浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走/四十四〈小説「新・人間革命」〉

 


【力走/四十四】 法悟空 内田健一郎 画 (5801)

 高知研修道場に到着するや、山本伸一の師子奮迅の陣頭指揮が始まった。
 この夜は、方面や高知県の幹部らと懇談。研修道場周辺の状況などを尋ねた彼は、県長の島寺義憲らに語った。
 「明日から行う研修道場での勤行会には、高知県西部だけでなく、愛媛県から南予の代表も参加することになっていたね。たくさんの人が来るので道路も混み、何かと周辺に迷惑をかけることも考えられる。事前に、消防署や消防団、駐在所、漁業協同組合などへ、ごあいさつにお伺いしておくことです。
 研修道場にせよ、会館にせよ、使用していくうえでは、近隣や周辺の方々に、ご理解、ご協力をいただかなければならない。
 それには、常日頃から交流を図っていくとともに、何か大きな行事を開催するような時には、必ずごあいさつに行くことです。事前に何を行うかお知らせし、ひとことお断りしておけば、安心していただけるものです。
 近隣の方々に、“学会の会館ができ、大勢の人が集まっているが、何をしているか全くわからない。不安である”といった思いをさせてはいけません。
 仏法即社会なんですから、周囲の方々が、“学会の会館ができてよかった。地域も発展するし、安心できる”と思っていただくように努力していくことです」
 また伸一は、幡多地域にある宗門寺院に、「研修道場に来ております。いつも、お世話になり、ありがとうございます」との伝言とともに、土産の品を届けてほしいと頼んだ。
 懇談した幹部たちは、皆、間断なく奮闘する伸一を目の当たりにして、彼の体調を気遣っていた。
 皆の心を察したように、伸一は語った。
 「私は真剣勝負なんです。先のことはわからない。もう二度と、ここへは来られないかもしれない。だから、悔いのないように、幡多地域の、そして高知の未来のために、一切の布石をしておきたい。結局、戦いも、人生も今しかない。今、何をやるかなんです」

 

【「聖教新聞」2016年(平成28年)5月16日より転載】


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