浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

常楽61小説「新・人間革命」〉

 


【常楽61】 法悟空 内田健一郎 画 (5749)

 永井明子は、春季合同慰霊祭での山本伸一の激励を、決して忘れなかった。
 挫けそうになるたびに、その時の言葉を思い起こしては、自分を鼓舞して唱題し、学会活動に励んだ。懸命に、誠心誠意、仕事に取り組む彼女を、次第に周囲の人たちも応援してくれるようになった。
 夫・忠の他界から十二年、会社は順調に業績を上げていたのである。
 伸一は、忠の十三回忌が間近に迫っていることを聞くと、彼女に言った。
 「明日もまた、泉州文化会館の開館記念勤行会を開催しますので、その時に、あわせてご主人の法要を行いましょう。よろしかったら、お子さんたちも一緒においでください。
 お母さんと共に、苦労を分かち合ってこられた立派なお子さんたちです。私も、ぜひお会いして、讃え、励まして差し上げたい」
 人間は、必ず、誰かに支えられて生きている。一人の人を本当に励まし、元気づけるには、その人を支えてくれている人をも讃え、励ましていくことが大事である。
 翌十一日昼、伸一が周辺の視察を終え、泉州文化会館に戻ると、玄関の前で永井一家が待っていた。
 「先生! 大変にありがとうございます。本日は、家族で来させていただきました」
 明子は、子どもたちを紹介していった。
 「こちらが長男の勝也で、二十六歳です。そして、次男の皓平、二十二歳です。それから長女の聡美です。二十歳になりました」
 長男は、高校を卒業し、タイル関係の会社に勤めた後、家業を継いでいた。また、次男は、この年の春に大学を卒業して建築資材関係の企業に就職。長女は、歯科衛生士をめざして専門学校に学んでいた。
 伸一は、子どもたちと握手を交わした。
 「立派に育ったね。亡くなられたお父さんも、喝采を送っているでしょう。お母さんを大切にね。しっかり親孝行するんだよ。苦労して、みんなを育ててくれた、日本一のお母さんだもの」

 


【「聖教新聞」2016年(平成28年)3月14日より転載】


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