浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

南天の花/今日の俳句≪第2153号≫ )

≪2016年(平成28年)5月31日(火)≫(旧暦4/25) 南天の実になる花と思はれず 正岡子規 南天の花のこぼるるお鷹道 勝又一透 花南天実るかたちうぃして重し 長谷川かな女 引越の荷が南天の花こぼす 加藤水虹 南天の花ほろほろと月に散る 井上論天 ※ 南天の花→花南…

力走/五十七〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十七/法悟空 内田健一郎 画 (5814) レストランで同志を励ました山本伸一は、車で足摺岬灯台をめざした。 一キロほど走り、駐車場で車を降りると、灯台へ続く入り口広場に立つ、和服姿の銅像が見えた。台座を含め、像の高さは、六、七メートル…

力走/五十六〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十六/法悟空 内田健一郎 画 (5813) 山本伸一の激励は、高知研修道場を出発する間際まで続いた。ロビーでも、愛媛県の南予から来た婦人に声をかけ、南予訪問を約束し、悪僧の仕打ちに泣かされてきた同志へ、励ましの言葉を託した。 研修道場の…

紫陽花/今日の俳句 ≪第2152号≫

≪2016年(平成28年)5月30日(月)≫(旧暦4/24) 紫陽花や白よりいでし浅みどり 渡辺水巴 みたさねば紫陽花とらへ水の照り 保坂加津夫 修證義の二章三章濃紫陽花 吉田さかえ ふわふわ紫陽花の群れ流れおり 葉月ひさ子 紫陽花のゆふぐれ手もとより古ぶ 八田木枯 ※ …

薔薇/今日の俳句 ≪第2151号≫

≪2016年(平成28年)5月29日(日)≫(旧暦4/23) 薔薇を転がる露一滴の告白なり 原子公平 ばらの芽のいくつ種火のごとくあり 齋藤史子 タイピストコップに薔薇をひらかしむ 日野草城 月の露光りつ消えつ薔薇の上 鈴木花蓑 造化めく刻ありやがて薔薇崩る 鈴木三伸 …

茉莉花(まつりか)/今日の俳句 ≪第2150号≫ ≪2016年(平成28年)5月28日(土)≫(旧暦4/22)  茉莉花の香指につく指を見る          横光利一  茉莉花を拾ひたる手もまた匂ふ          加藤楸邨  凡夫たり茉莉花の香を強く嗅ぎ          攝津幸彦  茉莉花に帽子の鍔の触るるまで          西村和子  ジャスミンのレイを掛けられ入国す          山地曙子 ※ 茉莉花(まつりか)→素馨(そけい)・ジャスミン  インド原産の常

≪2016年(平成28年)5月28日(土)≫(旧暦4/22) 茉莉花の香指につく指を見る 横光利一 茉莉花を拾ひたる手もまた匂ふ 加藤楸邨 凡夫たり茉莉花の香を強く嗅ぎ 攝津幸彦 茉莉花に帽子の鍔の触るるまで 西村和子 ジャスミンのレイを掛けられ入国す 山地曙子 ※ 茉莉…

力走/五十五〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十五/法悟空 内田健一郎 画 (5812) 山本伸一は、高齢の芝山太三郎の手を、ぎゅっと握ったまま語っていった。 「お会いできてよかった。同志もいない山間の集落で、病弱な奥さんと共に、あなたは敢然と広宣流布に立ち上がった。苦労したでしょ…

浴衣/今日の俳句 ≪第2149号≫

≪2016年(平成28年)5月27日(金)≫(旧暦4/21) 老が身の着かへて白き浴衣かな 村上鬼城 張りとほす女の意地や藍浴衣 杉田久女 浴衣着て竹屋に竹の青さ見ゆ 飯田龍太 火取虫温泉浴衣一夜限り 阿部寒林 浴衣兼病衣即ち老いにけり 富田直治 ※ 浴衣→湯帷子・古浴衣…

力走/五十四〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十四/法悟空 内田健一郎 画 (5811) 十二月九日、山本伸一は、三泊四日にわたる高知研修道場での指導を終えて、高知市に戻ることになっていた。伸一は、正午過ぎから、研修道場に集って来た、四、五十人ほどの人たちと勤行して、出発することに…

梔子の花/今日の俳句 ≪第2148号≫

≪2016年(平成28年)5月26日(木)≫(旧暦4/20) あさきゆめ梔子の香が濃かりけり 平井照敏 月の夜を経し山梔子は月色に 永井東門居 くちなしの花一色に埋れたし 竹田小時 山梔子の花に真白き雨が降る 伊藤和枝 くちなしの終の一花となりにけり 小山ミツ子 ※ 梔子…

百日紅/今日の俳句 ≪第2147号≫

≪2016年(平成28年)5月25日(水)≫(旧暦4/19) 奈良坂の家うち暗きさるすべり 桂 信子 駆落のごとき所帯よ百日紅 伊丹啓子 百日紅つかれし夕べむらさきに 橋本多佳子 採血や雨後なほ燃えて百日紅 楠本憲吉 地上絵をちりちりちりと百日紅 葉月ひさ子 ※ 百日紅→百…

力走/五十二〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十二/法悟空 内田健一郎 画 (5809) 山本伸一は、愛媛県の南予から来たメンバーや、模擬店の役員とも記念撮影をした。 その後、地元メンバーの勧めで、近くにある足摺海底館などを訪れた。 夕刻、高知研修道場に戻った伸一は、地元の幡多地域本…

紫陽花/今日の俳句 ≪第2146号≫

≪2016年(平成28年)5月24日(火)≫(旧暦4/18) 紫陽花や白よりいでし浅みどり 渡辺水巴 紫陽花や明治の母は眉青く 京極杞陽 近づけば錆走りゐる濃紫陽花 金子つとむ 修證義の二章三章濃紫陽花 吉田さかえ 散り惜しみ百歳小町の紫陽花に 丸山佳子 ※ 紫陽花(あじ…

力走/五十一〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十一/法悟空 内田健一郎 画 (5808) 天宮四郎・繁美は、夫妻で地域広布の草創の歴史を拓き、さらに、広布第二章の今も、支 部長・婦人部長として、地域のため、社会のために力走を続けていたのである。 天宮は、よく皆に、こう訴えてきた。 「…

山桜桃(ゆすら)の花/今日の俳句 

≪2016年(平成28年)5月23日(月)≫(旧暦4/17) ゆすら花いつ散りしかも葉の青し 細見綾子 太陽に嬉々とゆすらの返り花 野見山朱鳥 ゆすら花いつ散りしかも葉の青し 細見綾子 日あたりてぬくき素足やゆすら咲く 日野草城 野の恋や梅桃をわかちあふことも 伊丹三…

力走/五十〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十 /法悟空 内田健一郎 画 (5807) 天宮四郎は、土佐の「いごっそう」を自負していた。ひとたび信心を始めたからには、徹しきってみようと腹を括った。学会の指導通りに朝晩の勤行を励行し、真剣に唱題を重ねた。苛立ちは失せ、酒を飲んで妻に…

鵜飼(うかひ)/今日の俳句 ≪第2144号≫

≪2016年(平成28年)5月22日(日)≫(旧暦4/16) 鵜飼一生水の匂ひを陸に曳き 野澤節子 潜り出て鮎を得ざりし鵜の顔よ 西東三鬼 さし入れて西日さみしき鵜籠かな 石原舟月 嘴削ることに始まる鵜飼かな 浅田光代 夕星の殖えて鵜飼の果てに浅川正 渡辺政子 ※ 徒歩鵜…

泰山木の花/今日の俳句 ≪第2143号≫

≪2016年(平成28年)5月21日(土)≫(旧暦4/15) 泰山木白波のごと崩れ去りぬ 木下杢太郎 泰山木天にひらきて雨を受く 山口青邨 妻をなくした中年の哀泰山木に 島津 亮 谿ちかく絶唱の白泰山木 友岡子郷 泰山木の花にまだある夕日かな ながさく清江 ※ 泰山木の花…

力走/四十九〈小説「新・人間革命」〉

力走 四十九 /法悟空 内田健一郎 画 (5806) 高知研修道場の広場では、勤行会参加者のために、タコ焼きや豚汁などの模擬店が開かれ ていた。山本伸一は、そこにも足を運び、茅葺きの東屋で、皆の様子を見守りながら、高知 の県幹部らと懇談した。 県長…

薔薇/今日の俳句 ≪第2142号≫

≪2016年(平成28年)5月20日(金)≫(旧暦4/14) 世界との距離か白バラまで数歩 坪内稔典 薔薇の芽に夜は満天の星応ふ 原田青児 薔薇の芽のいと柔かきとげを持ち 菅原澄子 薔薇色の暈して日あり浮氷 鈴木花蓑 薔薇色の海はヨットを淋しくす 野見山朱鳥 ※ 薔薇・薔…

力走/四十八〈小説「新・人間革命」〉

力走 四十八 /法悟空 内田健一郎 画 (5805) この八日の勤行会でも、山本伸一は、あいさつのあとにピアノを演奏し、終了後には、参加者のバスを見送った。乗車を待つ同志の列の中に入り、声をかけ、さらに、乗車した人たちとも、窓越しに握手を交わし…

葉桜/今日の俳句 ≪第2141号≫

≪2016年(平成28年)5月19日(木)≫(旧暦4/13) 葉桜や発つときめたるときの雨 久保田万太郎 葉桜の下帰り来て魚に塩 細見綾子 瀬の音して葉桜の山泊り 神原栄ニ 葉桜や携帯電話に尾が見えて あざ蓉子 葉桜の迷路を抜けて青い風 わたなべじゅんこ ※ 葉桜。 花時…

力走/四十七〈小説「新・人間革命」〉

力走 四十七 /法悟空 内田健一郎 画 (5804) 山本伸一は、夕刻には高知研修道場周辺の視察に出かけ、足摺海洋館を訪問した。 一九七〇年(昭和四十五年)に、日本で初めて海中公園(後の海域公園)に指定されたこの辺りは、海の透明度も高く、波や風に…

夏めく/今日の俳句 ≪第2140号≫

≪2016年(平成28年)5月18日(水)≫(旧暦4/12) 夏めくや海老天の尾のよく跳ねて 河口宏子 おきばりやす声に夏めく祇園の灯 荻野千枝 眼鏡拭くたびに夏めく空であり 岡田菫也 夏めくや海より生れしいろの蝶 朝倉和江 ゆくほどに夏めく風の岬かな 倉田紘文 ※ 夏め…

力走/四十六〈小説「新・人間革命」〉

力走 四十六 /法悟空 内田健一郎 画 (5803) 七日、高知研修道場の開所一周年を祝う第一回の記念勤行会が、午後一時から行われた。山本伸一は、御書を拝して、仏法は死の問題を解明した大哲理であることや、唱題の大切さを、大確信を込めて訴えた。 終…

岩魚/今日の俳句 ≪第2139号≫

≪2016年(平成28年)5月17日(火)≫(旧暦4/11) ひとすじの煙の青さ岩魚捕 宇多喜代子 みなそこの岩魚に憂の日もあるや 細谷源二 岩魚あり酒なき膳の箸を割る 本田一杉 岩魚焼く山国の星瞭かに 西村公鳳 滝の音岩魚焼く火の暮れ残り 古賀まり子 ※ サケ科。ヤマメ…

力走/四十五〈小説「新・人間革命」〉

法悟空 内田健一郎 画 (5802) 十二月七日、山本伸一は、高知研修道場で黎明の海を見た。静寂のなか、暁闇を破って光が走り、太平洋にのびる足摺半島の稜線が浮かび上がる。海原には、無数の金波が躍り、赫々たる太陽が昇る。足摺の日の出は、大自然の…

穴子/今日の俳句 ≪第2138号≫

≪2016年(平成28年)5月16日(月)≫(旧暦4/10) 播州の海の明るき穴子かな 成瀬櫻桃子 寝てる間に着いてお昼の穴子飯 中原幸子 加古川の穴子に嫁の喚声あぐ 松崎鉄之介 地に胡座かいて開きぬ穴子寿司 山田六甲 三人寄れば文殊の智慧の穴子食ぶ 鈴木榮子 ※ マアナ…

力走/四十四〈小説「新・人間革命」〉

【力走/四十四】 法悟空 内田健一郎 画 (5801) 高知研修道場に到着するや、山本伸一の師子奮迅の陣頭指揮が始まった。 この夜は、方面や高知県の幹部らと懇談。研修道場周辺の状況などを尋ねた彼は、県長の島寺義憲らに語った。 「明日から行う研修道…

鱧(はも)/今日の俳句 ≪第2137号≫

≪2016年(平成28年)5月15日(日)≫(旧暦4/9) 余り多く酒たしなまず鱧茶漬 青木月斗 鱧ちりの氷りを白布にて砕く 右城暮石 京にありて祭鱧食ぶひたすらに 金子兜太 好きやねん天神祭鱧の皮 坪内稔典 大坂の人とし老ゆる鱧の皮 田村木国 ※ 鱧・水鱧 アナゴに似て…