浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

斑雪(はだれゆき)/今日の俳句 ≪第2407号≫

≪2017年(平成29年)2月9日(木)≫(旧暦1/13) 水の背のひたゆき斑雪昏れてをり 高島茂 由起夫なら肉崩れちふはだれ雪 駒寄あつし 鶏の餌にまだらゆき混ぜ卵獲る 佐川広治 佳き人の道ひろいくるはだら雪 鎌倉喜久恵 一枚漢詩に見ゆるはだれ雪 飯島風花 ※ 斑雪(は…

小説「新・人間革命」

大山 三十三 法悟空 内田健一郎 画 (5993) 山本伸一は、今こそ、平和の礎となる、仏法から発する生命の尊厳と平等の哲理を世界に伝え、広め、二十一世紀の時代精神としなければならないと決意していた。 彼は、「聖教新聞」の創刊二十八周年にあたる四…

春の雪/今日の俳句 ≪第2406号≫

≪2017年(平成29年)2月8日(水)≫(旧暦1/12) 花すもも別の名前は春の雪 津田このみ 落柿舎の蓑やふはりと春の雪 長谷川通子 ためし履く靴のいろいろ春の雪 大倉郁子 開眼の祝ぎ降らしてふ春の雪 能村研三 山ながら依怙地に残す春の雪 丸山佳子 ※ 春の雪・春雪・…

小説「新・人間革命」

大山 三十二 法悟空 内田健一郎 画 (5992) 山本伸一とキッシンジャーは、庭を散策したあと、応接室で語り合った。 キッシンジャーは、自身の回想録が、間もなく発刊の予定であることを伝えた。 「ここに書かれた内容は外交政策についてであり、私の行…

冴返る/今日の俳句 ≪第2405号≫

≪2017年(平成29年)2月7日(火)≫(旧暦1/11) 虚子さんは艶福俳人冴え返る 坪内稔典 花屑の痛みはげしく冴え返る 小田さやか 冴返る母なきあとの厨かな 孝子・フォン・ツェルセン 壁を貼る手さばき密に冴返る 相沢有理子 冴返るひときわ白いねこの耳 わたなべじ…

小説「新・人間革命」

大山 三十一 法悟空 内田健一郎 画 (5991) 創価学会は、日蓮大聖人の御遺命である広宣流布を成就するために出現した、地涌の菩薩の集いである。ゆえに、初代会長の牧口常三郎も、第二代会長の戸田城聖も、万人の幸福の実現に思いを馳せ、死身弘法の決…

小説「新・人間革命」

大山 三十 法悟空 内田健一郎 画 (5990) 神奈川文化会館の開館記念勤行会は、十四日、昼夜二回にわたって、同志の喜びのなか盛大に行われた。山本伸一は、いずれの勤行会にも出席し、これまでの皆の労苦に最大の感謝の意を込め、全力で励ましを送った…

春浅し/今日の俳句 ≪第2404号≫

≪2017年(平成29年)2月6日(月)≫(旧暦1/10) 看板に訃報を知つて春浅し わたなべじゅんこ 春浅し梢の尖らざるはなく 塚本五十鈴 春浅き鍋のうちそと磨きけり 中原幸子 肉を食いやがて排泄春浅く 和田悟朗 浅春の靄立ちのぼる国栖の山 谷野由紀子 ※ 春浅し・浅春…

早春/今日の俳句 ≪第2403号≫

≪2017年(平成29年)2月5日(日)≫(旧暦1/9) 立春の耳から目覚めていることよ 津田このみ 早春の山笹にある日の粗らさ 細見綾子 早春の湾パスカルの青き眸よ 多田裕計 橋早春何を提げても未婚の手 長谷川双魚 早春の風樹にひかり充ち充つごと 赤城さかえ ※ 早春…

立春/今日の俳句 ≪第2402号≫

≪2017年(平成29年)2月4日(土)≫(旧暦1/8) 立春のこんにゃくいつか煮えてをり 桂 信子 輪転機回る立春の夜の星座 仁村美津夫 女身仏に春剥落のつづきをり 細見綾子 万燈のまたゝき合ひて春立てり 沢木欣一 森抜けてくる立春の鳥の声 中新井みつ子 ※ 立春・春立…

小説「新・人間革命」

大山 二十九 法悟空 内田健一郎 画 (5989) 迎賓館で鄧穎超と会見した翌日の四月十三日午後、山本伸一は、東京・新宿区内で、松下電器産業(後のパナソニック)の創業者である松下幸之助と懇談した。 深い交友を重ねてきた松下翁にも、会長を辞任する意…

寒明/今日の俳句 ≪第2401号≫

≪2017年(平成29年)2月3日(金)≫(旧暦1/7) 病妻に兎も角寒の明けにけり 橋本花風 寒明や雨が濡らせる小松原 安住 敦 われら一夜大いに飲めば寒明けぬ 石田波郷 寒明けの波止場に磨く旅の靴 沢木欣一 きささげの莢は空つぽ寒明くる 布施れい子 ※ 寒明 小寒の入…

小説「新・人間革命」

大山 二十八 法悟空 内田健一郎 画 (5988) 山本伸一は当初、一九八九年(平成元年)九月に中国を訪問し、建国四十周年の関連行事に出席する予定であった。しかし、諸情勢から延期を余儀なくされた。彼は代理を立て、鄧穎超あてに、明春には必ず訪問す…

冬草/今日の俳句 ≪第2400号≫

≪2017年(平成29年)2月2日(木)≫(旧暦1/6) 夕影の濃くなる雨や冬の草 中山玉子 冬草は絹の手ざはり久女の墓 加藤知世子 日のあたる冬草父も兄も亡く 大川真智子 冬草に黒きステッキ挿し憩ふ 西東三鬼 冬草に日のよく当たる売地かな 渋沢渋亭 ※ 冬草・冬の草 枯…

小説「新・人間革命」

大山 二十七 法悟空 内田健一郎 画 (5987) 鄧穎超は、念を押すように言った。 「一歩も引いてはいけません!」 彼女の顔に笑みが戻った。 「前も敵、後ろも敵」という断崖絶壁のなかで、何十年もの間、戦い続けてきた人の言は重たかった。進退は自分が…

二月/今日の俳句 ≪第2399号≫

≪2017年(平成29年)2月1日(水)≫(旧暦1/5)※ 小蕾忌 福島小蕾(ふくしま しょうらい) 1891年(明治24年)~1969年(昭和44年) 明治24年7月15日、島根県安来市生まれ。昭和44年2月1日没。本名、亮。別号、梨東、梨東書屋主人。広島高等師範(現・広島大学)中退。島根…

小説「新・人間革命」

大山 二十六 法悟空 内田健一郎 画 (5986) 山本伸一は、一冊のアルバムを用意していた。そこには、故・周恩来総理の日本への思いに応えたいと創価大学に植えた「周桜」、全青連の青年たちと記念植樹した周恩来桜と鄧穎超桜の「周夫婦桜」、創価大学に…

冬の虫/今日の俳句 ≪第2398号≫

≪2017年(平成29年)1月31日(火)≫(旧暦1/4) 虫絶えて冬高貴なる陽の弱り 飯田蛇笏 火と水のいろ濃くなりて冬の虫 長谷川双魚 冬の虫ところさだめて鳴きにけり 松村蒼石 冬ちちろ磨る墨のまだ濃くならぬ 河合照子 鳴く力たまれば鳴きぬ冬の虫 竹内武城 ※ 冬の虫…

小説「新・人間革命」

大山 二十五 法悟空 内田健一郎 画 (5985) 山本伸一が中国の留学生と友誼の糸を紡いだ前日の四月八日、故・周恩来総理の夫人で、中国の全国人民代表大会(略称・全人代)常務委員会副委員長である鄧穎超が来日した。彼女は衆参両院議長の招待で、全人…

冬萌/今日の俳句 ≪第2397号≫

≪2017年(平成29年)1月30日(月)≫(旧暦1/3) 冬萌に日を追ひさがす米一升 加藤知世子 冬萌に群れて白鶏汚れをり 根岸善雄 冬萌や小鳥の嘴に空気穴 宮坂静生 冬萌や色深くして能登瓦 岸田稚魚 山の木の中のこぶしの冬芽かな 星野麥丘人 ※ 冬萌・冬木の芽・冬芽 …

小説「新・人間革命」

大山 二十四 法悟空 内田健一郎 画 (5984) 山本伸一は、中国の留学生たちに言った。 「皆さんの入学を記念して、一緒に写真を撮りましょう」 彼は、四人の留学生、引率してきた在日中国大使館の関係者と共にカメラに納まった。そして、皆と握手を交わ…

龍の玉/今日の俳句 ≪第2396号≫

≪2017年(平成29年)1月29日(日)≫(旧暦1/2) 北へ濃きいろのみづうみ龍の玉 友岡子郷 龍の玉升さんと呼ぶ虚子のこゑ 飯田龍太 雑俳にたましひありぬ竜の玉 成瀬櫻桃子 ひとり子のひとり遊びや竜の玉 板橋美智代 空の日の曇ればくもる龍の玉 鈴木しげを ※ 竜の玉…

旧正月/今日の俳句 ≪第2395号≫

≪2017年(平成29年)1月28日(土)≫(旧暦1/1)※旧正月 隣りより旧正月の餅くれぬ 石橋秀野 風強き旧正月の堤かな 長谷川素逝 道ばたに旧正月の人立てる 中村草田男 旧正や凧のあがれる藺田の上 岸風三楼 一族の瞳に旧正の凧澄める 前田法比古 ※ 旧正月 旧暦で正月…

小説「新・人間革命」

大山 二十三 法悟空 内田健一郎 画 (5983) 四月九日は、創価大学の第九回入学式であった。快晴の空のもと、正午から始まった式典に出席した創立者・山本伸一は、人生における学問の意味に触れ、“謙虚な学問探究の姿勢を貫いて、悔いなき四年間を”とス…

小説「新・人間革命」

大山 二十二 法悟空 内田健一郎 画 (5982) 山本伸一は、全青連代表団の団長を務めた高占祥より七歳年長であった。伸一は彼を“若き友人”として尊敬し、日本で結ばれた二人の友情は色あせることはなかった。 日中国交正常化二十周年にあたる一九九二年(…

麦の芽/今日の俳句 ≪第2394号≫

≪2017年(平成29年)1月27日(金)≫(旧暦12/30) 麦の芽の丘の起伏も美まし国 高浜虚子 麦の芽に汽車の煙のさはり消ゆ 中村汀女 麦の芽に朝日が投げし棒の影 百合山羽公 麦の芽や地の暦日のいつはらず 長谷川素逝 筑紫野の芽麦縞なす朝の靄 林かつみ ※ 麦の芽・芽…

蕪/今日の俳句≪第2393号≫

≪2017年(平成29年)1月26日(木)≫(旧暦12/29) 坂道を登る途中の蕪蒸 鶴濱節子 どれもどれも寂しう光る小蕪かな 渡辺水巴 月光の降るにまかせて大蕪 中田 剛 ふと訛出て天王寺蕪買ふ 千賀静子 田舟過ぐうねりに洗ふ近江蕪 田中佐知子 ※ 蕪→蕪(かぶ)・かぶらな・…

小説「新・人間革命」

大山 二十一 法悟空 内田健一郎 画 (5981) 山本伸一は、先頭に立って、全青連のメンバーを案内した。 「周桜」から数十メートルほどのところに植えられた、二本の桜の前に土が盛ってあった。木の高さは四メートルほどあり、淡いピンクの花をつけていた…

人参/今日の俳句 ≪第2392号≫

≪2017年(平成29年)1月25日(水)≫(旧暦12/28) 夜鷹いてこの日人参ばかり買う 岸本マチ子 オンドルや比丘てずからの人参茶 矢野 洵 人参を抜き大山を仰ぎけり 庄司圭吾 人参あまく煮て独りにもなれず 坂間晴子 夜叉の面ふつふつ人参煮てありぬ 寺田京子 ※ 人参…

小説「新・人間革命」

大山 二十 法悟空 内田健一郎 画 (5980) 「你好(こんにちは)! ようこそいらっしゃいました!」 山本伸一は両手を広げ、人民服に身を包んだ全青連代表団の高占祥団長の肩を抱き、そしてメンバー一人ひとりと握手を交わした。 「私たちは、中日友好の…