浩洋子の四季

古季語を探して、名句・秀句を紹介します。

小説「新・人間革命」

 

源流 二十五 法悟空 内田健一郎 画 (5916)

 山本伸一は懇談会で、一人ひとりに激励の言葉をかけていった。
 メンバーのなかに、全インドの責任者である地区部長を務める女性がいた。前日、伸一が図書贈呈したデリー大学で、経済学の講師として教壇に立つラビーナ・ラティである。彼女が御本尊を受持したのは、一九七五年(昭和五十年)六月であった。
 信心に励むなかで、難関の就職を勝ち取り、原因不明の頭痛や吐き気、めまいを克服した体験をもっていた。
 また、北インドの責任者を務めるハルディープ・シャンカルという壮年は、中学校の教師であった。鬱病で悩んだ末に信心をはじめ、乗り越えることができたという。
 彼は、いかにも生真面目そうな人柄であったが、ともすれば、沈んでしまいそうに感じられた。伸一は書籍に、「いかなる時でも 明るく朗らかな 指導者たれ」と、モットーとなる言葉を認め、シャンカルに贈った。
 家族が仏法に無理解のなか、ただ一人、信心に励んでいるアローク・アーリヤという青年もいた。伸一は、彼の報告を聞くと、「あなたの苦労、奮闘は、よくわかっています。大変だと思うかもしれないが、今、あなたは人生のドラマを創っているんです」と励まし、念珠をプレゼントした。
 さらに、二カ月前に入会した婦人のスバルナ・パテールは、日蓮大聖人の仏法に巡り合った喜びに燃えて集ってきた。彼女は、のちに夫を病で、息子を交通事故で亡くすが、この日の伸一との出会いを胸に、勇気を鼓舞して、苦難を克服していくのである。
 ここに集ったメンバーの多くは、その後、インドSGIの中核に育っていく。ラビーナ・ラティは幹事長となり、ハルディープ・シャンカルはインド創価菩提樹園の園長に、アローク・アーリヤは教育部長に、スバルナ・パテールは南インドの中心者となっていったのである。
 渾身の激励は、発心の種子となり、その人のもつ大いなる力を引き出す。

【「聖教新聞」2016年(平成28年)9月30日より転載】


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