浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

力走/五十二〈小説「新・人間革命」〉

 


力走 五十二/法悟空 内田健一郎 画 (5809)


 山本伸一は、愛媛県の南予から来たメンバーや、模擬店の役員とも記念撮影をした。
 その後、地元メンバーの勧めで、近くにある足摺海底館などを訪れた。
 夕刻、高知研修道場に戻った伸一は、地元の幡多地域本部の代表らと懇談した。
 さらに、研修道場の大浴場で、役員の男子部員らと一緒に入浴し、懇談を続けた。湯につかりながら、皆の仕事のこと、家庭生活のこと、学会活動のことなどを尋ねた。
 伸一は、幡多地域本部の面積が、ほぼ香川県と同じぐらいであることを聞くと、地域本部男子部長の宮西益男に語った。
 「広大な地域だね。山も多く、移動するにも時間がかかる。大都会である東京とは、皆の仕事や、生活のリズムなど、多くの面で異なっている。したがって、何から何まで、東京と同じことをする必要はありません。ここは、ここらしく、皆が楽しく活動していけるリズムをつくっていくことです。
 大事なことは、青年である君たちが、この地域の広布は自分たちの手で担おう、全責任をもとうと、決意していくことです。人を頼んではいけない。自分たちでやるのだと、心を決めるんです。勝負を決するのは二十一世紀だ。そこをめざして何を創るかです。
 青年が、今、広げた友情のスクラムが、そのまま未来の学会の広がりになる。頼むよ!」
 伸一から「何か要望は?」と尋ねられた宮西は、「事務の効率をよくするために、研修道場の事務所にコピー機を設置していただけないでしょうか」と答えた。コピー機がないために、行事日程や連絡事項など、ガリ版で作成し、配布していたのである。
 「私から、本部にお願いしてみます」
 伸一は、全面的に応援したかった。すぐに、東京から同行してきた幹部に、コピー設置の経費などを調べてもらった。
 そして伸一は、宮西に言った。
 「では、君を“コピー長”に任命します。コピー用紙一枚も、全部、学会員の浄財なんだから、大切に使うんだよ」


【「聖教新聞」2016年(平成28年)5月25日より転載】

 

 

☆彡------☆★☆★☆*------彡☆o☆:*:.♪☆★☆*------☆彡