浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

大山 八 法悟空 内田健一郎 画 (5968)


 宗門僧たちは学会攻撃の材料探しに血眼になっていた。年が明けると、学生部の幹部が「『学会が真実の正義の団体』であることを厳然と証明していきたい」と呼びかけたことを取り上げて、学会は反省がないと言いだした。
 そして、一月二十八日には、第二回の全国檀徒総会が総本山で行われた。二百三十人の僧、五千人ほどの檀徒が集い、学会を謗法と決めつけ、謗法に対しては、和解も手打ち式もないなどと対決姿勢を打ち出したのだ。
 しかし、学会は、和合のために、どこまでも耐忍と寛容で臨み、神経をすり減らすようにして宗門に対応し続けた。
 そんなさなかの三月上旬、法主の取次役の僧から副会長の秋月英介に連絡があった。
 「副会長の鮫島源治氏が、宗門と学会の問題について、いろいろ発言されています。話の内容を聞いて、猊下をはじめ、私どもは驚いております。この件について、文書にてお尋ねしますので、お答えいただきたいと思います」
 宗門が問題にしたのは、三月六日に福岡県大牟田で、宗門との和合を図るために開かれた会合での、鮫島の無責任な発言であった。彼は、それまでも非常識な言動で、純真な九州の同志を苦しめることが多々あった。
 鮫島は、この会合で、「総本山は旅館業と同じである」「宗門の学会批判は妬みによる邪推である」等と語っていた。しかも調子にのって語った私見を、「すべて副会長全員の意見である」などと述べていたのである。
 それが宗門に伝えられ、大騒ぎとなった。鮫島の発言は不遜であるとし、宗務院と内事部が、それぞれ学会に質問状を送ってきた。
 日蓮大聖人は「わざわい(禍)は口より出でて身をやぶる」(御書一四九二ページ)と仰せである。傲りと油断は禍を生み、自分の身を破る。そればかりか、広宣流布をも破ることになるのだ。一人の幹部の軽率極まりない発言が、信徒を隷属させようとする宗門僧による学会攻撃の、格好の材料となっていった。
 広布の航路は、常に激浪の海原である。


【「聖教新聞」2017年(平成29年)1月10日より転載】


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