浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽51〈小説「新・人間革命」〉

 


【常楽51】法悟空 内田健一郎 画 (5739)

 「水滸会」の青年たちが決起した地である山梨に集う同志たちこそ、広布第二章の先駆けとして立ち上がってほしいと、山本伸一は強く念願していた。
 また、「文化の華と 咲き薫れ」の一節には、山梨への彼の大きな期待があった。
 文化とは「文をもって化す」ことであり、人間の心を耕す作業といってよい。暴力や権力、金力といった人間を脅かす外からの力に抗して、人間性の勝利をもたらす力である。
 人間生命の改革を基盤に、野蛮を平和へと転じて、社会の繁栄をめざす広宣流布の運動こそ、文化の最先端を行くものにほかならない。伸一は、この詩情豊かな山梨の地に、地域広布の大城を築き、人間文化の大輪を育んでいってほしかったのである。
 そのためにも、人材の育成に力を注ぎ、数多の逸材を育てることが大切になる。
 『甲陽軍鑑』(品第三十九)には、甲斐を根拠地にした戦国武将・武田信玄の言葉として、「人は城 人は石垣 人は堀」とある。一人ひとりが適材適所を得て、力を発揮すれば、人が堅固な城となり、石垣となり、堀となって、鉄壁の守りを固めていけるのだ。
 では、人材育成の要諦とは何か。
 それは、リーダーが成長し続けていることだ。人は触発があってこそ奮起する。触発をもたらすには、日々、自分が成長していなければならない。ゆえに、リーダー自身が心に師をいだき、求道心を燃やし、新しい挑戦を重ね、自分を錬磨していくことが大事になる。厳に戒めるべきは慢心と油断である。
 また、一人ひとりの成長と幸福を願い、共に行動しながら、信心の基本を教えていくことだ。人は放っていたのでは育たない。山梨の大地を彩る果樹のように、手塩にかけて、真心を注いだ分だけ成長していく。
 そして、広宣流布に生きるリーダーの信念は、そびえ立つ富士のごとく、揺るぎなきものでなくてはならない。
 伸一の眼には、二十一世紀の大空にそびえ立つ山梨の人材城が、燦然と輝いていた。


【「聖教新聞」2016年(平成28年)3月2日より転載】


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