浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

大瑠璃/今日の俳句 ≪第2183号≫

≪2016年(平成28年)6月30日(木)≫(旧暦5/26) この沢やいま大瑠璃鳥のこゑひとつ 水原秋櫻子 大瑠璃鳥や白灯台に灘の照り 岡部六弥太 オオルリの恋のはじまり青まだ 豊田ささお 行きし瑠璃鳥またかへしきぬ山葵沢 橋本鶏二 風入るる藤村旧居瑠璃鳥のこゑ 堀口…

清新/十四〈小説「新・人間革命」〉

清新/十四 法悟空 内田健一郎 画 (5839) 午前、午後と勤行会を行い、参加者と握手を交わし続けた山本伸一の手は腫れあがり、真っ赤になってしまった。 管理者室で手を冷やしながら、夜に予定されている岩手県新春記念幹部会に備えた。 しかし、ほどな…

白鷺/今日の俳句 ≪第2182号≫

≪2016年(平成28年)6月29日(水)≫(旧暦5/25) 癌の妻風の白鷺胸に飼ふ 斉藤 玄 白鷺や植ゑし水田の稲みどり 門屋大樹 白鷺の降りし青田のあらたまる 柴田佐和子 白鷺の深みへ行くを見詰めをり 篠田純子 白鷺のはるかな白に居りにけり 不破 博 ※ 白鷺 サギ科の…

清新/十三〈小説「新・人間革命」〉

清新/十三 法悟空 内田健一郎 画 (5838) 十二日、水沢文化会館の開館を記念する自由勤行会は、結局、夕方までに数回にわたって開催された。いずれも山本伸一が導師を務め、あいさつもした。皆の輪の中に入り、握手を交わし、要望に応えてピアノも弾い…

青鷺/今日の俳句 ≪第2181号≫

≪2016年(平成28年)6月28日(火)≫(旧暦5/24) 青鷺の叱と鳴きつゝけふの月 服部嵐雪 青鷺や闇のどこかが濡れてをり 加藤楸邨 青鷺はさみしき空を水に統ぶ 北 光星 青鷺や水に浮びし后陵 大島民郎 青鷺のはるかなる視野しぐれけり 上野さち子 ※ 青鷺 日本のサギ…

清新/十二〈小説「新・人間革命」〉

清新/十二 法悟空 内田健一郎 画 (5837) 山本伸一が「明日の自由勤行会には、何人ぐらいの方が、お見えになるかね」と尋ねると、山中暉男が「数千人は来ると思います」と答えた。 「そうか。ほぼ同時刻に大挙して会員の皆さんが訪れた場合、どうすれ…

水鶏/今日の俳句 ≪第2180号≫

≪2016年(平成28年)6月27日(月)≫(旧暦5/23) 水鶏たたく五湖の一つの昏れにけり 岡本爽子 仮の寝に返す手枕水鶏鳴く 嶋田麻紀 水鶏笛きつと芭蕉を呼び寄せる 松田ひろむ ほろほろと水鶏の月のこぼれ雨 山本杜城 水鶏啼き高野は真夜も杉匂ふ 神尾久美子 ※ 水鶏…

清新/十一〈小説「新・人間革命」〉

清新/十一 法悟空 内田健一郎 画 (5836) 山本伸一は、水沢文化会館に残っていた役員の代表たちに、次々と声をかけていった。特に清掃の役員に就いていた婦人など、陰で黙々と作業に当たってくれた人たちには、丁重に御礼を述べながら語り合った。 そ…

葭切/今日の俳句 ≪第2179号≫

≪2016年(平成28年)6月26日(日)≫(旧暦5/22) 言問はむ真間の芦洲に啼くげげす 臼田亜浪 夕潮の満ちわたりけり葭すゞめ 日野草城 葭切や晒布に重石拾ひ置く 高田蝶衣 子育ての大声同志行々子 加藤楸邨 目の前にあつて葭切鳴くことよ 外川飼虎 ※ 葭切・行々子・…

蜜柑の花/今日の俳句 ≪第2178号≫

≪2016年(平成28年)6月25日(土)≫(旧暦5/21) ふるさとはみかんのはなのにほうとき 種田山頭火 花みかん瀬戸海流は争はず 鷹羽狩行 花みかん潜水艦の来てをりぬ 松下章子 ひとり住めば夜の濃くなる花蜜柑 つじ加代子 託児所はこの裏通り花みかん 柴田志津子 ※ …

清新/十〈小説「新・人間革命」〉

清新/十 法悟空 内田健一郎 画 (5835) 山本伸一は、直ちに、三陸から来た数人のメンバーが待つ一階へと下りていった。 三陸方面でも、同志は、宗門僧による過酷な仕打ちと戦い続けてきたのだ。 「大変ななか、ようこそ、おいでくださいました。ありが…

花橘/今日の俳句 ≪第2177号≫

≪2016年(平成28年)6月24日(金)≫(旧暦5/20) 花橘妻子らそこにゐてはるけし 塚本邦雄 遠つ世のこと橘の花の香に 河野静雲 塚山に花橘の白さかな 伊丹さち子 橘の花の下にて伊豆の海 甲田鐘一路 橘の花の匂ふや神の前 石井桐陰 ※ 花橘(はなたちばな)→橘の花…

清新/九〈小説「新・人間革命」〉

清新/九 法悟空 内田健一郎 画 (5834) 代表幹部会は、ほのぼのとした雰囲気に包まれるなか、山本伸一の指導となった。 彼は、地理的にも、気候的にも厳しい条件のなかで、堅忍不抜の意志をもって、広宣流布に挺身してきた岩手の同志を、心から賛嘆し…

サングラス/今日の俳句 ≪第2176号≫

≪2016年(平成28年)6月23日(木)≫(旧暦5/19) サングラス掛けて妻にも行くところ 後藤比奈夫 サングラスのパブロピカソに蜜蜂 金子兜太 親といふものやめたサングラス 能勢京子 サングラスそれからラム酒一瓶と 児玉硝子 ずぶ濡れの伝承の石サングラス 中原幸…

清新/八〈小説「新・人間革命」〉

清新/八 法悟空 内田健一郎 画 (5833) 安房由光の販売店の配達員からも、宗門僧の圧力に屈して、学会を去る人が出始めた。配達員がいなくなった地域の配達は、安房自身が行わなければならない。彼は“負けるものか!”と、自分を奮い立たせた。 一月十…

短夜/今日の俳句 ≪第2175号≫

≪2016年(平成28年)6月22日(水)≫(旧暦5/18) 短夜の麓に余吾の海白し 内藤鳴雪 明易き露台の花卉に人さめず 西島麦南 短夜の水満つ甕に一滴づつ 野見山朱鳥 短夜の水際に失せし男かな 中村苑子 短夜の入らねむれる汽車に乗る 篠原 梵 ※ 短夜・明易し・明早し…

清新/七〈小説「新・人間革命」〉

清新/七 法悟空 内田健一郎 画 (5832) 山本伸一は、水沢文化会館の大広間で、白蓮グループ、創価班、学生部の代表、運営役員などと次々に記念のカメラに納まった。 この日は、美しい夕焼けとなった。 燃えるような夕映えのなか、新年を記念する岩手県…

清新/六〈小説「新・人間革命」〉

清新/六 法悟空 内田健一郎 画 (5831) 山本伸一は話を続けた。 「今日は、岩手の大飛躍のために、ともすれば幹部が陥りがちな問題について、あえて厳しく語っておきます。 幹部は、組織を自分のものであるかのように考え、会員の方々を部下のように思…

夏至/今日の俳句 ≪第2174号≫

≪2016年(平成28年)6月21日(火)≫(旧暦5/17) 心澄めば怒涛ぞきこゆ夏至の雨 臼田亞浪 老どちの夏至夕暮を待つ会話 瀧 春一 キーウィの蔓が鞭打つ夏至の空 寺田良治 夏至の空女子高生らの批評癖 わたなべじゅんこ 潮境くつきり夏至のカフェテラス 中山純子 ※ …

清新/五〈小説「新・人間革命」〉

清新/五 法悟空 内田健一郎 画 (5830) 山本伸一は、館内を巡りながら、岩手の県幹部に語り続けた。 「岩手は、ますます強くなってほしい。断じて勝ってほしい。そのために何が大切か。 まず、“自分たちは一生懸命にやってきたんだから、これ以上は無…

仏桑花/今日の俳句 ≪第2173号≫

≪2016年(平成28年)6月20日(月)≫(旧暦5/16) よく駈けるヒヨコ愛らし仏桑花 長谷川零余子 島の唄流れ来る夜の仏桑花 小田尚輝 恍惚と旅の寝不足仏桑花 渡辺千枝子 島人の血はかくも濃し仏桑花 青柳志解樹 ハイビスカスさがして旅の気安さに 金山久子 ※ 仏桑花…

単衣(ひとえ)/今日の俳句 ≪第2172号≫

≪2016年(平成28年)6月19日(日)≫(旧暦5/15) 単帯かくまで胸のほそりけり 久保田万太郎 汝にやる十二単衣といふ草を 高浜虚子 単衣着て風よろこべば風まとふ 中村汀女 巌門とひつぱり餠と単衣の子 神尾季羊 魂去りし父の単衣のたたまるる 堤 高嶺 ※ 単衣(ひ…

夾竹桃/今日の俳句 ≪第2171号≫

≪2016年(平成28年)6月18日(土)≫(旧暦5/14) 夾竹桃花のをはりの海荒るる 桂 信子 夾竹桃燃えそむ太田川河畔 松崎鉄之介 夾竹桃日暮は街のよごれどき 福永耕二 咲き満ちて昼のさみしさ夾竹桃 讃岐節子 夾竹桃けぢめのつかぬ憎らしさ 柴田いさを ※ 夾竹桃→桃葉…

清新/四〈小説「新・人間革命」〉

清新/四 法悟空 内田健一郎 画 (5829) 一月十一日、山本伸一は、岩手県の水沢の地を踏んだ。 水沢は、北から南に北上川が流れ、江戸時代には伊達氏の家臣・留守(水沢伊達)氏の城下町として栄え、南部鉄器の生産でも知られる。また、江戸末期の蘭学…

清新/三〈小説「新・人間革命」〉

清新/三 法悟空 内田健一郎 画 (5828) 山本伸一は、この一九七九年(昭和五十四年)の『大白蓮華』二月号に、「『地方の時代』と広宣流布」と題する巻頭言を書いた。 そのなかで彼は、「国をし(知)るべし・国に随って人の心不定なり……されば法は必…

泰山木の花/今日の俳句≪第2169号≫

≪2016年(平成28年)6月16日(木)≫(旧暦5/12) 太陽と泰山木と讃へたり 阿波野青畝 父母は昭和に逝けり泰山木咲き継げり 八木原祐計 泰山木の花にまだある夕日かな ながさく清江 もう急くなと泰山木の一輪咲く 北原志満子 泰山木白波のごと崩れ去りぬ 木下杢太…

清新/二〈小説「新・人間革命」〉

清新/二 法悟空 内田健一郎 画 (5827) この一九七九年(昭和五十四年)も、山本伸一の果敢な執筆活動はとどまることを知らなかった。 月刊婦人雑誌の一月号では、『婦人倶楽部』(講談社)に「私が出会った素晴らしき女性たち」を、『婦人生活』(婦…

金雀枝(えにしだ)/今日の俳句 ≪第2168号≫

≪2016年(平成28年)6月15日(水)≫(旧暦5/11) 金雀枝や日の出に染まぬ帆のひとつ 水原秋櫻子 えにしだの夕べは白き別れかな 臼田亜浪 金雀枝の花より生れし黄の蝶か 中村苑子 金雀枝の二樹にこだわる記憶かな 金子兜太 煤枯れの金雀枝 慰安映画の門 伊丹三樹彦…

清新/一〈小説「新・人間革命」〉

清新/一 法悟空 内田健一郎 画 (5826) 前進の活力は、希望から生まれる。 希望の虹は、歓喜ある心に広がる。 山本伸一は、学会が「人材育成の年」と定めた一九七九年(昭和五十四年)元日付の「聖教新聞」に、「希望の暁鐘」と題する一文を寄稿した。…

蝸牛/今日の俳句 ≪第2167号≫

≪2016年(平成28年)6月14日(火)≫(旧暦5/10) 木にのぼり遠国へゆくかたつむり 国武十六夜 かたつむり甲斐も信濃も雨の中 飯田龍太 万葉のなかの一葉かたつむり 正木ゆう子 かたつむり少し大きな葉に戻す 山本一歩 アリバイは消してるつもりかたつむり 中谷三…