浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

清新/十〈小説「新・人間革命」〉

 


清新/十 法悟空 内田健一郎 画 (5835)

 

 山本伸一は、直ちに、三陸から来た数人のメンバーが待つ一階へと下りていった。
 三陸方面でも、同志は、宗門僧による過酷な仕打ちと戦い続けてきたのだ。
 「大変ななか、ようこそ、おいでくださいました。ありがとう!」
 彼は、一人ひとりと握手を交わした。
 皆、口々に「先生!」と言って、頰を紅潮させながら、伸一の手を、ぎゅっと握り締めた。その目には、涙が光っていた。
 「皆さんは、これまで、どれほど辛く、苦しい思いをしながら、懸命に戦ってこられたことか。
 誰が正義なのか。誰が正しいのか――御本尊は、すべてお見通しです。大聖人の仰せ通りに、弘教に励んでこられた皆さんが、不幸になるわけがありません。人生の大勝利者にならないわけがありません。そうでなければ、仏法は噓になってしまう」
 「んだ! んだ!」
 皆、瞳を輝かせ、何度も頷いた。
 「私たちは、久遠の使命に結ばれた同志です。仏法兄弟です。どんなに遠く離れていても、心は一緒ですよ。まずは二十一世紀をめざして、明るく、はつらつと、共に前進しようではありませんか!」
 「はい!」と決意にあふれた声が響いた。
 メンバーの一人が、自分の家族も伸一と会いたがっていたが、代表幹部会の参加対象にはなっていないので、家で題目を唱えていることを告げた。
 「そうですか。くれぐれもよろしくお伝えください。また、私は明日もここにおりますので、可能ならば、おいでください」
 それから伸一は、同行していた副会長の青田進に言った。
 「明日、自由勤行会を行うことはできませんか。私は何度でも出席させてもらいます」
 メンバーが歓声をあげた。
 「今日は、来てよがった!」
 目の前の一人ひとりが喜び勇んで立ち上がることから、新しい変革の流れが起こる。


【「聖教新聞」2016年(平成28年)6月25日より転載】


☆彡------☆★☆★☆*------彡☆o☆:*:.♪☆★☆*------☆彡