのせり出す売場師走かな 小菅高雪 仏飯の乾きてをりぬ師走来る 浅井千鶴子 ※ 師走・極…

クリスマス/今日の俳句 ≪第2361号≫

≪2016年(平成28年)12月25日(日)≫(旧暦11/27) 幼よりクリスマスカードがんばって 松本米子 赤き花花舗にあふれてクリスマス 伊藤セキ 老妻のなにかやさしくクリスマス 藏本博美 クリスマス大道芸に沸く広場 藤本章子 美しき地下路線図やクリスマス 太田寛郎 ※…

柚湯/今日の俳句 ≪第2360号≫

≪2016年(平成28年)12月24日(土)≫(旧暦11/26) 柚子湯に漂わす いっぽん胸白毛 伊丹三樹彦 まどろみて待つや柚子湯にゐるひとを 日野草城 柚子風呂にはひりしは吾れ一人のみ 細見綾子 ほんのりと柚子湯の朝残るもの 尾上有紀子 金溜まることに縁なき柚子湯かな…

掃納/今日の俳句 ≪第2359号≫

≪2016年(平成28年)12月23日(金)≫(旧暦11/25)※天皇誕生日 国民の祝日の一つ。 1948年「国民の祝日に関する法律」 (昭和 23年法律 178号) により他の祝日とともに制定。天皇の誕生日を祝うことを目的とするもので,現在は 12月 23日。光仁天皇在位の宝亀6 (775…

冬休み/今日の俳句 ≪第2358号≫

≪2016年(平成28年)12月22日(木)≫(旧暦11/24) 冬休み並木きらきらと空に倦む 西垣脩 冬休み終る朝湯を沸かしけり 福永みち子 冬休み姉妹同じもの編めり 栗原米作 湯の町の小学校や冬休 高田風人子 冬休みとなりしマントの緋裏かな 久米三汀 ※ 冬休み冬休み(…

冬至/今日の俳句 ≪第2357号≫

≪2016年(平成28年)12月21日(水)≫(旧暦11/23)※冬至 小走りに妻の出て行く冬至かな 日野草城 沈む日の冬至といへど目を射るも 宮津昭彦 陽に背中押されて冬至なりにけり 星野早苗 冬至の日温み残して落ちにけり 石川琢之 友だちと長く話せる冬至来て 塩路彩奈 …

年忘れ/今日の俳句 ≪第2356号≫

≪2016年(平成28年)12月20日(火)≫(旧暦11/22) ユーカリの白い花見る年忘れ 瀧井孝作 この町に料亭ひとつ年忘れ 上崎暮潮 年忘三輪山ぬうつと闇に在り 河原枇杷男 歌舞伎座の絨氈踏みつ年忘 渡辺水巴 遅参なき忘年会の始まれり 前田普羅 ※ 年忘れ 年の暮れに、…

年の内/今日の俳句 ≪第2355号≫

≪2016年(平成28年)12月19日(月)≫(旧暦11/21) 松を見るくはへ煙草や年の内 大山文子 約束の墓参をのこす年の内 神蔵器 横書を縦に読みをり年の内 竹内弘子 窓拭きもあと一枚か年の内 宮森毅 年の内には我が部屋に帰りたし 今井千鶴子 ※ 余す日も少なくなった…

数へ日/今日の俳句 ≪第2354号≫

≪2016年(平成28年)12月18日(日)≫(旧暦11/20) 数え日や我は我とてチキン食ふ 森山卓郎 数え日の百円市に無用の用 佐渡美佐子 数へ日の郵便局へまたも行き 伊藤洋子 数へ日の一と日天女の舞を見に 小林愛子 数へ日やなすべきことの目白押し 鎌倉喜久恵 ※ 数へ…

年の暮/今日の俳句 ≪第2353号≫

≪2016年(平成28年)12月17日(土)≫(旧暦11/19) 化石句碑建ちて安らぐ年の暮 松崎鉄之介 見えぬものもろもろ見えて年の暮 柴田久子 過ぎ去りしことはうつくし年の暮れ やのかよこ 古里は翼拡げて年の暮 市川伊團次 膝かばい家事も手抜きの年の暮 先山実子 ※ 年…

白鳥/今日の俳句 ≪第2351号≫

≪2016年(平成28年)12月15日(木)≫(旧暦11/17) 白鳥の声のなかなる入日かな 桂信子 八雲わけ大白鳥の行方かな 沢木欣一 白鳥に到る暮色を見とどけし 細見綾子 白鳥のゐてたそがれの深くあり 平井照敏 白鳥の首やはらかく混み合へり 小島健 ※ 白鳥・スワン・鵠(…

お歳暮/今日の俳句 ≪第2350号≫

≪2016年(平成28年)12月14日(水)≫(旧暦11/16) ひたむきに歳暮つかいひの急ぐなり 岡本松濱 師へ父へ歳暮まゐらす山の薯 松本たかし 歳暮鮭とけばこぼるゝ結び文 阿部慧月 寺へせいぼ米二升ほど添へにけり 若林一童 お歳暮をもとの通りに包みけり 松島力 ※ 歳…

寒雀/今日の俳句 ≪第2349号≫

≪2016年(平成28年)12月13日(火)≫(旧暦11/15) 力とは地から飛び立つ寒すずめ 五島高資 何もせぬことを訓へに寒雀 村越化石 いささ竹寒雀来よ子無き家に 鍵和田秞子 ばらばらにゐて一斉や寒雀 金箱戈止夫 寒雀ただはらはらと他愛なや 栗生鈍夫 ※ 寒雀・冬雀・…

潤目鰯(うるめいわし)/今日の俳句 ≪第2348号≫

≪2016年(平成28年)12月12日(月)≫(旧暦11/14)※新聞休刊日 うるめ焼く人にたのしく皿はあり 永田耕衣 火の色の透りそめたる潤目鰯かな 日野草城 潤目鰯干す昃りて濃き海を負ひ 綿引金吾 うるめ干す路地の続きの魚市 吉村靖子 大漁にたゝかれてゐる鰯の値 鍋島…

柳葉魚(ししゃも)/今日の俳句 ≪第2347号≫

≪2016年(平成28年)12月11日(日)≫(旧暦11/13) 柳葉魚すだれ夜空が高くなりにけり 成田智世子 柳葉魚焼く学徒や唄に故郷あり 桂樟蹊子 しっぽまで卵の詰まる柳葉魚かな 二瓶洋子 一串の柳葉魚に上げし火の淡き 村上光子 柳葉魚売る北海道展混み合へり 松崎鉄之…

河豚/今日の俳句 ≪第2346号≫

≪2016年(平成28年)12月10日(土)≫(旧暦11/12) 河豚汁に余念なけれど嘘を云ふ 加藤郁乎 河豚がささやく毒消しを買はむかね 伊藤希眸 とらふぐに遠のいてゆく糶の声 森景ともね 河豚の皿燈下に何も残らざる 橋本多佳子 女将の哀歌河豚の花びら灯に透いて 原子公…

杜父魚(かくぶつ)/今日の俳句 ≪第2345号≫

≪2016年(平成28年)12月9日(金)≫(旧暦11/11) 杜父魚のえものすくなき翁かな 与謝蕪村 杜夫魚のまうけ少きたつき哉 正岡子規 杜父魚や流るゝ蘆に流れ寄り 高田蝶衣 杜夫魚の背鰭凍りて量(はか)らるる 河北斜陽 軒よりも九頭竜高し杜夫魚の宿 本多静江 ※ 杜父魚…

寒鯉/今日の俳句 ≪第2344号≫

≪2016年(平成28年)12月8日(木)≫(旧暦11/10) 寒鯉に余分な飯粒透きはじむ 五十嵐研三 寒鯉のうるむ目頭切り落とす 豊田信子 寒鯉の買はるる空のうすみどり 柴田白葉女 寒鯉の影のごときが幾匹も 宮津昭彦 寒鯉や水面に鴟尾の影揺らぐ 森竹昭夫 ※ 寒鯉・凍鯉・…

鰤/今日の俳句 ≪第2343号≫

≪2016年(平成28年)12月7日(水)≫(旧暦11/9) 裸灯に鰤の白腹百数ふ 細見綾子 鰤敷や海荒れぬ日は山荒るる 西本一都 鰤起し杉山檜山色褪せぬ 阿波野青畝 鰤起し夜は荒星の輝けり 相川やす志 陽を中に引きしぼりゆく鰤の網 星野恒彦 ※ 鰤(ぶり)→寒鰤。 アジ科の…

鮟鱇(あんこう)/今日の俳句 ≪第2342号≫

≪2016年(平成28年)12月6日(火)≫(旧暦11/8) 鮟鱇鍋路地に年月重ねたり 鈴木真砂女 ほかの部屋大いに笑ふ鮟鱇鍋 深川正一郎 鮟鱇の渾沌たるを吊しけり 太田寛郎 吊鮟鱇末期の水を腹に溜め 青木つね子 鮟鱇の津浪を起しそうな口 八牧美喜子 ※ 鮟鱇(あんこう) 海…

鮪/今日の俳句 ≪第2341号≫

≪2016年(平成28年)12月5日(月)≫(旧暦11/7) 此の岸の淋しさ鮪ぶち切らる 加倉井秋を たれかれの話となりし葱鮪かな 斎藤優二郎 葱鮪鍋下町に闇にはかなり 伊藤完吾 鮪糶る男の世界覗きけり 鈴木真砂女 手鉤かけ投げ出す鮪丸太めく 柴田白葉女 ※ 鮪(まぐろ)・…

鮫鱶/今日の俳句 ≪第2340号≫

≪2016年(平成28年)12月4日(日)≫(旧暦11/6) 昼過ぎのプラグが鮫の声を出す 坪内稔典 あふむけの鮫の子息をしてゐたり 大木あまり いまわれは遊ぶ鱶にて逆さ富士 高柳重信 極寒期うまの合ひたる鮫とウクレレ 栗林千津 鮫一体植つかず糶の終りたり 熊谷愛子 ※ …

冬の虹/今日の俳句 ≪第2339号≫

≪2016年(平成28年)12月3日(土)≫(旧暦11/5) ころがして仏頭を彫る冬の虹 坪内稔典 冬の虹サーカス見たき思ひかな 和田あきを 冬の虹指の尖より昏れてをり 木村真魚奈 冬の虹生駒断層目覚むるか 近藤きくえ 軍艦の水脈を引き去り冬の虹 わたなべ漣 ※ 冬の虹 夏…

冬凪/今日の俳句 ≪第2338号≫

≪2016年(平成28年)12月2日(金)≫(旧暦11/4) 冬凪の檸檬色づくほのかなり 水原秋櫻子 冬凪や鉄塊として貨車憩ふ 木下夕爾 冬凪やひたと延べあふ岬二つ 井沢正江 冬凪ぎて砂に小貝の美しく 吉屋信子 冬凪や漁師ばかりの理髪館 水野李村 ※ 冬凪・寒凪。 冬は風が…

十二月/今日の俳句 ≪第2337号≫

≪2016年(平成28年)12月1日(木)≫(旧暦11/3) 十二月六日の沖の帆が君か 坪内稔典 十二月八日金属疲労深くせり 杉﨑ちから 仲見世の裏行く癖も十二月 石川桂郎 青空を海に拡げて十二月 伊藤通明 なき母を知る人来たり十二月 長谷川かな女 ※ 十二月 日が短く日ご…