浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

力走/六十八〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十八 法悟空 内田健一郎 画 (5825) 四国から帰った翌十四日からも、山本伸一のスケジュールはびっしりと詰まっていた。 教育部の記念勤行会や本部幹部会、ソ連の対外友好文化交流団体連合会(対文連)の議長らとの会談や、東京・八王子圏の代…

川蜻蛉/今日の俳句 ≪第2166号≫

≪2016年(平成28年)6月13日(月)≫(旧暦5/9) おはぐろの方三尺を生きて舞ふ 邊見京子 おはぐろ蜻蛉とんで羅漢の笑まひ顔 橋本榮治 たがひ似てつねに向き合ふ川蜻蛉 丸山佳子 紙漉川おはぐろとんぼ早や出でし 細見綾子 踏み渡る石がぐらりと川蜻蛉 山田弘子 ※ …

青田/今日の俳句 ≪第2165号≫

≪2016年(平成28年)6月12日(日)≫(旧暦5/8) うたた寝の合間の青田湖西線 津田このみ 筑波嶺や鷺の飛びゆく夕青田 内藤八重 きしむ椅子きしませてみる青田風 中原幸子 青田向こうの外側白き病院ビル 五十嵐研三 青田にも琵琶湖にも水ゆれてをり 櫻井幹郎 ※ 植…

入梅/今日の俳句 ≪第2164号≫

≪2016年(平成28年)6月11日(土)≫(旧暦5/7) 梅雨に入る庵ともなし青畳 渡辺水巴 入梅の廰舎の地下に混む自転車 柳生千枝子 おほさかをけむらしゐたる入梅かな 今井妙子 入梅や箱階段の鐶の数 福本郁子 入梅の関所の跡や蔦盛り 藤波松山 ※ 入梅・梅雨入・梅雨…

力走/六十七〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十七 法悟空 内田健一郎 画 (5824) 徳島県の幹部総会では、県の組織が一圏三地域本部としてスタートすることが発表されるなど、明「人材育成の年」への、晴れやかな助走の総会となった。 山本伸一は、あいさつのなかで、「其れに付いても法華…

梅雨茸/今日の俳句 ≪第2163号≫

≪2016年(平成28年)6月10日(金)≫(旧暦5/6) 梅雨茸の咲くわが棺に腰掛けて 野見山朱鳥 梅雨茸の小さくて黄に君の墓 田村木国 わたくしに劣るものなく梅雨きのこ 池田澄子 梅雨茸を蹴りころがして誕生日 赤城さかえ 梅雨茸の人にも見せて捨てらるる 後藤夜半 ※…

力走/六十六〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十六 法悟空 内田健一郎 画 (5823) 高知文化会館を発った山本伸一は、十一日の午後六時前、香川県・庵治町の四国研修道場に到着した。彼は、移動の疲れも全く感じさせず、元気に香川県の最高会議に臨んだ。この席で、香川県は二圏一地域本部の…

土用波/今日の俳句 ≪第2162号≫

≪2016年(平成28年)6月9日(木)≫(旧暦5/5) 近づかむために陸あり土用波 三橋敏雄 土用波わが立つ崖は進むなり 目迫秩父 土用波停泊してゐるイージス艦 杉井真由美 人参の花よごれゐて土用波 細見綾子 一帆なき沖蒼きより土用波 野澤節子 ※ 土用波・土用浪。 …

力走/六十五〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十五 法悟空 内田健一郎 画 (5822) 高知文化会館には、まだ、たくさんの人が詰めかけていた。山本伸一は、もう一回、勤行会を行った。ここでは、創価の同志の絆を強め、不退の信心を貫くよう、情熱を込めて呼びかけた。彼は、一人たりとも、一…

力走/六十四〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十四 法悟空 内田健一郎 画 (5821) 高知の男子部に、山本伸一は訴えた。 「私たちは、青年部の時代、兄弟以上に同志の結合を固めながら、ありとあらゆる闘争をしてきました。皆、権力もない。財力もない。ただ学会精神一つで、今日の世界的な…

梅雨/今日の俳句 ≪第2160号≫

≪2016年(平成28年)6月7日(火)≫(旧暦5/3) 四万十川(しまんと)に白波を見ず梅雨曇 桂 信子 馬洗ふ梅雨のすげ笠最上川 細見綾子 子規庵に靴の並びし梅雨晴間 小倉喜郎 「くずきりあります」鍵善良房梅雨滂沱(ぼうだ) 楠本憲吉 自動扉の今日の地下鉄梅雨に入る…

力走/六十三〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十三 法悟空 内田健一郎 画 (5820) 任用試験の受験者を激励した山本伸一は、高知文化会館に戻ると、四国の大学会メンバーと記念撮影した。 午後四時からは、開館一周年記念のブロック長、ブロック担当員(後の白ゆり長)の勤行会に出席し、指…

力走/六十二〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十二 法悟空 内田健一郎 画 (5819) 山本伸一は、任用試験の会場を提供してくれた、保育園の園長である高原嘉美の自宅も訪問した。試験会場を提供してもらったことに心から感謝を述べ、用意していた色紙に、「光福」などと揮毫して贈った。 高…

五月富士/今日の俳句 ≪第2159号≫

≪2016年(平成28年)6月6日(月)≫(旧暦5/2) 目にかゝる時やことさら五月富士 松尾芭蕉 鳶の輪の上に鳶の輪五月富士 大木あきら 苗代の規矩の正しき五月富士 遠藤梧逸 羽衣の天女舞ひ来よ五月富士 小倉英男 みづうみの底の胎動雪解富士 保住敬子 ※ 五月富士・…

夏野/今日の俳句 ≪第2158号≫

≪2016年(平成28年)6月5日(日)≫(旧暦5/1) 馬運車を見送る夏野風生るる 相沢有理子 青野ゆく流れも吾れも無帽にて 鈴木鷹夫 枕木は鳥の木琴大夏野 石井紀美子 坑の跡海へ開けし夏野かな 猿渡青雨 黒き貨車夏野を分かちはるけしや 福田和子 ※ 夏野→夏野腹・青…

袷/今日の俳句 ≪第2157号≫

≪2016年(平成28年)6月4日(土)≫(旧暦4/29) 腸は野に捨たれど袷かな 内藤嵐雪 思ひ切つて五分に刈りたる袷かな 夏目漱石 袷着てほのかに恋し古人の句 原 石鼎 真向に比叡明るき袷かな 五十嵐播水 旅をきて袷に汗し榕樹見る 亀井糸游 ※ 袷・素袷・初袷・綿抜…

力走/六十一〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十一 法悟空 内田健一郎 画 (5818) 山本伸一たちが幡多会館に到着したのは、午後六時過ぎであり、辺りは、すっかり暗くなっていた。出迎えてくれた管理者をねぎらい、伸一の到着を待っていた幡多地域のメンバーと、時間の許す限り懇談した。時…

滝/今日の俳句 ≪第2156号≫

≪2016年(平成28年)6月3日(金)≫(旧暦4/28) 生ま身なる吾に集へり滝の冷え 津田清子 白鞘の一刀まつる滝まつり 桑原視草 それぞれに黙の語彙溜む滝の前 能村研三 どちらかと聞かれ山好き瀧音も 丸山佳子 野生派の滝にスカートちょっと濡れ 蔵前幸子 ※ 滝→瀑…

力走/六十〈小説「新・人間革命」〉

力走/六十 法悟空 内田健一郎 画 (5817) 島寺義憲が中浜万次郎像の顔を指さしながら、山本伸一に説明した。 「先生。この像は、ホイットフィールド船長が住んでいたアメリカのフェアヘイブンの方角を向いているということです」 伸一は、「そうか」と…

六月/今日の俳句 ≪第2155号≫

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力走/五十九〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十九/法悟空 内田健一郎 画 (5816) 時代の激流は、万次郎を歴史の表舞台に押し上げていった。時代が彼の力を必要としていたのだ。 土佐で万次郎は士分を与えられ、藩校「教授館」で教えることになった。岩崎弥太郎や後藤象二郎も、彼に影響を…

更衣/今日の俳句 ≪第2154号≫

≪2016年(平成28年)6月1日(水)≫(旧暦4/26) 吹く風をあらためて聴く更衣 村越化石 更衣昨日と今日と違ふ風 桧林ひろ子 更衣ポケットにある皺のメモ 武藤あい子 身ひとつを大阪に置く更衣 長谷川櫂 過去遠くなるばかりなる更衣 岡安仁義 ※ 更衣・衣更ふ 季節…

力走/五十八〈小説「新・人間革命」〉

力走 五十八/法悟空 内田健一郎 画 (5815) 万次郎は、皆から「ジョン・マン」と呼ばれた。それは、捕鯨船「ジョン・ハウランド号」の船名にちなんだ愛称であった。 彼はよく働き、捕鯨船の乗組員たちから愛されていた。なかでも、船長ホイットフィー…